テイルウィンド

双子烏丸

文字の大きさ
130 / 204
第十章 Grand Galaxy Grand prix [Action!〕

協力

しおりを挟む

 ――――
 一方、双子に追い抜かれた後、先を急ぐフウマ。
 他のレーサーを相手にし、小惑星群をくぐり抜ける。 
 特に……その中の一機が、現在の主な、彼の相手だった。それは――
〈おう! 以前よりも良い感じじゃないか? やはり成長したな!〉
 テイルウィンドのコックピット、そのモニターでにこやかに笑うのは、リッキー・マーティスだった。
 彼の機体、ワールウィンドはテイルウィンドのすぐ後ろ、自慢の加速性能で追いすがる。
 ……最も、ここでは加速性より、機動性がものを言う。
 テイルウィンドがリードしているのは、そのためだ。
「そう言ってくれると、嬉しいかな。……そっちは、新しい機体は使いこなせているのか? 機体に不慣れって事で僕が有利でも……全然面白くないからね」
〈ははは、機体を替えてそれなりに経っているんだ、心配しなくてもちゃんと使いこなせているぜ。
 やはり前のシュトラーダよりは、ずいぶんと動かしやすいが……やはりテイルウィンドほどではないな。だが、加速性能は以前と同じだ! いざとなれば楽勝だぜ!〉
 フウマは口元を緩める。
「……うん、それは良かった。じゃあ……勝負の続きと行こうか!」
 

 リッキーの言葉通り、彼は新機体であるワールウィンドを、上手く使いこなしていた。
 現在はテイルウィンドがリードしているが、それでも両者の対決はほぼ互角だ。
 ――なるほど、さすがリッキーって所かな。確かにいい感じじゃん。……こっちも気が抜けないね――
 フウマは今の勝負に、力を入れている。
 ……しかし、同時にさっきの、フィナとティナの事も頭に浮かぶ。
 ――けどあの二人も、中々だったよね。リッキーの次は、また二人を相手にすると考えるとな――


 さっきの遭遇で、その実力はよく分かっていた。
 若干意表を突かれたといえ、一瞬で先を越したあの腕と機体の性能は、並外れたものだ。、
 再度遭遇したとしても……果たして、どこまで行けるか?
 ……と、そんな考えを少ししていた時、リッキーから再度通信が入る。
「ん、リッキー、どうしたのさ」
 モニターに映るリッキーも、少し考えている様子だった。
〈あのさ、フウマ……。お前も、あの双子、フィナとティナと戦ったんだよな?〉
 そんな質問に、少し戸惑いながらも、フウマは答える。
「うん。……なかなかやるよね、あの二人もさ」
〈……ああ、俺もサファイアで相手にしたが、あのコンビネーションを崩すのは難しいぜ。あんなに息の合った相手、そして機体も高い性能の同型機に二対一だ、とてもじゃないが分が悪い〉
「そんな事、僕だって分かっている。……けど、やるしかないだろ!」
 血気盛んなフウマの様子を、リッキーをたしなめる。
〈まぁまぁ、何もレースは勝負ばかりとは限らないだろ? 俺だってあの二人相手には、かなり分が悪い。今の勝負だって、なかなか決着が付き添うにはないからな〉
 そして、リッキーはこんな提案をした。
〈そこでどうだ? ここは一度、俺と手を組まないか?〉
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...