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お悩み相談編
素敵な先輩ができました(嘉門視点)
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「役者やめたい」発言は、やはり丸井さんの耳に届いていたようで、後日あらためて真意を聞かれた。隠すべき弱みに触れられて、最初は居たたまれなかった。けれど丸井さんは、俺の情けない悩みを責めるでも面白がるでもなく、純粋に1人で悩んでいることを心配してくれているようだった。
そうしたら、どれだけ必要を感じてもできなかった『人に相談する』ということを自然としていた。
いざ口を開いたら信じられないくらい話しやすくて、つい余計なことまで言ってしまったけど、丸井さんは俺の話を親身に聞いたうえで
「嘉門君が本当に役者をやめたいなら止められないけど、私はちょっともったいないと思うな。だって嘉門君には明らかに他の人には無い圧倒的な存在感と、アクションのセンスがあるから」
俺が欠点だと思っていた表現力の乏しさを、逆に唯一無二の個性だと褒めて
「少なくとも私は嘉門君の演技が好きだから、見られなくなっちゃったら残念だな。冷徹な殺し屋とか、孤高の探偵とか、人型アンドロイドとか、嘉門君ほどイメージに合う人は居ないもの!」
「……要するに色んな役は演じられないけど、特定の役にはよく嵌まると言うことですか?」
「そう! 色んな役を演じ分けられるのもいいけど「この役は絶対に嘉門!」って得意分野を持っていると考えたらいいと思う!」
丸井さんは俺よりも年齢も芸歴も上だ。それなのに芸能界の後輩を諭すと言うよりは「ファンだから、好きだから、 芸能界に居て欲しい」と言ってくれた。弱っている人間への気遣いではなく
「そんなにありますか? 俺が演じられそうな役」
「嘉門君のルックスとキャラは漫画やゲームとの親和性が最高だから! 私が監督なら絶対に嘉門君にお願いしたいよ! 見た目もカッコいいし、アクションもキレキレだし!」
人が本当に好きなものを語る時の、キラキラした楽しそうな笑顔に何より励まされて
「……丸井さんは俺が子どもの頃から活躍している方ですから、ずっとテレビで拝見していたんですが、実を言うと少し苦手でした。俺はこのとおり根暗な性格なので、自然体で皆に愛されて、いつも元気で明るい丸井さんが眩しくて、余計に自分がダメに思えるので」
だけど、その苦手意識は羨望の裏返しだったのだろう。不特定多数に向けて輝いていたお日様が、いざ自分だけを惜しみなく照らしてくれたら、目を背けたくなるほどの眩しさは、ただ温かな光に変わって
「だけど、こうして話してみたら、丸井さんのおかげでただ心が明るく晴れて、気持ちが楽になりました。やっぱり丸井さんってスターなんだなって。すごいなと思いました」
お世辞ではなく、世の中にこんな人が居るなんて、すごいと感動した。
けれど丸井さんは自覚が無いようで、俺の感想に「ええ?」と困惑しながら
「私なんか全然スターじゃないよ? 言っておくけど、嘉門君のほうがすごいからね? メチャクチャ光っているし、たくさんの人が憧れているんだから!」
俺のファン層は8割が女性で、イメージ調査の結果で言えば「恋人にしたい」とか「抱かれたい」とか性的な意味で好かれている。性的な魅力も才能のうちだろうが、それは加齢とともに必ず衰えるものだ。
人間的な魅力で老若男女に愛されている丸井さんのほうが、俺はやっぱりすごいと思う。丸井さんは恐らくおばさんになっても、おばあさんになっても「可愛い。大好き。癒される」と支持され続けるに違いない。
ちなみに丸井さんは世間から友だちになりたいとか、孫や娘など家族にしたい芸能人として、よく名前が上がっている。
……俺も実際に話してみたら、今まで苦手だと思っていたくせに、そういう欲が湧いてしまって
「あの。良かったら、これからもたまに話を聞いてもらっていいですか?」
相手はスターだと言うのに図々しくも頼んでしまったが、丸井さんは快活な笑顔で
「全然いいよ! さっきも言ったけど、私も嘉門君のファンだから力になれたら、むしろ嬉しい。遠慮しないで、なんでも相談してね」
本物のスターって、私生活でも裏表なくスターなんだなって。改めて、こんな光の塊みたいな人が実在することに感動した。
そうしたら、どれだけ必要を感じてもできなかった『人に相談する』ということを自然としていた。
いざ口を開いたら信じられないくらい話しやすくて、つい余計なことまで言ってしまったけど、丸井さんは俺の話を親身に聞いたうえで
「嘉門君が本当に役者をやめたいなら止められないけど、私はちょっともったいないと思うな。だって嘉門君には明らかに他の人には無い圧倒的な存在感と、アクションのセンスがあるから」
俺が欠点だと思っていた表現力の乏しさを、逆に唯一無二の個性だと褒めて
「少なくとも私は嘉門君の演技が好きだから、見られなくなっちゃったら残念だな。冷徹な殺し屋とか、孤高の探偵とか、人型アンドロイドとか、嘉門君ほどイメージに合う人は居ないもの!」
「……要するに色んな役は演じられないけど、特定の役にはよく嵌まると言うことですか?」
「そう! 色んな役を演じ分けられるのもいいけど「この役は絶対に嘉門!」って得意分野を持っていると考えたらいいと思う!」
丸井さんは俺よりも年齢も芸歴も上だ。それなのに芸能界の後輩を諭すと言うよりは「ファンだから、好きだから、 芸能界に居て欲しい」と言ってくれた。弱っている人間への気遣いではなく
「そんなにありますか? 俺が演じられそうな役」
「嘉門君のルックスとキャラは漫画やゲームとの親和性が最高だから! 私が監督なら絶対に嘉門君にお願いしたいよ! 見た目もカッコいいし、アクションもキレキレだし!」
人が本当に好きなものを語る時の、キラキラした楽しそうな笑顔に何より励まされて
「……丸井さんは俺が子どもの頃から活躍している方ですから、ずっとテレビで拝見していたんですが、実を言うと少し苦手でした。俺はこのとおり根暗な性格なので、自然体で皆に愛されて、いつも元気で明るい丸井さんが眩しくて、余計に自分がダメに思えるので」
だけど、その苦手意識は羨望の裏返しだったのだろう。不特定多数に向けて輝いていたお日様が、いざ自分だけを惜しみなく照らしてくれたら、目を背けたくなるほどの眩しさは、ただ温かな光に変わって
「だけど、こうして話してみたら、丸井さんのおかげでただ心が明るく晴れて、気持ちが楽になりました。やっぱり丸井さんってスターなんだなって。すごいなと思いました」
お世辞ではなく、世の中にこんな人が居るなんて、すごいと感動した。
けれど丸井さんは自覚が無いようで、俺の感想に「ええ?」と困惑しながら
「私なんか全然スターじゃないよ? 言っておくけど、嘉門君のほうがすごいからね? メチャクチャ光っているし、たくさんの人が憧れているんだから!」
俺のファン層は8割が女性で、イメージ調査の結果で言えば「恋人にしたい」とか「抱かれたい」とか性的な意味で好かれている。性的な魅力も才能のうちだろうが、それは加齢とともに必ず衰えるものだ。
人間的な魅力で老若男女に愛されている丸井さんのほうが、俺はやっぱりすごいと思う。丸井さんは恐らくおばさんになっても、おばあさんになっても「可愛い。大好き。癒される」と支持され続けるに違いない。
ちなみに丸井さんは世間から友だちになりたいとか、孫や娘など家族にしたい芸能人として、よく名前が上がっている。
……俺も実際に話してみたら、今まで苦手だと思っていたくせに、そういう欲が湧いてしまって
「あの。良かったら、これからもたまに話を聞いてもらっていいですか?」
相手はスターだと言うのに図々しくも頼んでしまったが、丸井さんは快活な笑顔で
「全然いいよ! さっきも言ったけど、私も嘉門君のファンだから力になれたら、むしろ嬉しい。遠慮しないで、なんでも相談してね」
本物のスターって、私生活でも裏表なくスターなんだなって。改めて、こんな光の塊みたいな人が実在することに感動した。
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