王が愛した暗殺者

柿崎まつる

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2.傷だらけの身体※

 節のある大きな手は腰をなで、熱い舌がへそのなかをさぐっていく。相手から感じるのはスンの身体に執着する雄の渇望と、何やら分からぬ温かいだ。頭が霞んで今は考える余地もないが、いつかはその正体を知りたいと思う彼女だった。
 そのとき、光明クァンミンが愛撫の手を止める。

「あっちはでこぼこで、こっちはざらざらだ。火傷に切り傷に裂傷。おまえの身体は、傷痕だらけだな」

 言われた通り、スンの身体には様々な傷がある。暗殺団に服従するために付けられたもの、殺しを学ぶために付けられたもの、そして、いたずらにつけられたもの。

――知られたくなかったのに。

 相手は彼女を一方的にしょげ返らせると、そんなことなどなかったように手と舌を順に下降させていった。手首を拘束されたスンは平らな腹をなでられ、足の付け根を強く吸われる。植えつけられる快感から逃れようと、必死にあがいた。

「少し元気が良すぎるな」
「あ……っ、何をする……っ」

 光明クァンミンが、しなやかな両太腿を開くや、敷布に押さえつける。秘所が空気にさらされ、スンは心もとなく感じた。柔毛に王の吐息がかかる。予想外の相手の行動に息を呑んだ。

「き、汚い……っ、放して……っ」

 その動きは粘着質で、彼女のおびえには無慈悲だった。刺激を与えるときに傷つかぬようにと、唾液を塗りたくられる。花芯を勃たせようと、唇で吸われる。ちょこんと尖がるそれを可愛がろうと熱い舌がからんできた。甘い熱が身体中をめぐり、出口を求めて下半身がうずく。

「ん……っ、はぁ……っ」

 秘玉とは別の快楽の場所を探して、太い指が膣に入ってくる。お腹の裏側をこすられると、スンの腰が大きく跳ねた。 

「おまえの弱いところを見つけた」

 嬉しそうな声が耳朶を打って、二本目の指が押し入ってくる。力強い指が膣のなかをかき回し、彼女の気持ちの良い場所を何度もこすってきた。

「あっ……、やっ……ぁ、やぁっ……っ!」
「情交には馴らされているが、快楽は知らぬようだな。入り口は緩やかなのに、反応はまるで処女みたいに初々しい」

 相手の話していることが、彼女には理解できない。ただ、分かるのは男の指がもたらす快楽がすさまじいという事だ。彼女の膣をかき回す度に、いやらしい水音が暗闇に散る。もう少しで絶頂が来そうだった。
 そのとき、思いもよらないことが起きた。

「あああっ、やぁ……っ!」
「すまん。お前の乱れっぷりに、我慢が効かなかった」

 孫が極める前に、光明クァンミン自身が押し入って来たのだ。乱暴ともいえる動きに、目の奥がちかちかする、それは、いまだかつて受け入れたことのない衝動だった。長くて太くて、納めるのに時間がかかる。

「あっ、あ、あああっ、ああ……っ」
「奥が、やけにきついな」
「……あっ……あぁ……っ!」

 一突きが重くて、腰全体が痺れる。とっくにイっていてもいいぐらいの気持ち良さなのにイかないで、極める手前ギリギリの官能を保持し続けている。

――こんなのは知らない。

 自分のなかに深い快楽を生み出す場所があることに、今の今まで気がつかなかった。髪を乱し、目を白黒させるスンに、男が笑う。

「可愛い女だな」
「あああっ……」
 
 そんな言葉一つに膣襞がうごめいて、男を中へ中へと引きずり込もうとする。だが、男はそれに抗うように、律動を一度止めた。そして、彼女にとって恐るべきことを口にする。

「叔父はかつて、捨てた愛人に『短小』を暴露され、その女の一族諸共殺したそうだ。それ以来、自らが抱える暗殺団の女幹部一人を相手に性欲を満たしているとか。やれ、老年に入っても元気なことだ」

 スンの肩がビクリと揺らぐ。再開された光明クァンミンの腰の動きが途端に、深く早くなった。

「小男の貧弱なナニでは、満足できまい」
「んん……っ! や……っ、ぬ、いて……っ」

 暴力的な挿入に、正常ではいられない。これで、男の精など受けたら、どうなってしまうのか。彼女は泣いて叫んで抗ったが、少しも手加減してもらえなかった。

「ああああっ!」
「く……っ」

 膣の奥底に白濁液をまき散らされ、スンはその衝撃で二回目の極みに上った。折り重なった二人は、お互いの熱を感じた。

「はぁ……」

 身を伏せて荒い息を整えていると、光明クァンミンが新たな動きに出る。彼女の拘束をほどいて細腰を持ち上げ、寝そべる自分の腰にまたがらせた。反り返った男の先端が蜜口の真下にあることに、スンは恐れおののく。

「な、なにを……っ」
「そのまま、ゆっくり降りてこい。叔父は見下ろされるのを嫌うから、おまえはこの体位は初めてのはずだ。天に昇るほど、気持ちいいらしいぞ。俺にまたがった女は皆、そう言う」
「……やめろ……っ」 

 あの太い棒を下から突き刺されたら、きっと逃げられなくなってしまう。自分の自我が壊され、別のものされてしまう恐怖があった。

「……っ、……っく、あぁ……っ」
「ほら、好きに動いてみろ。極楽に行きたくはないか」

 視界の利かぬ暗闇で、スンを占めるのは光明クァンミンの存在だけ。つながった場所が切なくて、離すまいと下腹が妖しくうごめく。彼女は覚え始めの快楽に従って、男のうえで腰を振りたてた。膣の襞という襞が一斉にうねり、光明クァンミンを包みこんで離さない。   

「あああ……っ」
「ああ。おまえのなかうつつとは思えぬほど、きもちがいいな」

 なにやら感動したらしい光明クァンミンが、両手を伸ばしてきた。ぴったりと手を重ねるとそれに連動したように、下半身の結合も密になる。

「ん……っ、や、あっ……あああーーーっ」
「く……っ」
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