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chef ' s special
しおりを挟むちょうど、キッチンで煮えている
トマトソースの匂いも
彼女に、そんな連想をさせたり。
ひとの気持ちって、そんなきっかけで変わる。
トマトの味とか、香りで
トマトがあった記憶が呼びだされたりする。
それで、Naomiもちょっと
懐かしい気持ちになった。
こんど、お母さんに
少し優しくしてあげようかな、なんて
(笑)
でも、顔見ると
喧嘩したりするのだけど。
そういうものだし、喧嘩相手に
ならなくなると
それはそれで淋しい(笑)。
ひと、それぞれに排他性が
生物だから当然あって。
だから、誰かと気軽に喧嘩する事も
必要だったりする。
そういう解消がないと疲れてしまうのて
でもそれは、Naomiの人格ではなくて
生き物としての細胞が
それを動かしているのであるから
彼女になんの罪もない。
もちろん、人類すべてに言えること、なのだけど。
そんな、めぐたちが
食堂車で、食べ物と
戯れている(笑)ころ
列車無縁には、中央管理室からの
指令が、伝えられていた。
首都からは、500km。
無線が届く訳ではないので、ネットワークからの
電話が転送された。
厳めしい感じの、中央の声。
「1列車車掌?出発が遅れた理由を
聞きたい」と
無線で、電話が転送されて来た。
直接、電話してくれば良いと思うのだが(笑)。
専務車掌、つまり、リサのおじさんは
のどかに答える。
「あ、あー、乗客対応です」
中央指令は、「どのような理由か」
車掌は、落ち着いて「ご体調への配慮です、ご気分を悪くされたとの事で」
確かに、腹減れば気分も悪くなる(笑)。
嘘ではない。
中央管理室は、若干不審げに駅長を呼ぶ。
駅長も、慣れたもので「車掌の言う通りです」
中央管理室は、不満げに「了解」とだけ言って
電話を置いた。
べつに、意地悪をしているつもりはないのだろうが(笑)
そう見えてしまう。
こういう人は、時間の管理だけが
仕事なのだ。
後ろ列車の遅れが、なぜか無かったので(笑)
もちろん、めぐの魔法のせいだけど
そのせいで、管理室としても
問題にしなかったのだろう。
妙なところで、役立つ魔法である(笑)。
車掌も、駅長も
上手く、トラブルを回避する能力に
長けている(笑)。
ずるい、と思うひともいるかもしれないけれど
みんなのために、列車を遅らせて
誰も困る訳でもないのに
正直に処罰されることもない。
むしろ、それで
罰せられたりしたら
食べ物を貰った乗客たちが
気に病んだりするかもしれない。
利害は、時々対立する事もあるから
こんな時、うまいこと切り抜けるのも
大人、である。
差し入れて貰った食べ物が
充分でなかったりしても
それは、差し入れてくれる人の
せいでもないから
みんなで、分け合えば
心も満腹になる。
でも、争って独り占めしたら
お腹は満たされるけれども
心は空腹になるから
そういう事にならないように
上手に生きる術を心得るのも
また、大人である。
車掌は、走っている列車の中で
上手く収まったトラブル、それと
駅長の心づかいに
微笑みを浮かべた。
損得抜きで、みんなの為に。
なかなかできない事だけど
そういう人が生きる場所が
国鉄、である。
オトナでなくっても、みんなのために
何かしたいという気持は、誰にでもある。
それは、細胞の中にあるミクロレベルからあるので
細胞そのものは独立して増殖しているけれど
環境がなければ生きていけない。
だから、お互いに生き易いように
いろいろな細胞ができた。
そういう考えの進化論もあったりもする。
生き物で言えば、神経細胞は
情報を伝えるだけの機能しかない。
情報が来ると、電気を帯びたりして
お隣の細胞に電気を伝える。
インターネットそっくりだ(笑)。
その細胞は、そうして集まって神経を作るけれど
どうして、そんな形に進化したのかはわからない。
生き物の体は、でもそういう神経が無いと
動かないので
必要があってそうなったのだろう。
細胞同士で、たまたま電気を伝えるのが
上手な細胞が集まって、みたいな想像をするのは、楽しい。
いま、めぐたちや
車掌さん、駅長さんは
列車、と言う環境を守る為に
それぞれが、できる事をしている。
たぶん、細胞がしているように
環境を守りたいと思うのだ。
若者だって、子供だって
生きているもの。
お腹が空く時も、ミクロレベルでは
細胞が、エネルギーを求めていて
その細胞たちが、なにかサインを出すのを
マクロレベルで、人間が感知したりする訳で
体の中のエネルギー分を、例えば糖分なら
その値が減ってくると、お腹が空いたと
思ったりするけれど
それは、つまり
細胞たちが、エネルギーを使って
減ったから、それを
お腹が空く、と
感じる仕組みが出来て来たと
そういう事で、人の感覚は出来ていたり、する。
お腹が空いた人達は、細胞みたいに
列車の中、食堂車で
ご飯を食べるけど
そのご飯が、体の中の細胞たちの
エネルギーになっているので
宇宙が、多重次元であるように
細胞たちと、人間たちは
多重次元のように見える。
そして、細胞たちの中にも
ミクロンレベルの
世界が、例えば元素の世界があって
その中に電子と原子があったりして。
面白いように、みんな似ている。
そうして、お腹が満たされれば
人間、そんなに腹はたたない(笑)。
そういうもので、乗客の中で
列車が遅れる事に、クレームをつける人など居なかった。
もともと、この世界は
過大な欲望が起こらないように
神様が工夫をした世界。
欲望、それを
目の前のものだけを対象にすれば
そんなに争いは起こらないもの。
記憶や、空想、仮想を
目的にするから
欲望は過大になる。
つまり、欲望が
3次元の、目の前にあるような事だけを対象にするように、設定されていれば
欲望は適当になる。
お馬さんが、目の前の人参だけを欲しても
それほど、焦りも苛立ちも起こらない。
例えば(笑)。
でも、あさって人参を食べられるかもしれないと
思って生きれば、それは苛立ちもするだろう。
そう、例え話にすれば
おかしな話だけど
人間のしている事は、大方そんな事で
客観的には、不思議な行動である。
その、仮想を目的にするから
おかしくなるのだ。
そこのところを、少し修正したら
この国は、住みやすい世界になった。
列車の行方が、例えばこの列車みたいに
地震で
時間が予定できなくなったりすると
乗客にも実感する事ができたりする。
予定の時刻に、列車が着くのは実は結構
いろんな人の努力の賜物なのだ、と言う事を。
機関車乗りは、運転席で
沿線に立って、線路の点検をしてくれた人達の
側を通り過ぎるたびに
列車の汽笛を鳴らして労った。
地上のひとたちは、手を挙げて
微笑む。
日焼けした顔は、いかにも頼もしい。
逞しい腕。ヘルメットの笑顔。
それも、鉄道職員である。
食堂車に集まる人の中には、アジアンの
人もいて。
その中に、日本人のおばあちゃんもいた。
口に合わない、洋食に困っていて。
お腹は空いているけど、でも仕方ないと
途方に暮れているのを
アジアンの、れーみぃは見かねて。
「めぐぅ、あの、おばあちゃん」と
ウェイトレス姿の、めぐに。
めぐと、れーみぃは
カウンターから、食堂車のレストランに出て。
「いかが、なさいました?」
おばあちゃんは、恐縮しながらも
「はい。ありがたい施しです。心して
いただきます」とは
いいながら、冷めてしまった
ヌードル、洋風のスープを
召し上がっている。
食習慣もまた、生まれながらに
繰り返し得たもので
長い間に慣れたものは、中々換える事も
難しいし
年を取ると、あっさりとしたものを
好むようになる。
アジアンでも、お米のお粥とかを
朝食べたりするのは
起きたばかりとか、体がそんなに
エネルギーを必要としないときに
頂く、そんな習慣があったりもする。
それも、細胞レベルで
あまり、細胞の増殖が起こらなくなるから
エネルギーを必要としないから。
「よし!」れーみぃは、キッチンに戻って
ショートパスタのような、ニョッキのような。
そういうものを作ろうとした。
その時、列車料理人のひとり、ちょっと怖いような雰囲気だった職人が
「リゾットのお米がある」と。
インディカのお米を、食糧庫から
一掴み。
それを、お鍋で茹でこぼして。
笊に上げて。
湯気の香気には、インディカ米の癖もなく
日本人の好みに近い、素直なご飯に近いものが。
「すごぉい!」と、れーみぃは驚く。
料理人の手練。それも、記憶の繰り返し。
おばあちゃんに、その、ごはんと
ソテー用の白身魚を、網焼きしたもの、それを
ソルトペッパーで作った、ゆず胡椒。
おばあちゃんに差し上げて。
「ありがとうございます、ありがとございます」と
おばあちゃんは、涙もろいから。
とても喜んでいた。
日本ふうのお澄ましを、職人さんは作って。
それも、おばあちゃんにとても喜ばれて。
「れーみぃ、いい事したね」と、めぐ。
れーみぃも、うんうん、とうなづいて。
みんなで、幸せになろうね、と
めぐは心でつぶやいて。
列車の揺れを、心地好く思いながら
北へ向かう、1列車で。
食堂車の料理人も、また、鉄道職員だ。
みんなのために、ひとりが居る。
ひとりのために、国鉄はある。
ほんとは、国、ってそういうものだと思う。
神様もそう思っていることだろう。
みんなが、ゆたかに暮らせるためのもの。
なので、さっき臨時停車した温泉駅の
そばの人々が、善意で
食べ物を分けてくれた、その気持に
みんな、感謝して。
乗客の人々は、無事に目的地に着いたら
「今度は、あの温泉駅へ旅行に行って、お礼をしよう」
そんな風に思ったり、
「あの温泉駅で、お世話になった料理人さんや、ホテルのひとに
お礼の品を心を込めて贈ろう」
なんて思う。
それが、結局
温泉駅のそばにある、小さなリゾートのお客さんが増えたり、
国鉄や、郵便局、贈り物のお店が
商業的に潤うのであるから
それは、結局経済である。
善意によって、誰しも幸せな気持で
経済が潤うのであるから
それは、いい事で
「無駄だ、損だ」として、炊き出しを断ってもいいけれど
そういう、排他的な気持は結局、不幸を呼ぶし
後で、損をするのである。
困っているときに、助けてもらえた事を
人は、忘れないものだし
そういう人々の、温かい気持を有難いと思うものだから
「同じ、お金を払うなら、ああいう人たちに払いたい」と
思うものだろう。
めぐと、れーみぃのおもいやりを
おばあちゃんも、忘れないだろうと思うし
一見、怖いような列車料理人の人の、温かい気持も
忘れないのだろう、そう思う。
温かい気持の人たちが、輪になっていければいいな、と
めぐは思ったりもする。
神様も、もちろんそう思っているのだろう(笑)。
神様は、めぐたちの活躍を
雲の上から、見守っていて
「魔法も、そういう使い方するといいのぉ」と
魔法使いでもないのに、そんな事を言って
のどかに笑っていた。
欲望、それが
生物的な、細胞レベルからの欲求であるうちは
特に、困る事もない。
それは、リアル、3次元の欲求だから
譲り合う事で、助け合う事で。
お互いに、幸せになれる。
食べるのに困らないのに
贅沢したかったりすると、もともと限られた
資源を多く使ったりして、困った事になるのだ。
地震があって、閉ざされた列車の中で
みんなが助け合って。
とても、優しい気持ちになれた。
「困った時は、お互い様」なんて
あまり困る事のない、近代の社会では
たまーに困った方がいいのかな、なんて
神様も思ったりした(笑)。
ミシェル少年の恋、のように
空想であっても、根源が生物的なものに
根差しているものは、争いにはならないけれど。
神様は思う。
「あの、ミシェルと言う少年を
好いている少女がおったなぁ」
と、セシルの事を想った。
争いにならないといいけどのぉ、と
神様らしく、のどかに心配をした。
別に、神様は
変わった魔法を、この国のひとに掛けた訳じゃなくて。
細胞レベルで、増殖を続けるように出来ている
その指令、よく言われるDNAの複写行動が
少し、遅くなるようにと
環境を整えただけ。
古来の細胞は、際限なく増殖し続けるように
プログラムされている。
そのせいで、例えば人間は
不要なまでにエネルギーを蓄えてしまう。
食べ過ぎたり、肥満したり。
それは、神経回路の速度が遅いせいでもある。
食べ物が消化されて、エネルギーになってから
そのエネルギーレベルを観測して、満足、するのだけれども
食事の速度は、それよりも早い。
それは、野生生物だった頃は
あまり食べ物が入ってこなかったので
その速度で間に合っていた。でも
今は、社会が
食べ物を蓄えてくれ、簡単にエネルギーを
補給できるから
それで、エネルギーをとりすぎてしまう。
そういう構造を、少し変えれば
いい。でも、それは進化生物学の夢想である。
神様は、そういう夢想を現実にできたりするので
細胞レベルで、不要なほどエネルギーを蓄えないように、
つまり、ほかの生物と競争しなくても
生きて行けるように細胞に言い聞かせた。
だけど、神様がなにもしなくたって
僕らは、人を傷つけたりしないし。
人のものを奪ったりもしない。
そう、ミシェルたちは言うだろう。
若者は、純真だから
そんな事はできない。
もし、あるとすれば
恋の争いくらい、かな?
戦争が終わった頃は
この国のみんな、大人だって
お金儲けのために争ったりはしなかった。
国を復興させようとしていたから
とりあえず、みんなの目的が一緒だったから。
ひとの営みもそんなもので
国=ひとの体とたとえてみれば
細胞の営みと、よく似ている。
そして、国と言うのは
星に乗っているから
銀河の一部。
つまり、構造を見ると
3次元の銀河の一部で
多次元宇宙の一部である。
その、隣接宇宙に
やっぱりひとがいて、と
そう考えると、その中に別の宇宙があったりするのとよく似ている。
ひとの細胞の中にも、分子があって
元素があって。
原子があるように。
その原子を壊すと、大きなエネルギー源になる。
E=MC2である。
列車は、ゆっくりでも
着実に、駅について
その度に、人々の幸せを乗せて。
その幸せと一緒に、次の駅へ向かう。
朴訥な、車掌は
そうは見えないけれども
機関車乗りでその名を馳せた
リサのおじいちゃんの、息子である。
列車無線で、のんびりと
「1列車、車掌です」。
お国言葉で、 いつれっさ、 さそーです
どこか、和むその言葉である。
食堂車クルーの、めぐたちも
おさら洗いを終えて、そろそろ
営業終了。
「ちょっと寂しいね」と
れーみぃが言う。
めぐは、無言で頷く。
言い知れぬ感激で、胸がいっぱいだ。
大変な旅だったけど、過ぎてしまうと
楽しかった思い出。
そんなふうに、めぐは思った。
そういうあたりも、癖のようなもので
生まれついて、楽しい事、嬉しい事が
多かったりすると、楽しい記憶を
よく覚えていたり。
つまりそれは、周りから
可愛がられていたり、と言う事なのだけど。
ふつう、赤ちゃんは可愛いと
周りに思われる。
そういうふうに、生き物は出来ているので
もし、可愛がられない赤ちゃんがいたりしたら
それは、周りの大人たちが
不自然な暮らしをしていて、心が疲れていた
と言う事なのだろう。
自然な、生き物としての暮らしから
人間の生きている環境が、変わってきている。
そういう事で
簡単に言うと、お金儲けして贅沢したいおかねもちが
庶民の暮らしを切迫している、と言う事なのだけど。
それで、リサや
おじさんのいる国鉄を
お金儲けの対象にしようと企み
リサの就職も怪しくなって。
リサは悩んだ。
どっこい、国鉄はまだまだ生きている。
そう簡単には、外国の金儲けに
荷担してなるものかと
国鉄職員は、皆思っている。
みんなのための国鉄なのだ。
もし、神様が全能だったら
外国のお金持ちの欲望も、抑えてしまっただろう。
でも、いろんな神様がいるから(笑)
アメリカには、アメリカの神様がいるだろうし
インドには、仏様がいるだろう。
それぞれに、いろんな神様を信じてる人々が
いて、それぞれに生きている。
それが普通だと、ここの神様は思ったりする。
統一して、ひとりの神様が
統べてしまうのは、ちょっと危ない(笑)。
でも、ここの神様は思う。
「外国の神様に話してみようかのぉ」
話しあって、賛成してもらえれば
それもいいだろうと。
地上では、めぐたちの乗った列車は
多くの乗客が、下りてしまって
静かな列車になった。
新しい、スーパーエクスプレスは
地震の影響がなかったので
急いでいるお客さんは、途中で
乗り換えてしまった。
だから、今、この列車に乗っているひとは
旅を楽しむ人達だけだ。
むしろ、長い間列車で過ごせて
喜んでいるようにも見える。
お昼を過ぎて、尚も走る列車。
途中の駅で、ワゴンのお菓子やお弁当を
積み込む事もできたから
Naomiは、今度こそ
ワゴンサービスのアルバイトが出来たりする。
それはそれで、楽しい事かもしれない。
女の子の憧れ、キャビンアテンダントみたいな
ちょっと違うかな?
列車のワゴンサービス。
颯爽として、カッコイイ(笑)なーんて。
のんびり、ほとんどからになった
ワゴンを押して
食堂車のとなりの、ロビーカーに
差し掛かったNaomiは
丸顔で、人の良さそうな
おじさんに声を掛けられた。
「お酒の類は、あるかの?」
こんな非常時に、お酒なんて、と
Naomiは一瞬思ったけれど
でも、その人には
その人なりの理由があって
お酒を飲みたいのだろうと
優しく、そう思った。
長い人生、いろいろな事があって
お酒を飲む事が習慣になったのだろう。
その人にとって、お酒、アルコール代謝で得られる状態が
幸せな、気分を齎す化学物質を
彼の脳に満たす、それだけの事だ。
Naomiは、「ワゴンのお酒はもう、売り切れてしまって」と
そう言う。
彼は、淋しそうな顔をして「はい」と。
その横顔を見て、Naomiは、
ちょっとかわいそうに思った。
「探してみます」そう言って。
となりの食堂車まで、ワゴンを押した。
食堂車では、もう、食料がなくなったので
後片付けを終えた
めぐたちが、のんびりと
テーブルをしまっていて。
「どしたの?」と、れーみぃ。
Naomiは、訳を話す。
お酒がないかしら?と。
「そうだねぇ」と
キッチンを見回して見ると
料理用のワインくらいしかない。
列車料理長、それを見ていて
「どうしたの?」
めぐは「お酒の好きなおじいさんが
ちょっと淋しそうなので」と
そういうと、料理長は
「それじゃ、僕の私物を進呈しよう」そう言って
料理長は、自分のお部屋に行って。
小瓶のウィスキーとか、ワイン。
数本を抱えて持ってきた。
列車料理長も、なかなか
お酒好きなので
お酒を好む人の気持ちがわかる。
単純に、快い事を得られる行動が
習慣になっていると言う、それだけの事で
たまたま、アルコール代謝する時に
できる化学物質が
脳へ刺激を与えるので
それで、刺激を逃れる為に
生理的に、人体が内分泌して
体が酔う、それだけの事だから
野性動物でも、自然酵母でアルコール発酵した
果実を好む動物、例えばアフリカの麒麟とか
そういう例もある。
栄養にならなくても、文化として
食べる物を楽しむ、そんな習慣は
野性動物にもあったりするから
人間のおじいさんが、お酒を好むのも別に
罪な事ではない。
都市として、簡単に酒が手に入るから
習慣になってしまうのだけれども。
人間の文化とは、そんな風に
融通のきくものである。
「わたしが、行こう」料理長は
カラフルなお酒のボトルを抱えて
その、おじいさんの居るロビーに行った。
「さあ、一杯いかがかな?」
料理長は、ウィスキーのキャップを開けて
小さなガラスコップに、注いだ。
琥珀色の液体は、単なるアルコールではなく
いろいろな風味を含んだ、芳しい存在。
奨められたおじいさんも、楽しげに、愛しげに
その液体を嗜む。
お酒があると、不思議に
仲良くなれるのも
酒好きの人たちの面白い風習である。
列車はひたすら走り、終着駅を目指しているけれども
普段、走る時間ではないので
他の列車の合間を縫って、ゆっくりゆっくり。
そういう、ゆったり感が
かえって、旅を楽しむ乗客だけになってしまったこの1列車、ノーススターを
包んでいる。
お酒を酌み交わしている、料理長と
さっきのおじいさんも
食堂車のキッチンから持ってきた
チーズやら、生ハムやらで
めいめいに、楽しめて。
時々、赤信号で止まっても
別に、気にしない(笑)。
料理長も、とっくに仕事を終えて
本当なら、夜に備えて寝ている時間帯。
折り返しの2列車、帰りは午後9時の発車だから
夕方までに、bluemorrisの駅に着けばいい、
着かないなら、途中で乗り換えればいい(笑)
そんな豪気な、料理長だが
男は、そのくらいでなければダメだ(笑)。
男の仕事は、そういうものである。
もちろん、夜の食事の支度も必要だけど
どの道、この列車が折り返すのである(笑)。
慌てても仕方ない。
慌てる、と言うのも
人間の想像が、時間の概念を越えてしまうせいで
理論的に、3次元の時系列に
乗せて、シミュレーションすれば
別に、慌てる事もない。
間に合わないなら、慌てても仕方ないので
別の策を講じるだけだ。
列車料理長は、帰りの支度、食材の仕込みを
地上でするように、列車無線で
bruemorrisに頼んでおいた。
お見事、料理長。(笑)。
0
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