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第十章 Grand Galaxy Grand prix [Action!〕
経験不足
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――――
確かに、機体は十分に高性能、そしてレーサーとしての技量と胆力も、どのレーサーにも引けを取らないくらいに持ち合わせていたフィナとティナ。
『トゥインクルスター・シスターズ』の異名で名をはせ、たった半年の間で、幾つもの試合で大活躍……。G3レースの出場権を獲得したのも全て、彼女たち、そしてその機体アトリ/ヒバリの実力および性能によるものだ。
……しかし、二人には大きな弱点があった。
それは――『経験の不足』、その一言に尽きる。
まず、人生経験の不足による恐れ知らず、そして増長しがちな部分がまだ目立っていた。
そして次に……レーサーとしての、経験不足がある。
比較的若いレーサーである、フウマですら宇宙レーサーとなり約二年は経過し、それなりの経験を積んでいる。
一方、フィナとティナは、これまで自分達の住む星で、航空機によるレースを行って来た。……とは言っても、それはごく限られた環境下においてのレース。宇宙レースは様々な宇宙空間、惑星と言った、多彩な環境で繰り広げられており、…………二人はまだデビューして、たった半年しか経っていない。
つまり宇宙レースそのものの、経験が他よりも少ない。
……この砂嵐の発生にしろ、二人にとっては初めてだった。
加えてさっきまで、フウマ、リッキーを上手くリードし、気を抜いていた所に不意打ちの形でのハプニングだ。そしてまだ――二人にはこの場合、突然の対処を行えるほどの、経験値も足りていなかった。
結果、この混乱で大きく隙が生じた。
リッキー、そしてフウマはその好機を逃さない。
突然発生した砂嵐は、あっと言う間に拡大して、周囲全体を覆いつくす。もはやモニターでは、ほとんど様子は確認できない。
そして舞い上がり、辺りを覆う砂のせいか、レーダーさえも上手く機能していない。これは少々……不便だろう。
――けど、それは向こうも同じ。何だか驚いていたみたいだし、いけるかも――
辺りは赤い砂の粒子が宙を舞い、殆ど見えないながらも加速するテイルウィンド。
例え速度を出しても、この辺りには衝突するような障害物はない。……はずだったが。
赤砂のカーテンの背後に、現れた黒い影。
〈させるかよ!〉
ティナの声とともに現れたのは、彼女の駆るヒバリ。機体は思いっきり、テイルウィンドに体当たりを仕掛けた。
「……うわっ!」
まさかここまで、荒い手段を取るとは思わなかった。今度は、フウマが驚愕する番だ。
やや繋がりは悪いが、それでも通信機能は使える。
追い詰められたせいか、ティナの瞳は更に、戦意に燃えている。
〈まったく、俺たちもやられたものだぜ。――だが、お前たちも通させはしないぜ! せいぜい砂漠とキスでもするといいさ!〉
「一体、どこでそんな言い回しを覚えたんだか。……くっ!」
勢い強くヒバリに押し付けられ、テイルウィンドは降下する。
脱出しようにも、なかなか向こうは、離れようとしない。
〈ちょっとお姉ちゃん! ……こんな事するなんて〉
と、そこにフィナのたしなむ声がする。彼女の機体も、すぐ側を飛行している。
……が、ティナはそれに耳を傾けようとしない。
〈悪いがフィナ、レースは勝つか負けるかさ! 手加減なんてしていられるかよ!〉
〈でも、まだ先もあるんだし、ここでそこまでしなくても……〉
〈だからだよ! ライバルは少ない方がいいだろ。フウマには悪いが……いっそ、ここでリタイヤしてもらうのさ!〉
感情の高まるティナ、だが……そのせいか、若干ヒバリの押さえつけが緩んだ。
――もらった!――
テイルウィンドはとっさに左に旋回し機体から逃れ、加速を加えて追い抜いた。
見ると視界を覆う赤い砂は薄れて行き、そして、そのまま砂嵐から脱出する。
隣を見ると、ワールウィンドも同じタイミングで姿を見せた。
〈おう! そっちも上手く行ったみたいだな! ……意外に上手く行ったじゃないか!〉
フウマは頷く。
「まあね。……惑星ルビーのエリアも、ここで終わりだしね」
二機は急上昇を始め、大気圏を離脱するコースへと入る。
しかし――。
その後、砂嵐を突破し、現れた一つの影がフウマ達を追う――。
――――
猛攻に失敗し、フウマに逃げられたティナ。
――ちっ! しくじったぜ――
彼女は小さく舌打ちをする。
――お姉ちゃん、大丈夫?――
そう気遣う、フィナのイメージがティナに伝わる
――まぁな。けど……あと少しで仕留められたんだ。フィナが余計な事を言わなければ、さ――
若干、拗ねている様子のティナ。
いくら双子でも、性格がここまで違うと、考え方も異なる。レースでは息の合うプレイを見せるも、やはりその点は変わりない。
―けどお姉ちゃんのやりかたも、ちょっと乱暴よ。でも、今はそれより――
フィナは続ける。
――あの二人に、負けたままだと、私も悔しいです。急いで後を追わないとね――
これを聞き、さっきまで拗ねていた事も、ティナは忘れた。
そして彼女はニッと笑う。
――そうだな! 私たち『トゥインクルスター・シスターズ』が、負けるはずがないからな! 今度こそ、思い知らせてやるぜ!!――
二人の機体、アトリとヒバリ。二機は合体して加速する。
これも機体の特殊機能の一つ。……アトリ、そしてヒバリは合体する事により、二対四基の可変翼ブースターによる、更なる高機動と加速の上増しを可能にしている。
合体したアトリ/ヒバリは高い速度で、砂嵐の切り裂いた!
――行こう、ティナ!――
――おうよ、フィナ!――
再び息の合った双子、二人の前に敵う相手は、いるのだろうか――
確かに、機体は十分に高性能、そしてレーサーとしての技量と胆力も、どのレーサーにも引けを取らないくらいに持ち合わせていたフィナとティナ。
『トゥインクルスター・シスターズ』の異名で名をはせ、たった半年の間で、幾つもの試合で大活躍……。G3レースの出場権を獲得したのも全て、彼女たち、そしてその機体アトリ/ヒバリの実力および性能によるものだ。
……しかし、二人には大きな弱点があった。
それは――『経験の不足』、その一言に尽きる。
まず、人生経験の不足による恐れ知らず、そして増長しがちな部分がまだ目立っていた。
そして次に……レーサーとしての、経験不足がある。
比較的若いレーサーである、フウマですら宇宙レーサーとなり約二年は経過し、それなりの経験を積んでいる。
一方、フィナとティナは、これまで自分達の住む星で、航空機によるレースを行って来た。……とは言っても、それはごく限られた環境下においてのレース。宇宙レースは様々な宇宙空間、惑星と言った、多彩な環境で繰り広げられており、…………二人はまだデビューして、たった半年しか経っていない。
つまり宇宙レースそのものの、経験が他よりも少ない。
……この砂嵐の発生にしろ、二人にとっては初めてだった。
加えてさっきまで、フウマ、リッキーを上手くリードし、気を抜いていた所に不意打ちの形でのハプニングだ。そしてまだ――二人にはこの場合、突然の対処を行えるほどの、経験値も足りていなかった。
結果、この混乱で大きく隙が生じた。
リッキー、そしてフウマはその好機を逃さない。
突然発生した砂嵐は、あっと言う間に拡大して、周囲全体を覆いつくす。もはやモニターでは、ほとんど様子は確認できない。
そして舞い上がり、辺りを覆う砂のせいか、レーダーさえも上手く機能していない。これは少々……不便だろう。
――けど、それは向こうも同じ。何だか驚いていたみたいだし、いけるかも――
辺りは赤い砂の粒子が宙を舞い、殆ど見えないながらも加速するテイルウィンド。
例え速度を出しても、この辺りには衝突するような障害物はない。……はずだったが。
赤砂のカーテンの背後に、現れた黒い影。
〈させるかよ!〉
ティナの声とともに現れたのは、彼女の駆るヒバリ。機体は思いっきり、テイルウィンドに体当たりを仕掛けた。
「……うわっ!」
まさかここまで、荒い手段を取るとは思わなかった。今度は、フウマが驚愕する番だ。
やや繋がりは悪いが、それでも通信機能は使える。
追い詰められたせいか、ティナの瞳は更に、戦意に燃えている。
〈まったく、俺たちもやられたものだぜ。――だが、お前たちも通させはしないぜ! せいぜい砂漠とキスでもするといいさ!〉
「一体、どこでそんな言い回しを覚えたんだか。……くっ!」
勢い強くヒバリに押し付けられ、テイルウィンドは降下する。
脱出しようにも、なかなか向こうは、離れようとしない。
〈ちょっとお姉ちゃん! ……こんな事するなんて〉
と、そこにフィナのたしなむ声がする。彼女の機体も、すぐ側を飛行している。
……が、ティナはそれに耳を傾けようとしない。
〈悪いがフィナ、レースは勝つか負けるかさ! 手加減なんてしていられるかよ!〉
〈でも、まだ先もあるんだし、ここでそこまでしなくても……〉
〈だからだよ! ライバルは少ない方がいいだろ。フウマには悪いが……いっそ、ここでリタイヤしてもらうのさ!〉
感情の高まるティナ、だが……そのせいか、若干ヒバリの押さえつけが緩んだ。
――もらった!――
テイルウィンドはとっさに左に旋回し機体から逃れ、加速を加えて追い抜いた。
見ると視界を覆う赤い砂は薄れて行き、そして、そのまま砂嵐から脱出する。
隣を見ると、ワールウィンドも同じタイミングで姿を見せた。
〈おう! そっちも上手く行ったみたいだな! ……意外に上手く行ったじゃないか!〉
フウマは頷く。
「まあね。……惑星ルビーのエリアも、ここで終わりだしね」
二機は急上昇を始め、大気圏を離脱するコースへと入る。
しかし――。
その後、砂嵐を突破し、現れた一つの影がフウマ達を追う――。
――――
猛攻に失敗し、フウマに逃げられたティナ。
――ちっ! しくじったぜ――
彼女は小さく舌打ちをする。
――お姉ちゃん、大丈夫?――
そう気遣う、フィナのイメージがティナに伝わる
――まぁな。けど……あと少しで仕留められたんだ。フィナが余計な事を言わなければ、さ――
若干、拗ねている様子のティナ。
いくら双子でも、性格がここまで違うと、考え方も異なる。レースでは息の合うプレイを見せるも、やはりその点は変わりない。
―けどお姉ちゃんのやりかたも、ちょっと乱暴よ。でも、今はそれより――
フィナは続ける。
――あの二人に、負けたままだと、私も悔しいです。急いで後を追わないとね――
これを聞き、さっきまで拗ねていた事も、ティナは忘れた。
そして彼女はニッと笑う。
――そうだな! 私たち『トゥインクルスター・シスターズ』が、負けるはずがないからな! 今度こそ、思い知らせてやるぜ!!――
二人の機体、アトリとヒバリ。二機は合体して加速する。
これも機体の特殊機能の一つ。……アトリ、そしてヒバリは合体する事により、二対四基の可変翼ブースターによる、更なる高機動と加速の上増しを可能にしている。
合体したアトリ/ヒバリは高い速度で、砂嵐の切り裂いた!
――行こう、ティナ!――
――おうよ、フィナ!――
再び息の合った双子、二人の前に敵う相手は、いるのだろうか――
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