テイルウィンド

双子烏丸

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第十章 Grand Galaxy Grand prix [Action!〕

戦意十分

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 ――――
「……さてと、ルビーにまで来て、ようやく追いついたね」
 テイルウィンドもようやく、惑星ルビーに到達していた。
 地面も赤ければ、空も夕焼け空のようにオレンジがかった赤い色をしていた。
 加えて、地上の砂漠の砂が空中に舞っているせいか、その視界はやや悪い。
 そして、その視線の先には……並んで飛行している黄金の鳥が二羽――フィナとティナの乗機であるアトリ/ヒバリの姿がある。
 ――油断したとは言え、この僕がまんまとしてやられたしね……。借りはきっちりと、返さないと――


 だが、フウマとテイルウィンドも一人と一機、と言うわけではない。
〈そろそろだな、フウマ。目には目を歯には歯を……チームプレイには、チームプレイって事だ!〉
 その隣を飛行するのは、テイルウィンドと似た一機の機体……リッキーのワールウィンド。
 小惑星群で対決していた二人だが、そこで一時休戦となった。その理由は、もちろんあの双子だ。
「……別に、僕は一人でも良かったんだ。あれくらい僕が本気を出せば……

〈そんな連れないことは、言いっこなしだぜ! これも何かの縁ってことで、やっていこうぜ!〉
「いいけどさ、せいぜい足は引っ張らないでよね」
 いつものちょっとした、フウマの背伸び、そして強がり。……リッキーも、それには面白そうな様子でにやりと笑う。
〈くくっ! 相変わらず元気一杯で何よりだ。
 チームワークとは、互いに息を合わせることだ。しょせん付け焼刃で、あの二人にどこまで及ぶか分らんが、それでも俺のワールウィンドとテイルウィンドは兄弟機だ。意外に行けるかもしれないぜ〉



 そう、リッキーとフウマの機体は、同型の機体である。あちらが姉妹機であるならば……こちらは兄弟機、と言った所だろう。
「でも確かに、リッキーにしてはいい考えかもね」
〈そっちもちゃんと合わせてくれよな。こっちだって、加速性能が高い分をお前に合わせて、抑えているんだからよ〉
「むうっ、そっちだって言ってくれちゃってさ。
 ――分かっているよ、チームプレイだろ。ちゃんと……上手くやって見せるさ」



 そんな時、前方のアトリとヒバリからも、通信が届く。
 通信用モニターは分割され、リッキーに加えて、フィナとティナの顔も表示される。
〈……フウマさん、それにリッキーさんも。お元気そうで何よりですね。〉
 フィナは優しく、素敵な笑顔をフウマに向けた。それはこのレースの場では、あまりにも不似合いなくらいに女の子らしい可憐な表情だ。
〈おう! 二人とも元気そうだな! まさか……俺たちに叶うと、思ってはいないだろうな?〉
 一方、ティナは不敵な表情を見せ、攻撃的な様相を示していた。それはフィナとは対称的に、少女と言うより戦士のそれに近い。
 しかし――どちらもその瞳の奥に、見えるものは同じ。それは確固たる勝利への執念、そのものだ。
「……やぁ、二人とも。ずいぶんとやるじゃないか。でも……それもここまでさ! 今度こそ決着をつけてあげるよ」
〈ククッ! あの時はあっけなくやられたのに、よく言うぜ。……リッキーも、フウマと同じ考えってか!?〉
 ティナの問いに、リッキーは深くうなづく。
〈まあな。こちとらレーサーだぜ? 一番を狙うのは当り前さ!〉


 それにティナは、納得した様子を見せた
〈そりゃ、そうだな! こう言葉で済めば、レースだってする意味ないしな。……いいぜ、幾らでもかかって来なよ!〉
〈例え二人がかりでも、私とティナの連帯、簡単に崩せるとは思わないで下さい!〉   
 対する双子姉妹も、立派なレーサーだ。やはり並大抵とは行かないだろう。 
「……ふっ、それは楽しみだよ。でもこっちだって、負けないからね。行くよ! リッキー!」
〈ははっ、まさかフウマにそう言われる日が来るとはな。俺も焼きが回ったものだ〉
 リッキーはそんなフウマに、軽い苦笑いをしている。
「いいから、早くしようよ!」
〈りょーかいだ。せいぜい、目にもの見せてやろうじゃないか!〉
 対する二人も、フィナとティナに負けず劣らず――戦意は十分だ。
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