恋人は’77年型

深町珠

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atomic punk

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「でも、変だな。原子炉はふつう、電源が無くても冷却できるように作るんだ。燃料が出し続ける蒸気でタービンを回して、それで水を循環するように。」と、彼は、工学的な見解を示す。


「じゃあ、それも壊れてから爆発したのかしら」とわたしは問う。



「わからないけど。でももし僕らに何か出来るとすれば、爆発前に戻って原子炉を停める事、くらいだね」

フェルディナントは、当然の事を言う。


爆発前.....
そういえば、1月にこの原子炉は一旦停止する予定だったのを、国が運転延長を認めたんだった。

その会議の決定を覆す事ができれば!


でも、どうやって?


「それはできない事もないね。国会議事堂なら放射能もないから、僕らがそこに行って。同じ場所、3次元的に座標が等しければ、超光速通信なら時間軸は逆転するはず」と、フェルディナントは冷静に述べた。


わたしは決意。
よし、東京へ行こう。
清里から中央高速に乗り、東京へ。
夜になるのを待って、国会議事堂に着く。

フェルディナントは機械の操作方法をわたしに教える。
lasreではなく、搬送波をneutrinoと書かれた指針に合わせるのだ、と。

それで準備完了。4次元に一度突入したビームは、過去の会議に照射され、悪意は消滅するはずだ、と。



タイミングを待っている間、ラジオの向こうのフェルディナントは語る。


「でも、これが終わったら僕らはもう、話していた事すら忘れてしまうね」


わたしは突然の言葉に、驚く。
どうしてなの、と彼に尋ねると



「うん、僕は未来から、日本の原発事故を回避する為に来たんだ。だから、原発事故が無かったら、その要請も無かった事になる、だから君に出会う事も....」 
フェルディナントの声は、涙を抱いているようだった。


そんな、そんな!
わたしはなにかを訴えたかったけれど、言葉にならなかった。


この、レーザーガンを撃たなければ....
一瞬思った。けれど
それはできないこと。

それで、沢山のひとが
幸せになれるなら、わたしひとりの悲しみなんて.....


タイミングが近づく。

3秒、2秒、1秒...


spark!
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