タビスルムスメ

深町珠

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カフェのひととき

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「ここです」と、飼い主さん。トイプーちゃんも「きゃんきゃん」と、嬉しそう。


ドアは開いたまま。


「こんにちはー。」と、友里絵。

「誰もいないみたい」と由香。


「まっくろくろすけでておいでー。」と、友里絵。

みんな、笑う。「そんなのいないよ」と、菜由。


飼い主さん「かわいいのね、ほんと」と、にこにこ。



「いつも、開いてるんですか?」と、愛紗。

飼い主さんは「誰か、ご近所さんがいるから。それに・・・あんまり
平日は人が来ないし。」


「のどかだなぁ」と、由香。


「いいなぁ」と、菜由。



「じゃ、なにか持ってくるわ」と、飼い主さん。


「おかまいなくー。」と、友里絵。

「なんでもいいのよ」と、飼い主さんがにこにこするので、友里絵は

「じゃーねー。ぶたのまるやき」

飼い主さんは笑って「それはないわねー。」


カフェは、静か。
商店街の中だけど、内装は木でできていて
ログキャビンみたいに見える。


「おっされー。」と、友里絵。

「それなに?横須賀弁?」と、菜由。


「えへん」と、友里絵。「ちょっと前なら・・・横須賀ベイベー♪」と、ヘンな歌をまた歌う。


由香は「ほっといてください、勝手に遊んでますから」と、にこにこ。


「手が掛からない子ね」と、菜由もにこにこ。


「ひとり遊びね」と、愛紗。


「いつもひとりで指遊び」と、友里絵。


「バカ!よその人がいるんだから!」と、由香。


幸い、飼い主さんはキッチンへ行っていて、聞いてなかった(^^)。




愛紗は、なんで指遊びがヘンなのか、よくわからない(^^)。










「それじゃ、池田湖へ行ってきたの」と、飼い主さん。

みんと一緒に、紅茶とケーキ。

ミルクティ、レモンティ、ストレート。いろいろ。

愛紗と友里絵はミルクティ。

由香はレモンティ。

菜由はストレート。


紅茶の香りが、なんとなくゴージャス。

テーブルは、マホガニー。結構重そう。



ケーキは、シフォン、いちごショート、モンブラン、エクレール。
ミルフィーユ。シュークリームもある。


「お菓子っていいね」と、菜由。
「ほんと、ふんわりする」と、愛紗。

「なんか、わるいなー。もらったお花で」と、友里絵。


飼い主さんは「いいえ。とっても嬉しいわ」と、にこにこ。「あ、お名前はなんて?」


友里絵は「あたしは友里絵、こいつは由香」

由香は「こいつかい」


友里絵は、ははは、と笑って「落ち着いてる子が菜由、上品な子が愛紗」


飼い主さんはにこにこ「いいお名前ね。私は麻里恵です。よろしくね」


「友里絵に似てるね」と、由香。「すみませんね。ヘンなのが似てて」


友里絵も笑う「すみませーん」

麻里絵は、いえいえ、と、掌を振って。
その仕草も、なんとなく品位があって。


「池田湖、楽しかった?」と、麻里恵。


「はい。イッシーちゃんに会いに」と、友里絵。

「会えた?」と、麻里恵。


友里絵は首振って「いなかったー。でも、骨めっけた。」


麻里恵は「骨?」と、どっきり。


由香は「あ、なんだか砂浜掘ったの、友里絵が、そしたらなんか出てきて。」

菜由は「ほんとだったら大発見だね」

麻里恵は「以前にも・・・どこかの大学で何か、それらしい物を見つけたとか・・・。」


友里絵は「おー。大発見。億万長者!」と。


「なんで億万長者なんだよ」と。由香。


「ミリオネアね」と、菜由。



「さぁ、あなたもチャレンジ!クイズ・ミリオネア!」と、友里絵。



「そっちに来たか」と、由香。


「池田湖で見つかった骨は、イッシーのものでしょうか。会場に聞いてみましょー。
50:50!」と、友里絵。


麻里恵「声も似てるわ」と、笑って。



「さあ、どちらでしょう。日生さん!」と。

愛紗は「え、わたし・・・・?じゃ・・・・〇」


友里絵は、顔マネ。日焼けのおじさんの四角い顔の。


その顔が可笑しいので、麻里恵も笑う。



数秒。


友里絵「ざんねーん!!」(^^)。


由香「ひとりでやっとれ」


菜由は「やっぱ、あんたら芸人になんなよ。」




友里絵「イッシッシ」

由香「それはさっきもやったぞ」

友里絵「はっぱふみふみすらりべち」

由香「ああ、そっちのイッシッシか」


愛紗と菜由には解らないけど・・・麻里恵には解るみたい。にこにこ。


友里絵「映画タレントにも親戚がおってな」

由香「ほうほう」

友里絵「トリビア・イッシー」

由香「それ、ハッセーちゃうか。ホンマにアホやな」



友里絵「ルパン♪ルゥパーン♪」

由香「それはサンセー」


友里絵「サンセーのはんたーい」


由香「それはパパやろ。バカボンの」





友里絵「日本人にもおったな」

「だれね」と、由香。   なぜか関西弁(笑)。


友里絵「佐川イッシー」


由香「それヤバイでー」


友里絵「イッシーどす、イッシーどす。石とちゃいまんねん。イッシーどす」


由香「ヘンな舞妓はんやな」


友里絵「イッシーの上にも三年三月」



由香「なんかちゃうでー。」


友里絵「クリーム煮込み好きだー。」

由香「それチャウダーやろ。ほんまにアホでんなぁ、あんた。」

友里絵「ほっといてんか」



トイプーちゃんもにこにこ。













「仲良しで旅行なんて、いいわね」と、麻里恵は楽しそう。「わたし、ひとりっ子だから。
あんまり友達もできなくて。きょうは楽しいわ」と。


友里絵「良かったら、ずっと、お友達になってください」と、名刺を出した。


麻里恵は「面白いのね。名刺があるのね」と。

愛紗はうらやましいな、と思う。

自然にお友達がいっぱい、で。




麻里恵の出した名刺、ふつうのビジネス名刺だけど

友里絵は「へー、専務さん!へへー」と、深くお辞儀。
「皆の物、図画たかーい。」


由香は「字、違うぞ。まったく中卒はなぁ」

友里絵「今は専門卒だって」


ははは、と、笑う、みんな。




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