【騎士王と主の伝説】18禁乙女ゲーの世界に来たからには全力で推しを幸せにします【風丸編】

知見夜空

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第1話・推しとまさかの急接近です

俺が主を代えた理由(風丸視点)

 次の休日。いつも街に繰り出す時は、アルゼリオを同行者に選んでいた金髪ちゃんが

「珍しいね、アンタがお供しろなんてさ」
「あなたが言ったんでしょう、主としての在り方を考えろと。これまであなたを不遇に扱ってしまったかもしれないから、今日は2人だけで行動してみようと思って。ついでに、あなたの装備も買いましょう」

 このままじゃ俺を麦わらちゃんに取られると焦ったのか、少しは態度を改める気になったようだ。サービスのつもりか、胸を押し付けるように腕を組んで歩くのは余計だが、装備を買ってくれるなら素直にありがたい。これまではアルゼリオの装備が優先されて、俺は雑魚を掃除するだけだからと、なかなか買い換えてもらえなかった。

 しかしいざ武器屋に行くと、金髪ちゃんはいきなり、この店でいちばん高い武器を買おうと言い出した。俺は金髪ちゃんの発言に眉をひそめて

「何を言ってんだよ。いちばん高い武器を買うほどの金、今の俺たちにはねーだろ」
「無ければ作ればいいのよ。今ある装備を売って」
「こんな高い武器を買えるほど、高く売れるものなんて持ってねーだろ」

 金髪ちゃんのヤツ、本当に頭がどうかしたのかと思ったが

「持っているじゃない、あなたは。相楽さんからもらったブレスレットを」
「は? このブレスレットを売れって言うのか? これは借りただけでもらったわけじゃ」

 けれど金髪ちゃんは借りものであることを忘れたのではなく

「彼女には失くしたとでも言えばいいわ。どうせあんな子を怒らせても大したことはできないだろうし。せっかくのプレゼントを台無しにされれば、きっとあなたに構うのもやめるわよ」

 ここに来て俺は、ようやく金髪ちゃんの意図を理解して

「要するに麦わらちゃんからの借りものを売り払うことで、アンタへの忠誠を示せって?」

 あまりに外道な要求に俺は呆れたが、金髪ちゃんは恥ずかしげもなく自分では優雅だと思っているらしい笑みを浮かべて

「まぁ、そういうことです。あなたは私にマスターとしての在り方を改めるように言いましたが、主からの寵愛を望むなら、そちらこそ先に忠誠を示さなければ」
「……はぁ」
「なんですか? その溜息は?」

 金髪ちゃんの質問に、俺はニッコリ笑って見せると

「いや? あの時点ではまだ中身までは分からなかったとは言え、まさかここまでのポンコツを掴むなんて、俺も見る目が無いなって自分に呆れていたのさ」
「ぽ、ポンコツですって? まさか私のことですか?」

 金髪ちゃんはこれっぽっちの悪口で、わなわな震えているが

「怠惰で色狂いで恥知らずの性悪女。アンタと居りゃアルゼリオの旦那と組めるからって今まで様子を見ていたけど、つまんねー嫉妬のためにこんないい装備を売るように迫る主。百害あって一利無しだな」

 今までの不満を全部叩きつけると、俺は清々した気持ちで

「じゃーな、性悪ちゃん。アンタの懸念どおり、これからは麦わらちゃんに仕えさせてもらうよ」
「こ、この裏切り者! 相楽さんのところになんて行って、後で悔やんでも知りませんよ!」

 どれだけ自分に自信があるのか、麦わらちゃんより自分のほうがマシだと、まだ思っているらしい。とにかく俺はこんな流れで外見は最強の金髪ちゃんから、ナンバーワン不人気主の麦わらちゃんに鞍替えしたのだった。
感想 10

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