タビスルムスメ

深町珠

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さよなら、ゆふいんの森

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運転手の過酷な労働。その中で
やっぱり、逃げたがる人も居た。

新人でも、大型路線は
車体が大きいので、仕事が少ない。

それで、運転技術が無いのに
大型に乗りたがる新人も多かった。

しかし、野田は
そういう連中には厳しい。

「合間だけ中型に乗れ」と(笑)
結果的に、かえって忙しくなってしまったりするように
ダイア調整をしたりした。


愛紗は、なんとなく
そういう風潮が嫌いだったのもあった。


親切にしたり、仲良くするほうが好きだった。

けれども。
バスの運転研修を受けて「それも仕方ないかもしれない」と
思い始めていた。


危険と隣り合せの仕事。

自身は危険ではなくても、人が死んだりすることもある。

そういう所から逃げたいと思う人を、無闇に責められないな、なんて
思ったりした。

実際、愛紗自身もそれで、運転職を退く事になったのである。


・・・尤も、有馬や野田の思い遣りであるが。


事故が起きたら、かえって迷惑を掛ける。



その、自身の適性の低さが、不甲斐ない。
そう思ってしまった愛紗だった。




「ゆふいんの森」は、ゆっくりゆっくりホームに到着。

機械式ブレーキの音が響く。

ここだけは、ディーゼル列車らしい。


久留米駅の久大本線ホームは、昔ながらのひなびたホーム。


スレート屋根、レールを曲げた柱と梁。
ずっと使い込んできた、そういう駅。

コンクリートのままのホームは、乗客の靴底で磨かれて
ぴかぴかになっている。



「道中お気をつけて」と、さっきのCAが
ドアのところで、お見送り。

「はい!ありがとうございました!」と、友里絵。


「ありがとうございます、すみません、さわがしくて」と、由香。


「乗務、がんばってください」と、愛紗。


「また来ます。帰りに」と、菜由。



CAも、にっこり。



ちょっと、お別れは淋しいけれど・・それも旅だ。



列車が停止。



車掌は、白い手袋で「停止位置、よし!」
ベテランなので、なんというか、決まっている。


ドア・スイッチを上げた。


空気の抜ける音がして、がらり、と

ゆっくりとドアが開く。



友里絵は、静かにホームに下りて、振り返り、お辞儀。


CAも、ホームに下りて。


「じゃ、行きます!」と。


CAは、にっこり。



由香たちも、続く。

乗換え時間には余裕がある。

振り返りながら「ゆふいんの森」を眺めて

友里絵は「いい旅だったぁ」

由香は「まだ始まったばかりだよ」



新幹線ホームに向かうために、地下道に降りた。

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