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第一章 追い風と白い月
三つ巴、その2
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激しい衝撃が、コックピット内に断続的に襲い掛かる。
山脈を全力で飛ぶせいで、リッキーのシュトラーダは、通常以上に機体制御が利かなくなっている。
そのせいで迫り来る山と岩壁に船体を擦らせながら、超高速でシュトラーダは飛ぶ。
機体は頑丈な造りである事や、彼の必死の操縦により何とか直撃を避けていた事もあり、それによる損傷は殆んど無かった。
だが着実に船体はダメージを受けており、いつ致命的な損傷となるかは時間の問題だった。
それでも、そのスピードによって、着実に前を行く二機に追いつきつつあった。
そしてシュトラーダは、ついにフウマの乗るテイルウィンドの真後ろへと到達する。
〈ぷぷぷっ! 随分と不器用な飛び方をするね、オジサン!〉
隣を飛ぶテイルウィンドから、フウマは通信画面越しに、リッキーを小馬鹿にした。
一方、リッキーはさも愉快そうにニッと笑った
「……実を言うとな、俺には小生意気だが、自慢の息子が一人いるんだ。丁度、小僧と同い年くらいのな。全く…………手前を見ていると、息子を思い出すぜ。その生意気さは、きっといい勝負だろうな。
だが――俺に勝つにはまだまだ早いぜ、チビ助! フェルガンド星系杯ではゴール寸前に運悪く突然、恒星フェルガンドの太陽風に吹き飛ばされちまったからな。あの時まぐれで勝ったからって調子に乗ると、後で泣きを見たって知らないぜ!」
〈運も実力の内って事さ。…………って言うか、また僕をチビ助と言ったな!〉
「そういう子供じみた奴だから、チビ助と言うんだ。そう言われたく無ければ――――今度は本当の実力で勝負をつけようじゃないか!」
画面上のフウマは、にやりと微笑んだ。
〈――――いいね。実を言うとさ、僕もあの勝負には不満だったんだ。それに、アンタと競い合ったのはあの一度だけ。今度こそ、きっちりと決着を付けてあげるよ!〉
シュトラーダとテイルウィンドは、互いに競い合うように飛行する。
――上手く追って来ますね、フウマ君は。それにリッキーさんも――
後ろを追いすがるテイルウィンド、そしてシュトラーダの映像を横目に見ながら、シロノはほくそ笑む。
彼が駆るホワイトムーンは、行く手を塞ぐ針のように尖った峰を、その持ち前の一つである機動力で次々と避ける。
テイルウィンドもそれを真似て、ホワイトムーンを追いかける。その動きは、シロノの操縦に勝るとも劣らない動きだ。シュトラーダも、何とか奮戦しながらも、遅れる事もなく飛行していた。
だが無数の峰を越えた次には、目の前を覆いかぶさる程の岩壁が迫って来る。
その絶壁はコースを妨げるかのように、天高く立ち塞がっている。しかし驚くべき事に、これ程の大きさでも、その岩壁は更に巨大な山脈の一部でしかない。
これを攻略するには、迂回するか、上を乗り越えるかだ。だが、どちらにしろ相当な遠回りと、エネルギーの消費を覚悟するしかない
しかし、既にシロノはその突破口を見出していた。
一見、難攻不落に見える巨大な岩壁であるが、その厚さは薄く、あちこちに小さな裂け目が生じている事が、レーダーによって分かっている。
――なら、これはついて来れますか? ――
ホワイトムーンはその機体を九十度に傾け、裂け目の中でも、比較的大きい裂け目を通過した。
山脈を全力で飛ぶせいで、リッキーのシュトラーダは、通常以上に機体制御が利かなくなっている。
そのせいで迫り来る山と岩壁に船体を擦らせながら、超高速でシュトラーダは飛ぶ。
機体は頑丈な造りである事や、彼の必死の操縦により何とか直撃を避けていた事もあり、それによる損傷は殆んど無かった。
だが着実に船体はダメージを受けており、いつ致命的な損傷となるかは時間の問題だった。
それでも、そのスピードによって、着実に前を行く二機に追いつきつつあった。
そしてシュトラーダは、ついにフウマの乗るテイルウィンドの真後ろへと到達する。
〈ぷぷぷっ! 随分と不器用な飛び方をするね、オジサン!〉
隣を飛ぶテイルウィンドから、フウマは通信画面越しに、リッキーを小馬鹿にした。
一方、リッキーはさも愉快そうにニッと笑った
「……実を言うとな、俺には小生意気だが、自慢の息子が一人いるんだ。丁度、小僧と同い年くらいのな。全く…………手前を見ていると、息子を思い出すぜ。その生意気さは、きっといい勝負だろうな。
だが――俺に勝つにはまだまだ早いぜ、チビ助! フェルガンド星系杯ではゴール寸前に運悪く突然、恒星フェルガンドの太陽風に吹き飛ばされちまったからな。あの時まぐれで勝ったからって調子に乗ると、後で泣きを見たって知らないぜ!」
〈運も実力の内って事さ。…………って言うか、また僕をチビ助と言ったな!〉
「そういう子供じみた奴だから、チビ助と言うんだ。そう言われたく無ければ――――今度は本当の実力で勝負をつけようじゃないか!」
画面上のフウマは、にやりと微笑んだ。
〈――――いいね。実を言うとさ、僕もあの勝負には不満だったんだ。それに、アンタと競い合ったのはあの一度だけ。今度こそ、きっちりと決着を付けてあげるよ!〉
シュトラーダとテイルウィンドは、互いに競い合うように飛行する。
――上手く追って来ますね、フウマ君は。それにリッキーさんも――
後ろを追いすがるテイルウィンド、そしてシュトラーダの映像を横目に見ながら、シロノはほくそ笑む。
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テイルウィンドもそれを真似て、ホワイトムーンを追いかける。その動きは、シロノの操縦に勝るとも劣らない動きだ。シュトラーダも、何とか奮戦しながらも、遅れる事もなく飛行していた。
だが無数の峰を越えた次には、目の前を覆いかぶさる程の岩壁が迫って来る。
その絶壁はコースを妨げるかのように、天高く立ち塞がっている。しかし驚くべき事に、これ程の大きさでも、その岩壁は更に巨大な山脈の一部でしかない。
これを攻略するには、迂回するか、上を乗り越えるかだ。だが、どちらにしろ相当な遠回りと、エネルギーの消費を覚悟するしかない
しかし、既にシロノはその突破口を見出していた。
一見、難攻不落に見える巨大な岩壁であるが、その厚さは薄く、あちこちに小さな裂け目が生じている事が、レーダーによって分かっている。
――なら、これはついて来れますか? ――
ホワイトムーンはその機体を九十度に傾け、裂け目の中でも、比較的大きい裂け目を通過した。
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