タビスルムスメ

深町珠

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立野、早着、15秒! 

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その頃の友里絵は・・・・まだ、寝ていた(^^)。

特急「あそ」は、肥後大津に停車すると
かなりの人数が降車した。
意外と、ビジネス・ユースが多いのだった。

友里絵は、まだ・・・眠っている。

「ふにゃふにゃ・・・・いひひひ、いひ」

由香が「ヘンな寝言だなぁ」

菜由は「マジックで目玉書いてやるか」と、いたずら心。

愛紗は「授業中に居眠りする子が、書いてたね」と、くすくす笑いながら。

床下のエンジンが、ごろごろごろ・・・・と、ゆっくり回りながら坂を登るのは
なんとも不思議。
ターボ・ディーゼル・インタークーラなので
排気エネルギーが上手く回収されているのだ。

菜由が、黒いマジックを持って「いっしっし・・・。」なんて。


友里絵は、目覚めて「とりゃ」と。そのマジックの柄を掴む。

由香は「なんだ、起きてたか」


友里絵は「んにゃ、殺気で。」と。


愛紗は「剣豪みたい」と、笑う。

スモーク・ガラスの窓なので、車窓は夜みたいに見えるけど
前面窓を見ると、そんなに暗くもない。


♪ぴんぽん♪

チャイムが鳴り・・・・。

ーーーまもなく、立野、立野です。高森線はお乗り変えです。
お出口は左側、2番乗り場に着きますーーー。
と、録音の女声アナウンス。優しげな声で
九州ではおなじみ。


「あ、着くね」と、由香。

「つくね?食べたーい」と、友里絵。

「夢の中でも食ってたぞ」と、由香。

「そーなんだよね」と、友里絵。「太平燕って軽いから。ご飯頼めば良かった。」


菜由は「それはそうと、マジック離して」と、引っ張る。

友里絵は「ああーん、抜けない抜けない」と、ハートマークの声(笑)

由香「真由美ちゃんが居ないと、いきなりそっちに行くな」(^^;

友里絵「苦しかったよー、言いたい、言えない。ははは」

由香は「どーでもいいから、離せ」と、チョップ!

友里絵「いてーなぁ、凹んじゃうぞ」と、右手でうしろあたまをなでなで。

菜由が、その時マジックを引き抜いた「抜けたー」

友里絵は「いやーん、そんなに早く抜かないで・・・。」
と、くねくね。


愛紗は「・・・・。」ちょっと恥ずかしい。

友里絵は「あ、そっか、もうひとり居たか。お嬢さん」


愛紗は「ごめんね。」

菜由は「あ、友里絵の手」と、マジックの蓋を閉めて。


マジックを引き抜いたので・・・黒い筋が一本。


友里絵の左手は「あーあ、筋一本。あそこに一本。」


由香は「よせよ、バカ。誰かに・・・」と、見回したけど

だーれも居なかった。


愛紗は「みんな、指定席取ってるの」

菜由は「やっぱ、ビジネスマンだからか」

「ネット予約だと同じ値段だし」と、愛紗。

由香「そうなんだ?」


友里絵は黒い掌を見て「おじょーさん、黒いねぇ・・・だいぶ使い込んで。
いひひひ」(^^;


菜由は「だいぶ、溜まってたみたい」(^^;


由香「はははは」


友里絵「石川さんが?」


菜由はちょっと赤くなって「そんなこと言ってないよ、バカ」。


愛紗は下向いて、くすり、と笑う。


由香が「でもさーぁ、一週間ひとりだとさーーー。」と、語尾を長く。

友里絵は「しこしこしこ」と、歯をだして。にっか。


菜由は「四股だろ」と、ドヤ顔。


友里絵は「ひっかからんなー。」


菜由は「主婦をなめんなよ」

友里絵は「舐める趣味はないよ、そんな臭い・・・。」と、言いかけた時

列車が立野に着いて。

友里絵「降りようっと。」

由香は「あー、助かった」
菜由「ちゃんと洗ってるぞ」

愛紗「・・・・・。」

一同、どたばた・・・と。降りる支度。(笑)。
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