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第一部

1.魔女、王子さまの初めてをいただく※

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「さて、ウルリッヒくん。心の準備はいい?」

 若い裸体にまたがったまま、イルヴァは夜着を脱ぎ捨てた。 

「……いつでも構わない」 

 少年の視線が、彼女のたわわに実る乳房の先にまとわりついてくる。触ったら柔らかいだろうか、谷間に顔をはさんだら気持ちがいいだろうか。そんな心の声まで聞こえてきそうだ。胸をたっぷり鑑賞したら、視線は凹凸のハッキリとした腰と無毛のクレバスに流れる。おそらく、今からここに己を潜り込ませ、初めての快楽に溺れる期待に胸を膨らませているのだろう、少年は熱く息を漏らした。
 自分の魅力を熟知しているイルヴァには、なんとも気持ちの良い時間だ。

――初心で純真なのに、女の身体に興味津々。青いのに食べごろね。

 中腰の姿勢で、思わず朱唇を舐める。彼女が股の間の雄茎に手を添えると、それはみるみるうちに硬く太くなった。

――かわいいの。

「ウルリッヒくん、力を抜いて」
「わ、わかった」

 イルヴァは照準を定めながら、ゆっくりと腰を落としていく。ずぶずぶと音を立てながら未成熟の男根を飲み込むと、鍛えられた膣襞が一斉にうごめき、なかのものを締め付けた。彼女は相手のいいところを探りつつ、慎重に腰をまわす。

「はっ、……はあっ、あぁ」
「どう?」
「はぁっ……、すごい、イルヴァ……っ」

 組み敷く美少年の顔は朱に染まり、吐息は熱い。両手は必死に枕の両端をつかんでいるのが可愛い。イルヴァは、まるで天使を地上へ引きずりおろしたような気分になる。ぞくぞくとした背徳感が止まらないのだ。

「そう、でしょ? 初めての相手が、魔女だなんて、ウルリッヒくんは、ついてるわね」
「う、ん」

 彼女は、膣内で男根がより旺盛になるのを愉しんだ。腰で円を描くだけでなく、少し上体を傾げて上下する。あふれ出る蜜液で雄茎を包み、じゅぶじゅぶと音を立てながら最奥へといざない、また浅く戻る。
 
「んっ……、あっ」
「はっ、イルヴァ、……きもち、いい」

 そうとも、魔女の肉体と技におちない男はこの世にいない。だが、決して魔女は男におちてはいけないのだ。だが。
 
「あぁん、……ふぅ、んん……っ」
「すごいよ、イルヴァ」
「ウルリッヒくん。……わたしも、気持ち、いいかも。……あっ」

 少年の薄い腹の上で、背中を反らし喘ぎ声をあげる女。それが自分だと気が付いて、イルヴァは愕然とする。まったくの無意識だった。

――へんなの。太さも長さもまだまだなのに、わたしのいいところばかりにあたってくる。もしかして、これが噂に聞く『相性がいい』ってやつ?

 快楽に頬を染め、しどけなく唇を半開きにするウルリッヒを見下ろす。イルヴァの膣壁は甘く収縮しうねりをつけた。興奮に呑まれるまま何度も腰をふるうと、接合部からじゅぶじゅぶといやらしい音がこぼれる。寝台がギシギシときしみ、男女の喘ぎ声はいつまでも途切れなかった。

「イルヴァ、……もうっ」
「いいわよ。よく頑張ったわね」

 膣内の男根が重量を増し、膣襞はさらにうねりを増す。若いウルリッヒは限界だろう。イルヴァは最後の締めとばかりに、深く腰をまわした。

「んんっ、ああ……っ!」
「はぁ……っ」
「ああああんんっ」

 イルヴァの蜜壺に大量の精液が流し込まれ、あまりの気持ちよさに視界が白く塗りつぶされる。少年一人をイかせるつもりだったが、予定外に自分までイってしまった。だが、脱力して覆いかぶさった魔女の粗相をウルリッヒは咎めない。彼もまた、恍惚とした表情で天井を見上げていた。

――子どもなのにすごい精気。

 イルヴァの身体に、魔力が満ち満ちていく。まるで空のグラスに勢いよく水を注がれるようだ。彼女は身を起こそうとしたが、ウルリッヒが抱きしめて阻止した。

「どうしたの?」
「もう少しだけ、イルヴァのなかにいたい。僕のこと、まだキュンキュンと締め付けてきて、気持ちいい、から……」
「仕方ないわね」

 いたいけな少年の懇願に心を動かされた大人を演じるものの、イルヴァの気持ちも同じだった。裸で肌をすり合わせているのが気持ちよい。ずっとこのままでいたいと思った。少年をうちに収めたまま、抱きしめて横向きに寝転ぶ。

「イルヴァ」

 呼ばれて腕の中をのぞき込むと、唇を押し付けられる。キスはまだまだ下手くそだった。だが、彼女は知っている。それも一時のこと、この少年はこれから先、多くの女性を愛し悦ばせる。そしていつか、自分にふさわしい伴侶を見つけ、幸せな家庭を築くだろう。

「俺の精気、ちゃんとイルヴァの魔力になった?」
「ありがとう。予想以上におなかいっぱいよ。良いモノ持ってるわね、ウルリッヒくんは将来大物になるわ。魔女が保証してあげる」
「よかった」

 彼女が笑顔を浮かべると、ウルリッヒは顔を真っ赤にさせた。イルヴァの膣内で、再び男根が勃ちあがり、弱いところを刺激してくる。微笑み一つで元気になる少年の反応に、彼女の心は躍った。つい、サービス精神を働かせてしまう。

「まだ、したい?」
「……いいの?」
「いいわよ。付き合ってあげる。次はどんな体位がいい?」

 イルヴァは、不可思議な感情を無視して少年を抱きしめた。
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