上 下
309 / 418

差別と差異

しおりを挟む
差別、と言うのは
元々違いのないものを分ける時にそう言う。


なので、芝田と加藤のように

元々違うものは、差別とは言わないが


芝田の母親などは、元々芝田家よりも
家柄が格下(だと本人が思い込んでいる。
元々、家柄なんて概念はどこにもないのだ(笑)


で、芝田に嫁入りしたので


劣等感を常に感じている(本人の自己暗示である(笑)。



そのせいで、芝田の結婚にも反対した
(家柄が違うと言う理由である(笑)


芝田の進路にも指図をするので

芝田は、母親を鬱陶しく思っている。




芝田の母親のような人は多い。


単なる癖、なのだけど

家の中みたいな、自分を抑制するものが
何もないところだと



どこまでが自分の我が儘が効くところか
そうでないところかが
解らなくなってしまうものらしい、そういう人は。



元々、人間にとって
狭い団地の部屋、みたいなところは

著しく不自然なので


そういう場所に合わせて行動すると、
奇妙な人格になってしまう。


原始時代でも、近代でもいいが
自然な状態なら、父親や
母親がいて、自分がいる。


そういう、人間同士の関係性は
常に、自分の欲望や言動に
抑制を与えていて、それが


ふつうの人間の行動


という事になる。



例えば、子供を産んで
育てるにしても

自分の父母が居れば、父母の手前自分勝手には
出来ない。

そういう姿勢を、子供は見て育つ。



「ああ、人間は周りに気遣いをするんだ」




思いやる事がふつう、だと記憶する。




ところが、父母と子供、なんて例だと



最初の子供なんて特にそうだけど

母親はひとりだと、自分勝手に振る舞うし
もし、芝田の母親のように差別的なら

覿面に、子供を鬱陶しく突き放す事も
あるだろう。


感情的になる事も、人間にはある。



そういう時、子供は

母親に支配されているように感じるし



ひとりの時は勝手でもいいし、
子供のような弱い立場の人間は
イジメてもいいのだ、と
記憶する事もあるだろう。





そういう理由で、芝田は
心に傷を持って育ってしまった。




元々、差別思想のせいであるが



加藤が偶然治してくれなければ
ずっと、地獄の苦しみを
味わい続けて生きていく事になったのだろう。


しおりを挟む

処理中です...