科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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正義と愛

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お金になるからと言って、何もかもが
許される訳でもない。

日本で言えば、法治国家なので

法令を超える事は、絶対に出来ないのだが

法令の適用が面倒なので、無法な者が
増えてしまっていて


それで傷ついた人が、夜も眠れずに
加藤のところに救いを求めて来る。



今夜の相談は、ゆきな、と言う
20才のアルバイタ。


「歯科衛生士の資格を取って、医院に勤めました。でも、医師が横暴で
それで、辞めてバイトしています。
夜になると、眠れない事もあります。」



文面はそれだけだった。



加藤は、返信に添えて電話番号、相談用のPHSの
番号を書いた。




誰も助けになってあげられないなんて。






電話が掛かって来たのは、深夜だった。




余程つらいのだろう。



防御の為に神経が興奮したままで
眠れない事が、そういう時にはある。


思い出せないのが一番いいのだが


ひとりでいたりすると思い出すので
よく使う記憶になって、時々思い出してしまう。




「夜分にすみません、ゆきな、と言います」



おそらくハンドルネームだろうが、そうでないかもしれない。


加藤は、その名前に記憶があった。



加藤の研究が、時折暇になると
アルバイタとなって、加藤も
外で普通に働く事があった。



スーパーマーケット、コンビニ、バス運転手、郵便局、トラック運転手、機械の修理、電気設備保守。


家電の販売員(笑)。



なんてもやった。


加藤の記憶にあるのは、少し前に
パン屋でバイトした時に出逢った女の子だった。


細身でおとなしく、あまり笑わない子だったけど


その表情から、どこか心に疲労があるように
思えて

加藤は、時々話し掛けては
気持ちを和らげてあげると

彼女も、笑顔を加藤には見せるようになった。



マネキン、と言って

パン屋の店頭販売員をする当番があったりすると
彼女は、苦手そうな表情だったので


加藤が変わってあげて。


加藤が店頭に立つと、売上が伸びるのだった。



それはほとんど、寅さんの演技のようなものだが(笑)。



「さあ!ご往来の皆様。

こちらは本日、特別にご用意致しました
今、焼きたてのパンでございます。

遠くば追って耳に聞け、近くは寄って目にも見よ。
おおっとぉ、食ってなんぼ、味わってひとひら。
さあ、お嬢ちゃんがた、お母さんがた

食べてみて頂戴。わたくしが腕により掛けて
焼いたフランス生地のメロンパン!」



と、調子よく七五調で言うのは
ほとんど寅さんだが(笑)

ミュージシャンの加藤は、リズムに乗るのと
雰囲気を掴むのが好きだ。


アドリブでギターを弾くような感じ。


やっていて楽しい。



彼女も、それを見て笑顔になって



「わたしもやってみます!」と、頬赤らめて


手伝うのだった。





そんな、楽しいアルバイトの記憶を
加藤は思い出しながら。

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