23 / 68
第6話・お題部屋でまさかのBLモードです
口直しとはじめてのキス
新メンバーのアルゼリオさんと、ワーワーダンジョンを攻略した日の夜。私は寝る前に続き部屋のドアをノックして、風丸のもとを訪ねると
「風丸。昼間はありがとうございました」
「昼間って?」
「お題部屋で庇ってくださったことです。それと今さらですが、アルゼリオさんと変なことをさせてしまってすみません。男同士で、あんなことをさせちゃって嫌でしたよね?」
身代わりにしてしまったことを謝罪すると
「まぁ、嫌じゃないわけはないけどさ。マスターちゃんが嫌な想いをするよりはマシだから」
その素っ気ない呟きに
「って、なんで泣くんだよ? 何も酷いことは言ってねーだろ?」
「す、すみません……」
珍しく狼狽える風丸に、私はじわっと浮かんだ涙を拭うと
「風丸が庇ってくれたのが嬉しくて。ありがとう、本当に。いつも優しくしてくれて」
嫌なことを肩代わりしてまで私を助けてくれた。その行動もさることながら、そうしようと思ってくれたこと自体が本当にありがたくて、泣きそうになりながらお礼を言いました。
風丸はなぜか目を逸らしながらゴニョゴニョと
「別に仮にもアンタは俺の主人だし、これくらい普通だろ」
本人は謙遜していますが
「これが普通だとしたら、風丸は本当に優しいです」
私はその言葉にもまたジーンとして
「私あなたのことを知っているようで、本当は全然分かっていませんでしたね。実際に会ってみたら、知らなかった部分がドンドン見えて来て。風丸は思っていたよりも、ずっと優しくて素敵な人なんですね」
心に湧き上がった感動をそのまま口にすると、なぜか風丸は「~っ」と悶えて
「無防備にそういうことを言うの、やめてくんない!?」
悲鳴まじりの拒否に、私は目を丸くしながら
「えっ? すみません、分かったようなことを言って。不快でしたか?」
私としては褒めたつもりですが、風丸からすれば都合のいい幻想を押し付けられていると感じたのかもしれません。しかし風丸は「そうじゃなくて」と否定すると
「例の能力のせいだろうけど、俺はアンタの言葉はやけに響くんだよ。だから、そうやって褒められると」
風丸は言いづらそうに顔を逸らしたまま
「……またアンタに触りたくなる」
その呟きに私はキョトンとしながら
「触ればよいのでは?」
まるでタブーのような言い方ですが、風丸は普段からくっつき虫です。私もすっかり風丸とのスキンシップに慣れて、今では突然くっつかれても「うひょおっ、やったぜ!」なのでドンと来いでした。
しかし私の返答に、風丸はやや焦れたように
「そう言うんじゃなくて。昼間アルゼリオの旦那のせいで気持ち悪い思いをした分、アンタで口直ししたくなるって言ってんだよ」
「口直し……えっ? そ、それはもしかしてキスしたいってことですか?」
自惚れかと思いきや、その認識で合っていたらしく
「分かっているよ、ダメなのは。前にしようとした時、泣くほど嫌がっていたし」
風丸は否定的な反応と取ったようですが
「……風丸がしたいならいいですよ」
ぼそっと呟くと、風丸は聞き取れなかったのか「は?」と怪訝な顔をしたので
「か、風丸がしたいなら、キスしていいですよ」
私は真っ赤になりながら言い直すと
「と言うと、なんか上から目線ですが、風丸がしたいならしてください」
もじもじ付け足すと、風丸は驚いた顔で
「でもマスターちゃんはそういうこと、恋人以外とはしたくないんじゃ?」
「恋人ではありませんが、私は風丸が好きなので。それでもふざけてされるのは嫌でしたけど、例え能力の影響でも風丸がしたいと思ってするなら嬉しいなって」
しかしそこまで口にしたところでハッと気づき
「ああでも風丸のほうが嫌ですよね!? 今は普通の状態じゃないですし、正気に戻ったら汚点になるかも」
「ならねーよ」
風丸は私の卑屈を強く遮ると
「この気分が収まったって、アンタとキスしたことを汚点だなんて思わねーよ」
真剣な目で私の手を取り、グイッと引き寄せて
「ん……」
温かい唇を押し付けられて、思わず体が震えました。漫画や映画では見ますが、自分がするのははじめてです。何をすればいいのか分からず、ただ棒立ちになってしまいました。
でも風丸のほうは少し唇を離しては、角度を変えて口づけることを何度も繰り返し
「か、風丸。長い……んっ!?」
いつ息を吸ったらいいか分からず、口を開いた瞬間。
「風丸。昼間はありがとうございました」
「昼間って?」
「お題部屋で庇ってくださったことです。それと今さらですが、アルゼリオさんと変なことをさせてしまってすみません。男同士で、あんなことをさせちゃって嫌でしたよね?」
身代わりにしてしまったことを謝罪すると
「まぁ、嫌じゃないわけはないけどさ。マスターちゃんが嫌な想いをするよりはマシだから」
その素っ気ない呟きに
「って、なんで泣くんだよ? 何も酷いことは言ってねーだろ?」
「す、すみません……」
珍しく狼狽える風丸に、私はじわっと浮かんだ涙を拭うと
「風丸が庇ってくれたのが嬉しくて。ありがとう、本当に。いつも優しくしてくれて」
嫌なことを肩代わりしてまで私を助けてくれた。その行動もさることながら、そうしようと思ってくれたこと自体が本当にありがたくて、泣きそうになりながらお礼を言いました。
風丸はなぜか目を逸らしながらゴニョゴニョと
「別に仮にもアンタは俺の主人だし、これくらい普通だろ」
本人は謙遜していますが
「これが普通だとしたら、風丸は本当に優しいです」
私はその言葉にもまたジーンとして
「私あなたのことを知っているようで、本当は全然分かっていませんでしたね。実際に会ってみたら、知らなかった部分がドンドン見えて来て。風丸は思っていたよりも、ずっと優しくて素敵な人なんですね」
心に湧き上がった感動をそのまま口にすると、なぜか風丸は「~っ」と悶えて
「無防備にそういうことを言うの、やめてくんない!?」
悲鳴まじりの拒否に、私は目を丸くしながら
「えっ? すみません、分かったようなことを言って。不快でしたか?」
私としては褒めたつもりですが、風丸からすれば都合のいい幻想を押し付けられていると感じたのかもしれません。しかし風丸は「そうじゃなくて」と否定すると
「例の能力のせいだろうけど、俺はアンタの言葉はやけに響くんだよ。だから、そうやって褒められると」
風丸は言いづらそうに顔を逸らしたまま
「……またアンタに触りたくなる」
その呟きに私はキョトンとしながら
「触ればよいのでは?」
まるでタブーのような言い方ですが、風丸は普段からくっつき虫です。私もすっかり風丸とのスキンシップに慣れて、今では突然くっつかれても「うひょおっ、やったぜ!」なのでドンと来いでした。
しかし私の返答に、風丸はやや焦れたように
「そう言うんじゃなくて。昼間アルゼリオの旦那のせいで気持ち悪い思いをした分、アンタで口直ししたくなるって言ってんだよ」
「口直し……えっ? そ、それはもしかしてキスしたいってことですか?」
自惚れかと思いきや、その認識で合っていたらしく
「分かっているよ、ダメなのは。前にしようとした時、泣くほど嫌がっていたし」
風丸は否定的な反応と取ったようですが
「……風丸がしたいならいいですよ」
ぼそっと呟くと、風丸は聞き取れなかったのか「は?」と怪訝な顔をしたので
「か、風丸がしたいなら、キスしていいですよ」
私は真っ赤になりながら言い直すと
「と言うと、なんか上から目線ですが、風丸がしたいならしてください」
もじもじ付け足すと、風丸は驚いた顔で
「でもマスターちゃんはそういうこと、恋人以外とはしたくないんじゃ?」
「恋人ではありませんが、私は風丸が好きなので。それでもふざけてされるのは嫌でしたけど、例え能力の影響でも風丸がしたいと思ってするなら嬉しいなって」
しかしそこまで口にしたところでハッと気づき
「ああでも風丸のほうが嫌ですよね!? 今は普通の状態じゃないですし、正気に戻ったら汚点になるかも」
「ならねーよ」
風丸は私の卑屈を強く遮ると
「この気分が収まったって、アンタとキスしたことを汚点だなんて思わねーよ」
真剣な目で私の手を取り、グイッと引き寄せて
「ん……」
温かい唇を押し付けられて、思わず体が震えました。漫画や映画では見ますが、自分がするのははじめてです。何をすればいいのか分からず、ただ棒立ちになってしまいました。
でも風丸のほうは少し唇を離しては、角度を変えて口づけることを何度も繰り返し
「か、風丸。長い……んっ!?」
いつ息を吸ったらいいか分からず、口を開いた瞬間。
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!