ふたりのMeg

深町珠

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みどりの森と

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クリスタさんは、天使さんなので
その言葉で、察した。

のんびりさんだけれども、そこはやっぱり天使さん。

「すぐに回収しないと・・・・・。」
と、絵本のコーナーに向かう。


すると・・・・・。

もう、子供たちが絵本を手に取っていたりして
ルーフィは焦る。


もし、床に絵本を落としたり、叩きつけたりしたら
めぐへの衝撃は相当なものだ。

F=mghである。

本の重さ×重力加速度×高さだが
小さな2次元平面にいるので、耐えうる圧力は小さい。



「ゆきのひとひら」のあるあたりの書架を調べる。


「どのあたりですか?」と、ルーフィは少し焦ってクリスタさんに尋ねる。



そのあたり・・・・と、コーナーの奥の書架のあたりに
返却した「ゆきのひとひら」を見る・・・・。


が。


すっぽりと抜け落ちたように、一冊分のスペースが空いている。




「ない。」どこへ行ったんだろう?と、ルーフィはあたりを見回した。


「まだ、開館したばかりですから、貸し出しカウンターに行っていなければ・・・・。」
クリスタさんは、カウンターの方を振り返るけれど

人影はない。




いったい、誰が・・・・。?



児童図書館の貸し出しカウンターは、まだ開いていない。





「読書コーナーかしら。」と、クリスタさんは、オープンスペースの
子供たちが本を読んで、遊べるコーナーになっているところを
思い出した。


エントランスのそばの一角。



そこには、子供たちが何人か。

絵本を持っている子もいる。





嬌声をあげて、転がっている子も居る。



もし、あの子たちが本を踏みつけでもすれば・・・・・。




すると。



絵本を持って、よちよちにこにこ歩いているちいさな子。

今にも、絵本を落としそう。



「大変だ!」


ルーフィは、そこに駆け寄り、スライディングして絵本を支えた。


タイトルは・・・・「みどりの森とたまごさん」




よかった。安堵するのも束の間である。


「ゆきのひとひら」は?どこだ?






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