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第1話・推しとまさかの急接近です
神秘の森でエンカウントです
それから他の導き手さんたちが騎士たちと絆を深める間、私は釣りの師匠のおじさん。牧場の優しい老夫婦。馬術大会で一等を取るための秘密兵器・神秘の森のユニコーンさんと交流していました。
師匠からは釣竿とルアーを、牧場の老夫婦からはお揃いの軍手と作業着と麦わら帽子の三種の神器をいただき、お城の空き地を借りて作った取れたて新鮮野菜で、ユニコーンのユニちゃんを餌付けしたり、私だけ異世界で充実のスローライフです。
今日もユニちゃんと親交を深めるべく、神秘の森へやって来ました。これは風丸のトゥルーエンドを求めて、色んな条件を試したことで得られた情報なのですが、ヒロインが処女の状態で神秘の森に行くと、怪我したユニコーンさんと出会います。男性キャラが一緒だと逃げられてしまうのですが、ヒロインだけだと接近を許されて、回復アイテムで怪我を治したことがきっかけで仲良くなれます。
採れたて新鮮野菜を10回届けると、ユニちゃんはお礼にヒロインの馬として馬術大会に出てくれます。ユニコーンは圧倒的に速いので、技術が無くても背中にしがみついていれば、馬術大会で勝ち確です。
ここは異世界ですが、ゲームの設定上、モンスターはダンジョンにしか居ないので1人でお出かけしても安心です。
……と、すっかり油断していたのですが。
「ひぃぃ、野菜しか持ってないです~。あなたたちには絶対に美味しくないと思います~」
真昼の日差し降り注ぐ神秘の森で、5頭の狼に囲まれて絶体絶命のピンチです。ダンジョンの外にはモンスターは居ないと油断していましたが、これだけ自然が豊かだと色んな動物がいるんですね。その中にはモンスター化していなくても、そもそも危険な獣もいるようです。
狼って人を食べるんでしたっけ? どうでしたっけ?
「だ、誰かぁぁ……。ユニちゃぁぁん……」
叫んだり走ったりしたら一気に襲われそうで、情けない声で助けを呼びながら、ただ後ずさります。しかし大木に背が当たると同時に、とうとう狼が飛びかかって来ました。噛まれる! と思った瞬間。
「ギャイン!?」
痛そうな鳴き声に目を開けると、狼のお尻に苦無が刺さっていて
「失せな、犬ども。無駄に怪我したくなかったらな」
突然の推しの美声に周囲を見渡すと、木の上に風丸が居ました。狼たちに見せつけるように、片手で苦無を弄んでいます。
なんですか、そのカッコいい登場!? ポーズ、タイミング、台詞ともに100万点です!
狼たちは本能的に風丸を恐れたのか、すごすごと退散して行きました。突然の新規エピソードに、はわわ……と感動する私の前に、風丸は木の上からスタッと飛び降りると
「なんだ。どこの田舎者かと思ったら、麦わらちゃんか」
相手が誰かまでは分かっていなかったらしく、私を見て意外そうな顔をしました。でも顔を見て分かったってことは、風丸はちゃんと私を認識してくれていたんですね? そして私の呼び名は『麦わらちゃん』なんですね?
風丸はヒロイン及び仲間たちを「特徴+ちゃん」付けやら「名前+旦那」やら独特な呼び方をします。ユエル君のみそのままユエルですが、風丸の独特な呼び方が好きだったので『麦わらちゃん』呼びしていただけて嬉しいです。
と今はそんな場合ではなく
「た、助けてくれて、ありがとうございました。でも風丸はどうしてここに?」
ゲームの時の癖でつい呼び捨てにしてしまいましたが、風丸は特に気にせず
「俺は薬草を採りに来たんだよ」
「薬草をなんに使うんですか?」
可能だったら手伝いたいなと詳しく尋ねると
「毒とか眠りとか麻痺とか、状態異常を引き起こす技に必要なのさ。後は回復用の傷薬」
確かに風丸はゲームでも刀で攻撃する以外に、針や苦無や鎖など多彩な道具を使っていました。でも毒や眠りを引き起こすための薬を、自作していたとは知りませんでした。風丸はなんでもできるんですね、カッコイイ!
内心はしゃぐ一方で、私はあることが引っかかり
「傷薬って騎士が自分で用意するんですか? マスターが買うものでは?」
首を傾げる私に、風丸は皮肉に笑って
「金髪ちゃんは手下に使う回復薬よりも、自分の贅沢が優先でね。俺が初級の回復薬を作れるのが分かったら「じゃあ、節約のために手作りできる分は自給自足にしましょう」ってさ」
「でも平日は戦って休日は薬草採集や薬作りをしていたら、風丸のお休みが無くなっちゃうんじゃ」
要するにエバーシュタインさんに、時間外労働を強いられているらしい風丸を心配すると、彼はなんでもなさそうに肩を竦めて
「貴族や王族の旦那たちと違って、下忍に休みなんて上等なもんはそもそも無いけどね。働きすぎよりは、ろくに働けてねーほうが問題かな」
「ろくに働けてないとは?」
師匠からは釣竿とルアーを、牧場の老夫婦からはお揃いの軍手と作業着と麦わら帽子の三種の神器をいただき、お城の空き地を借りて作った取れたて新鮮野菜で、ユニコーンのユニちゃんを餌付けしたり、私だけ異世界で充実のスローライフです。
今日もユニちゃんと親交を深めるべく、神秘の森へやって来ました。これは風丸のトゥルーエンドを求めて、色んな条件を試したことで得られた情報なのですが、ヒロインが処女の状態で神秘の森に行くと、怪我したユニコーンさんと出会います。男性キャラが一緒だと逃げられてしまうのですが、ヒロインだけだと接近を許されて、回復アイテムで怪我を治したことがきっかけで仲良くなれます。
採れたて新鮮野菜を10回届けると、ユニちゃんはお礼にヒロインの馬として馬術大会に出てくれます。ユニコーンは圧倒的に速いので、技術が無くても背中にしがみついていれば、馬術大会で勝ち確です。
ここは異世界ですが、ゲームの設定上、モンスターはダンジョンにしか居ないので1人でお出かけしても安心です。
……と、すっかり油断していたのですが。
「ひぃぃ、野菜しか持ってないです~。あなたたちには絶対に美味しくないと思います~」
真昼の日差し降り注ぐ神秘の森で、5頭の狼に囲まれて絶体絶命のピンチです。ダンジョンの外にはモンスターは居ないと油断していましたが、これだけ自然が豊かだと色んな動物がいるんですね。その中にはモンスター化していなくても、そもそも危険な獣もいるようです。
狼って人を食べるんでしたっけ? どうでしたっけ?
「だ、誰かぁぁ……。ユニちゃぁぁん……」
叫んだり走ったりしたら一気に襲われそうで、情けない声で助けを呼びながら、ただ後ずさります。しかし大木に背が当たると同時に、とうとう狼が飛びかかって来ました。噛まれる! と思った瞬間。
「ギャイン!?」
痛そうな鳴き声に目を開けると、狼のお尻に苦無が刺さっていて
「失せな、犬ども。無駄に怪我したくなかったらな」
突然の推しの美声に周囲を見渡すと、木の上に風丸が居ました。狼たちに見せつけるように、片手で苦無を弄んでいます。
なんですか、そのカッコいい登場!? ポーズ、タイミング、台詞ともに100万点です!
狼たちは本能的に風丸を恐れたのか、すごすごと退散して行きました。突然の新規エピソードに、はわわ……と感動する私の前に、風丸は木の上からスタッと飛び降りると
「なんだ。どこの田舎者かと思ったら、麦わらちゃんか」
相手が誰かまでは分かっていなかったらしく、私を見て意外そうな顔をしました。でも顔を見て分かったってことは、風丸はちゃんと私を認識してくれていたんですね? そして私の呼び名は『麦わらちゃん』なんですね?
風丸はヒロイン及び仲間たちを「特徴+ちゃん」付けやら「名前+旦那」やら独特な呼び方をします。ユエル君のみそのままユエルですが、風丸の独特な呼び方が好きだったので『麦わらちゃん』呼びしていただけて嬉しいです。
と今はそんな場合ではなく
「た、助けてくれて、ありがとうございました。でも風丸はどうしてここに?」
ゲームの時の癖でつい呼び捨てにしてしまいましたが、風丸は特に気にせず
「俺は薬草を採りに来たんだよ」
「薬草をなんに使うんですか?」
可能だったら手伝いたいなと詳しく尋ねると
「毒とか眠りとか麻痺とか、状態異常を引き起こす技に必要なのさ。後は回復用の傷薬」
確かに風丸はゲームでも刀で攻撃する以外に、針や苦無や鎖など多彩な道具を使っていました。でも毒や眠りを引き起こすための薬を、自作していたとは知りませんでした。風丸はなんでもできるんですね、カッコイイ!
内心はしゃぐ一方で、私はあることが引っかかり
「傷薬って騎士が自分で用意するんですか? マスターが買うものでは?」
首を傾げる私に、風丸は皮肉に笑って
「金髪ちゃんは手下に使う回復薬よりも、自分の贅沢が優先でね。俺が初級の回復薬を作れるのが分かったら「じゃあ、節約のために手作りできる分は自給自足にしましょう」ってさ」
「でも平日は戦って休日は薬草採集や薬作りをしていたら、風丸のお休みが無くなっちゃうんじゃ」
要するにエバーシュタインさんに、時間外労働を強いられているらしい風丸を心配すると、彼はなんでもなさそうに肩を竦めて
「貴族や王族の旦那たちと違って、下忍に休みなんて上等なもんはそもそも無いけどね。働きすぎよりは、ろくに働けてねーほうが問題かな」
「ろくに働けてないとは?」
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