21歳のわたし ー真夏の蜃気楼ー

深町珠

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さよなら修道院

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空飛ぶシスター、なな(笑)は

感情が高ぶると勝手に飛び立ってしまうみたい。

空を飛んでいると、少し気が晴れたみたいで


地上を眺めるゆとりもできた。



そうして見ると、広い草原に


ひとりのおばあちゃん、ぽつりと

お空を眺めていて、ななに気づく。



「ああ、天使さまー」と、おばあちゃんは

ななを天使と間違えている(笑)。





ななは、微笑む。
天使って言われるのも悪くない(笑)。



地上にふわり、と飛び降り


「わたし?天使じゃありません、一日シスターの、ななです」と、(笑)。

おばあちゃんは、耳が遠いのか



「ああ、お迎えに来てくださったのですか」と
ななを見上げる(笑)


小柄なおばあちゃんで、元気そうだけど
そろそろ天使さんが迎えに来る、と


思っていて、ちょっと元気がなくなっていた
らしい。


ななは、そのおばあちゃんがかわいそう、と
思った。



「まだ、あなたはお迎えに来ないです」と
適当な事を言っているけど(笑)



おばあちゃんは「天国に行けるでしょうか?」と(笑)


耳が遠いので、思い込み(笑)。




「大丈夫、天国に行けます。まだまだ先です」と、天使さんのふりをして

おばあちゃんの肩に触れて。


また、飛び立った。ふわり。



今度はうまく飛び立てた(笑)。




上空から見たおばあちゃんは
気休めになったのか、少し
穏やかな表情で



飛び去ったななを見上げていた。





ななは、空を飛びながら



自分の恋を争うのもいいけど

誰かの気休めになるのも、いい事だな、と
思ったりした。






おばあちゃんは、この世が幸せだから
もっと生きたいって思うのだろうし。


なな自身は、別に

そんなに生きていて楽しいとも思えない(笑)けど


おばあちゃんの気休めになるなら、それで
生きてるのも悪くないな、と


シスターとしての仕事に、目覚めたり(笑)。

フードを翼のように
風に孕ませて、
ななは飛ぶ。



 

フードを翼のように
風に孕ませて、
ななは飛ぶ。








ふわふわと漂うと、天使に間違えられても
仕方ない。


本物の天使をほとんどの人は
見たことないのだから。








窓からふわり、と

修道院の2階に戻った頃、もうR&Bミサ(笑)は
終わっていて


人々はぞろぞろと、午後の日曜日に散っていった。




ななは、神様を見つけて「おばあちゃんに出会ったの。天使さん、って言われて嬉しかった。
」と、ありのままに話すのだけれども




訳解らない(笑)神様は
曖昧に微笑むだけだった。「よかったのぉ」




そう言われて、ななもうれしい「はい!」






うれしいなら、まあいいか(笑)



めぐは、神様とななが
何か話しているのを遠くから見ていて


なんとなく、ななが飛ぶのと
神様が関係あるのかな?くらいには思う。


だかれども、なんとなく

ななは魔法使いとは、ちょっと違うタイプなんだろう、くらいには感じてた。


空飛ぶ時に、魔法陣も描かないし
なにか、数式を作る訳でもない。



それに、人に見られても平気な魔法。


「そういうのもあるのかな」くらいにしか
めぐは思わなかったけど(笑)。



ななは、飛翔の高揚から
ふと、立ち返り「でも神様、10年前に
逢っていた人の事を忘れられなかったなんて
彼って、ロマンチストなんですね」


半分は、怒り(笑)もあるのだろう。
10年前では、ななにどうする事もできない。


神様は、ちょっと困って

「男の人は、割とあるな。そういうものなんじゃ。
気持ちとか、心を大切にする。
」と


神様は、なんとなくイメージでそう言った。






求められて、助力をしてあげたいと言う
気持ちの方が強かったのだろう。

それも愛だ。




「ななだって、助けてほしいのに」口調が
砕けたなな、である(笑)。




年齢は一緒だから、なながもし
10年前に
逢っていたなら...




今となっては、どうしようもない。







「ななも、10年前に戻りたい。神様、お願いします。」







「そんな事を言われてもなぁ」神様も困る。


10年前の愛を、忘れられなかった
そういう気持ちがあったから、戻れたのだし(笑)。



「彼は、どちらが幸せじゃろな」と、神様は言う。


その言葉に、ななは少し考えたけど


「比べられないです、それに、恋が
先着順なら、11年前にななも出逢いたかった」と、わがまま(笑)


そういうものなんだろうけど、と
神様は思い
「先着順でもなくて、彼は
支えてあげるのが好きなんじゃよ。
お母さんをずっと、養ってあげてたみたいに」



彼の父が野心に溢れた政治家で、早くに
死んだので

ずっと、母を養っていた。



それが、彼のタイプ。


そういう彼だから、困っている少女に
頼られて、甘えられると

支えてあげたくなった。



「んー!なな、だって。」と、ななは
治まらない。

なんのために、修道院に入ったのだろう。


彼に愛されたいから、なのに!。



そう、怒りが収まりきらないななは


また、すぅ、と風をはらんで浮き上がった(笑)





「おーい、どこいくんじゃぁ」と、神様が呼んだが(笑)



ななは、自分でも解らない力に支えられて

風に吹かれて、飛び立った。




時間旅行
高く飛び上がり過ぎたのか、ななは
気が遠くなって


気づいたら、どこかの家のソファーに
横になっていた。


家、と言っても豪華なものでもなく

昭和の日本家屋のようだった。




懐かしい声がして、ななは気づく。


「気づいたか」その声は

彼。



ななは、解らない。


そこが、家なのか?



それだとしても、10年前
なのか(笑)


元々童顔で、若々しい人なので
顔からは伺えない。



「あの?あたし?」ななは、ソファーから
起き上がる。



「あ、休んでて?」女の子の声にどっきりして
ななはその声の主を見る。


まだ、稚けな少女を思わせる声の主は


「ゆりです」と、その声でななは
なんとなく気づく。


尖ったところのない、若い娘にしては
不思議に穏やかな。


加藤を見る視線も優しい。



彼は「驚いたな、家の屋根に墜ちてきたんだから」と。



口調は、若々しい。
ななの知っている彼は、もう少し
お年寄りっぽい(笑)



「やっぱり、10年前なのかしら」と、ななはひとりごと。




「?」彼は、ななの事を覚えているのだろうか?



もし、覚えているなら
それは、ななの知っている人。



「ななの事、覚えてる?」 と
聞く前に、彼は

「この人ね、10年後に出逢う事になる、と言っても向こうの世界での話だけど。
斎藤奈々さん。今は、シスターなな、かな?」と、そのまんま言うと、ゆりは



「はじめまして。あたしは友梨、いつも加藤から聞いてます。かわいい人だって」と、
言われて、ななは
不思議な気持ちになった。



10年後から時間旅行してきて、出逢うはずのない人々に、なな自身は逢っている。



その加藤は、平然と10年前に暮らしている。




それが魔法なんだろか?。




でも、ななは感じ取る。



慎ましい生活になじんでいる少女ゆりと
加藤の間の、好ましい雰囲気は


穏やかなものがある。





「ななは負けたのね」と、ひとりごと
みたいにつぶやくと

彼は、「負けてないよ。ゆりが勝ってもいないし。
比べるものでもないさ、ただ、ゆりは
まっすぐに気持ちを伝えてくれた。
一緒に生きたいと言われて、僕も
そう思った。

それが、例えばひとときの夢で
いつか、壊れてしまっても

その気持ちを大切にしたい、そう思った。」







「ななが先に逢ってたら、ななを好きになってくれた?」




「それはわからない。歳も一緒のふたりだしね。でも、ゆりには強い意思があった。
まっすぐな気持ちがあった。」







ななにとって不幸だったのは、ななが16才の頃に

恋人に出逢えなかった事だろう。




駆け引きに慣れ、自分から恋しい気持ちを
抱いても


まっすぐに伝えようとせず、誘惑しようと
するあたりが



純粋な恋から外れているように思われても
仕方ない。






それも、ななのせいでもない。


たまたま、ゆりが

好ましい、庇護したい存在だっただけ、なのだけれども



ゆりは、素直に愛を求めて
別れが辛くて泣きはらすような気性で

まっすぐなその心に
応えざるを得なかったが






たぶん、ななが16才の時に

出会っても、まっすぐに恋を打ち明けは
しなかったろう。


普通、出来そうでできない事だ。








「ななちゃんも、向こうに戻ったら
自由な世界が待っているんだ。いい人々も
増えてくる。

似合いの恋人を見つけるといいよ」





言葉は素直だけれども
それだけに、ななには辛い。


どういう訳だか、怒りを感じた(笑)なな。


「納得できない。不公平、そんなの!」と
公平であるはずもない自然な恋愛の在り方に
不満を告げる、なな。





次の瞬間、ななはどこかに飛ばされた。


意識なのだろうか、上下左右のわからない
空間を過ぎたかと思うと


そこは、どこかのコンビニの店の中のようだった。


彼の、見慣れた姿が見える午前5時の店は
秋なのか、まだ暗い空に
浮き上がるようだ。



青い制服を着た加藤は、心なしか
若々しく見える。




一台のベージュのスクーターが、店先に飛び込んで来た。


星のデザインが大書されたヘルメットを被り


少女は、ななに向かってスクーターを走らせ



轢かれる、と

身を竦めたななを通り抜けて

店先に停車。「ごめーん遅刻」と、
駆けて言った。


ゆりだった。





ななは、実体なくそこに存在しているらしいと
自覚する。




それもまた、並列空間の在り方である。




どうやらななは、また少し時間を逆戻り
したらしいけれど

並列した空間から、彼らを見ているだけの
存在になっているようだ。




ゆりは、さっき逢った時よりも
稚いけに見える。



1年くらい前に戻ったようだ。




ゆりが、彼を見る視線は
今と違って、ふつう。



「大丈夫、遅刻にならないよ」と、

にこにことしてゆりに言う。







「誰にでも優しいのよね、あの人」と

店の中に入って、ななは言うけれど
その声すら、彼らには届かない。




面白いような、寂しいような
不思議な気持ちで、ななは
眺めた。


青い制服を羽織ったゆりは、ピアスを外して
胸ポケットに入れる。

それは、当時流行っていたハートのリングだった。


「銀なの」と、ゆりは
言う。


「そう」と、彼はにこにこ。


きちんと、規則だからピアスを外すと言う
ゆりの事を好ましいと思う彼。


16才でピアスをする事は、あまり好ましくはないと思っているけれど

それは、ゆりの自由だと(笑)。



でも「耳が痛そうだね、穴が開いてしまって」と、
思わず言ってしまう。



ゆりは、ちょっと驚き「そういうふうに感じた事ないな」と。



ゆりの身体を気遣ってくれていると
勘違い(笑)。



それも、若さゆえ。



「こんなあたしをどう思う?」と、ゆりは聞く。



彼は「いいんじゃないの?可愛いし」と言う。





ななは、傍観していて怒る「誰にでも可愛いって言うな!」(笑)




ななも可愛らしいと言われて、彼に好感を
持った(笑)。




怒りの声は、
聞こえない(笑)。



並列時空間だから。





ゆり、なんとなく嬉しそう。


かわいいと言われて。





彼は告げる。「最初に会った時、レシートの裏に名前書いて渡してくれたでしょう。ありがとう。ごめんね。」



ゆりはわからない。「何がごめんね?」





「うん、あのレシートね、ごみ箱に捨てたから。何となく、いつも習慣で捨ててるでしょう、レシート。でも、大切な名前を書いてくれた
サイン入り色紙みたいなものなのに」と、彼は言う。



ゆりは、楽しそう「そんなのいいよ、別に」と笑顔で。


ナチュラルなブラウンの長い、素直な髪が
さらりと後ろに。

仰向くと、かわいらしい唇がとても
印象的。



彼は、ちいさなこの女の子を
大人のように感じて、少しときめいたりする。




誰もいないコンビニで、ふたりは
少し心を寄せているようだけれど




ななは、なんとなくイライラ(笑)。





「もし、16才のななが好きな人に逢っても
ゆりちゃんみたいに自然にできるかな?」



ひとりひとり、違うのだけれども。


それが相性なんだろう。




ひとの気配のない店なので、ゆりは
リラックスして
素直な表情を見せて
いるのかな、と

ななは、自然なゆりの愛らしさを見て
そう思う。


「でも、彼が優しいひとだから、そう
できたのかな」とも思う。




「ゆりちゃんは、最初から好きだったのかな」

思案しながら、ななは思う。



ふたりきりの早朝アルバイトって、結構
デートっぽい(笑)。



誰もいないせいもあって。




「いつも自由だよね」と、ゆりは彼に
対等目線で話し掛ける。


それに、彼もふつうに答える「そう?」





「うん、なんとなく」ゆりは、楽しそうだ。




「お兄ちゃんも、お父さんも
いろいろうるさくて」と、ゆりは
しかめっつらで言う。


「かわいいからだよ」と、彼
微笑んだまま。





「かわいかったら、好きにさせてよ」と、
ゆりは、唇を尖らせて、
見上げる。



小柄なので、どうしてもそういう目線になるけれど

愛らしさの演技には、見えない




自然な、心を許している感じ。





それを見ていると、ななも「あんなふうに
話してみたかったなー、16才の時」





素敵に恋したい、なんて
とってもできなかった。




なな自身思うけど


「あんなふうに、ありのままだったに振る舞っ事
あったかな?」


ゆりは、思いのままに笑い、怒り、舞うように
歩いた。


別に、可愛いく見せようと言うのでもなく
心を許しているから?


幼い頃は、お父さんにそうしていたのかも、と
ななは感じた。



なな自身、お父さんが好きな子だったけど
なんとなく、恥ずかしくなって
自然に振る舞えなくなっていたりして。



「気を許せるひと、っていなかったな」
そういう存在が、ななにとっても
彼だったのだろう。




そういえば、彼がななを
批判する事は無かったから


安心して、何でも言える人。


そういう印象だった。




「ゆりちゃんも、そうだったのかなー」
歳が一緒、って事もあって

ななは、なんとなく
ゆりに似たような感じ、を見ていた。







「トイレ行ってくる」ゆりは
彼にそう断って、側を離れた。



幼いのか、開けっ広げなのか。





「あんな事言えないな、ななは」
もし、好きな人の前だったら
格好つけたいと思ってしまうと
ななは思った。





「ゆりちゃんにとって、お父さんの代わりみたいな、存在だったのかな」と、
ななは、独り言で言う。



もちろん、
ゆりには聞こえない。



それからも、バイト先で
ふたりは、ひとときの
楽しい時間を過ごして。


ななは、それを
並列時空間から見て(笑)もどかしい時間を
過ごした。


なんで、そんな事になったのか
なな自身の魔法なのか


神様のいたずらなのか、訳解らなかった。



ななは、なんとなく、でも


ふたりのしあわせ、を見ていて



「両思いっていいなぁ」と

いつしか怒りも(笑)失せていた。


なんとなく、ふたりは自然に
恋愛と言うよりは、兄妹のように

ななには見えた。



でも、その少しあとの日


ゆりは、あの、思い切りの良さを見せる。



秋の日の朝、ゆりは自分の額に手を当て



「んーなんか熱っぽい」と、
彼の側に寄る。


彼は、ごく自然に
ゆりの手を掴み、半袖の腕で熱を計る。

一瞬、身を硬くしたゆりだったが、なすがままに
彼に寄り添った。




「熱くないよ」
自然にそうするので


見ていたななも呆れるほど。



妹にでもするような感じだった。



「そう?」と、ゆりは
額の手を離すので、彼は
ゆりの額に手を当てた。


ゆりは、そのまま彼の懐に。


「少し、暖かいかな」彼は、意外に
ふくよかな少女の身体に、感銘を受けた。


もどかしく、身を硬くしているゆりは
そうした事に疎いのだろう、どうしていいか
わからない様子で


少し、涙目になっていた。



彼も、遊び慣れている訳でもなかったけれど
両手で、ふんわりと支えてあげる。



それは、ななが
直視するに堪えないものだった。


「そんなの、だめー。ななだって、ななだって!」


愛されたいのに。


そう叫んでも、叩いても


並列時空間にいる愛しい人には
届かない。


「いやーーー!!」ななは
なぜか両手で耳を覆ったら


勝手に、ふわりと

身体が浮かんだ。






「あれ?」


気づくと、めぐたちのいた修道院の2階に
戻っていて。



こちらの時刻では、ほんの一瞬の間の

夢のような出来事。


夢なのか、本当の事だったのか
なな自身にもわからない。



「シスターなな、下りてらっしゃい」と

シスター・クラーレが手招きするので


ななは、少し安堵して




「戻れてよかった」と、つぶやきながら
階段を下りて行った。

神様は、それを天から眺めて「恋も、時には
辛い事もあるのぉ」と、ななの気持ちを案じた。


夢だと思ってくれていると、いいのだけれど。




誰にでも、そんな事はある。



想像も、現実も

心のイメージだ。


コンピュータに例えたら、どちらも
データの3次元空間である。
real image_a[0.0.0];
real image_b[0.0.0];


どちらを現実とするか、は
認識の問題で



ふつう、人々が見ているイメージは
現実そのものでもない。




見たいように見ているだけだ。



なので、あまり現実から離れると
認知がふつうと違う、などと言う診断になる。


もし、ななが[並列時空間に旅した]と
言っても



旅した人でなければ、それを現実とは認識しない(笑)。


そういうものだ。






ななは、でも
なんとなく、相性、みたいなものがあるって
わかったような気がした。

人がいっぱい居ても

その中で
ぴったり気が合う人に出会えるのは
幸せな事だから



彼さんと、ゆりちゃんのような

人々に


なな自身が、割り込んで行っても無駄だし


みんな不幸になる、そんな気がして



それと、ゆりちゃんとななを
比べて
優劣を決めるような、そういう人で
なかった事も


ななにはうれしい事だった(笑)。




好きって気持ちは絶対で、相対じゃないし
価値でもない。


「一日シスター、ご苦労様でした」

やや底冷えのするような院長室に、皆は呼ばれ

院長に、労いの言葉を掛けられた。



最初、厳格なだけのような
印象だった院長は、柔和に微笑む。



各々、礼を述べる。



「ありがとうございます。」



「さて、ななさんはこれから?」と
院長は言葉をかける。



めぐ、Naomi、れーみぃ、リサは
月曜日からまた学校だけど。



ななは、少し考えてから


「ななは、日本に帰ります、日本で
シスターになります」

もう、
恋は終わったから
心を磨く必要もない。


なのに?



ななは、自分でどうして
そう思ったのか、わからないけれど


なんとなく、恋愛なんてものよりも
もう少し、大きな愛を見つけたような気がしたし


いまのままの日本に居たら、また

ひとりよがりの女の子に戻ってしまうみたいな
そんな気もした。



忘れていたけれど、日本の両親にも
なにか、気持ちのこもった事をしてあげたい。


そんな気持ちになったから。



院長は、にこやかに「それもいいでしょう。」
そう言って、4人とななのシスター体験(笑)は
終わった。




「でも、この国もいいなって思います」
ななは、笑顔で告げた。


院長も、笑顔で応えて。




めぐも、なんとなく
ななの、愛し方には共感を持った。



我が儘な人でも、勝手な人でも


「誰でも、幸せになりたいんだよね」と


めぐは思った。



グレーの修道服のポケットに入っていた

携帯端末、DAWソフトウェアを起動して

めぐは、なんとなく
鍵盤を触って
タッチ、ハンマーリング。



右手でキーを押さえて、左手で
ピッチベンド。


スティービーワンダーみたいな
それは、さっきまで聞いていたR&B。


「楽しそうね」と、クラーレも喜ぶ。

音楽は共通の言葉、だ。
でも、めぐは
傍らにあるオルガンが気になって(笑)


「やっぱり、生だよね!」と言って
オルガンのドローバーを引いて


左手でベース、右手でメロディー。

でも、若いめぐの気持ちは、先へ先へ、と


力強いビートを求める。


アメリカンののんびりしたR&Bより
北欧は、もう少しハードな音が似合ったり。



ジョン・ロードみたいな低音で


ビートを刻み始めると、なーんとなく
DeepPurpleの Burn!(笑)でも
ギターがいないから、あのメロディーを
右手で弾いた。


ドラムの代わりに、低音でビートを刻んで。




「やっぱり、鍵盤の方がいいな」とか
にこにこしながら、グリッサンド。





ギターとドラムがいれば、いいのにとか
言って


歌は、リサが。

あの、北の旅で聞いたロックを思い出して。

激しい歌を歌いたくなった。
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