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エピローグ・今この時に続くなら
現代でお買い物
それから私は風丸より先に起きてシャワーを浴びると、コッソリ朝ご飯を作ることにしました。
私だけなら朝はトーストと玉子が定番ですが、風丸はどちらかと言えばご飯が好きなようです。
シャワーの前にセットしたご飯の炊きあがりを待ちながら、卵焼きやお味噌汁を作っていると、ふと背中に視線を感じました。
振り向くと、ベッドの上で風丸が身を起こしていたので
「あっ、風丸。起きたんですね。朝ご飯もう少しでできますよ」
笑顔で声をかけるも、風丸の反応が鈍いので
「どうかしました? 調子が悪いですか?」
調理の手を止めて近付くと、風丸はなぜか「いや……」と顔を逸らして
「目が覚めたらマスターちゃんが居んの、夢みたいだなって」
確かに昨日までは永遠に会えないと思っていた人と、こうして一緒に朝を迎えられるなんて夢みたいです。
「私も風丸がここに居てくれるの、夢みたいに幸せです」
満開の笑顔で喜びを告げると、きりっと顔を引き締めて
「今日からはお嫁さんとして、よりいっそう尽くしますので、期待していてください!」
新婚初日ということで、今後の抱負を熱く述べると
「そういや結婚したんだよな、俺たち」
風丸は少し寝ぼけていたのか、いま思い出したように言うと、ちょっと恥ずかしそうに
「……じゃあ、これからは夫婦なんだし、今日からはマスターちゃんのこと、名前で呼ぼうかな」
「わぁっ! はいっ! ぜひっ!」
ベットの脇にシュバッと正座待機する私に、風丸はグッと唸って
「そんなキラキラした目で待たれると呼びにくい」
「う~ん。じゃあ、これで」
期待感が目から溢れないように瞼を閉じると、風丸はしばらくして
「……由羽」
少し掠れた声で、はじめて名前を呼ばれた私は「わぁぁ……」と感動しながら
「好きな人に名前で呼ばれると、すごく特別な感じがします」
風丸と居ると常にドキドキですが、ただ名前を呼ばれるだけで心が弾みました。胸を押さえながら感想を述べる私に、風丸は表情を隠すように俯いて
「前にも増して甘々だね、マスターちゃん」
「ああ、マスターちゃんに戻ってしまった。私がウザイばっかりに」
心の距離が離れてしまったのかと残念がる私に
「別にウザいとかじゃなくて、すぐには慣れないだけだし……そのうち慣れるから待っていてよ」
すぐに『由羽』と呼んでもらえないのは残念ですが、風丸の照れ顔がたくさん見られたので満足です。
異世界から訪問者が来たら、まず必要になるのがお買い物です。というわけで朝ご飯を食べたあと、私は風丸と必要なものを買いに駅前に行きました。
とは言え1人暮らしのフリーターである私には、あまりお金がありません。費用が心配でしたが、仕事で国外に行くことも多かった風丸は、当座の資金以外はどこの国でも換金できるように、金や宝石で持つようにしていたそうです。
向こうの金や宝石は、こちらの世界と同じものだったので問題なく換金できました。今回は宝石を1つ換金しただけですが、まだストックがあります。異世界から来たばかりなのに、風丸は私よりもお金持ちです。
大抵の逆トリップものではヒロインがお金を出すのが当たり前なのに、自分で都合してくれる風丸は庶民にも優しい最高のスパダリだと思いました。
それから私たちは服を買いにデパートに行きました。風丸に現代の服を着せるの、実はずっと夢でした。もし騎士伝の学パロをやるとしたら、風丸は絶対に学ラン+フードだと出会う前から決めています。
なのでフード付きの服をメインに、カジュアルかつスポーティーな感じでまとめて、さっそく試着してもらうと
「ひゃあ~っ、大変です! こちらの世界の服を着ると、風丸の造作の良さがより際立ってしまう~!」
「これはスカウト待った無しです!」と、いつになくはしゃぐ私に、風丸は呆れ顔で
「相変わらずメッチャ持ち上げるね、マスターちゃん。もう他人じゃなくて自分の旦那なのにさ」
攻略済みなんだから機嫌を取る必要は無いと言いたいようですが
「こっちには『釣った魚にエサはやらない』という言葉があるんですが、私は自分のお魚さんだからこそ、たくさん愛したいタイプなので! 風丸のことは、これまで以上にチヤホヤする所存です!」
生き生きと言い放つ私に、風丸はちょっと照れたような間を空けて
「今朝も言っていたけど、結婚したら今まで以上に大切にしてくれるんだ? 本当に天国だね。マスターちゃんの傍って」
嬉しかったのか、へへっと笑いながら身を寄せて来ました。
結婚しても推しは推し。私の旦那さんは世界一可愛い!
デパートなので抱き締められないのが残念でしたが、両想いの幸せを噛みしめました。
私だけなら朝はトーストと玉子が定番ですが、風丸はどちらかと言えばご飯が好きなようです。
シャワーの前にセットしたご飯の炊きあがりを待ちながら、卵焼きやお味噌汁を作っていると、ふと背中に視線を感じました。
振り向くと、ベッドの上で風丸が身を起こしていたので
「あっ、風丸。起きたんですね。朝ご飯もう少しでできますよ」
笑顔で声をかけるも、風丸の反応が鈍いので
「どうかしました? 調子が悪いですか?」
調理の手を止めて近付くと、風丸はなぜか「いや……」と顔を逸らして
「目が覚めたらマスターちゃんが居んの、夢みたいだなって」
確かに昨日までは永遠に会えないと思っていた人と、こうして一緒に朝を迎えられるなんて夢みたいです。
「私も風丸がここに居てくれるの、夢みたいに幸せです」
満開の笑顔で喜びを告げると、きりっと顔を引き締めて
「今日からはお嫁さんとして、よりいっそう尽くしますので、期待していてください!」
新婚初日ということで、今後の抱負を熱く述べると
「そういや結婚したんだよな、俺たち」
風丸は少し寝ぼけていたのか、いま思い出したように言うと、ちょっと恥ずかしそうに
「……じゃあ、これからは夫婦なんだし、今日からはマスターちゃんのこと、名前で呼ぼうかな」
「わぁっ! はいっ! ぜひっ!」
ベットの脇にシュバッと正座待機する私に、風丸はグッと唸って
「そんなキラキラした目で待たれると呼びにくい」
「う~ん。じゃあ、これで」
期待感が目から溢れないように瞼を閉じると、風丸はしばらくして
「……由羽」
少し掠れた声で、はじめて名前を呼ばれた私は「わぁぁ……」と感動しながら
「好きな人に名前で呼ばれると、すごく特別な感じがします」
風丸と居ると常にドキドキですが、ただ名前を呼ばれるだけで心が弾みました。胸を押さえながら感想を述べる私に、風丸は表情を隠すように俯いて
「前にも増して甘々だね、マスターちゃん」
「ああ、マスターちゃんに戻ってしまった。私がウザイばっかりに」
心の距離が離れてしまったのかと残念がる私に
「別にウザいとかじゃなくて、すぐには慣れないだけだし……そのうち慣れるから待っていてよ」
すぐに『由羽』と呼んでもらえないのは残念ですが、風丸の照れ顔がたくさん見られたので満足です。
異世界から訪問者が来たら、まず必要になるのがお買い物です。というわけで朝ご飯を食べたあと、私は風丸と必要なものを買いに駅前に行きました。
とは言え1人暮らしのフリーターである私には、あまりお金がありません。費用が心配でしたが、仕事で国外に行くことも多かった風丸は、当座の資金以外はどこの国でも換金できるように、金や宝石で持つようにしていたそうです。
向こうの金や宝石は、こちらの世界と同じものだったので問題なく換金できました。今回は宝石を1つ換金しただけですが、まだストックがあります。異世界から来たばかりなのに、風丸は私よりもお金持ちです。
大抵の逆トリップものではヒロインがお金を出すのが当たり前なのに、自分で都合してくれる風丸は庶民にも優しい最高のスパダリだと思いました。
それから私たちは服を買いにデパートに行きました。風丸に現代の服を着せるの、実はずっと夢でした。もし騎士伝の学パロをやるとしたら、風丸は絶対に学ラン+フードだと出会う前から決めています。
なのでフード付きの服をメインに、カジュアルかつスポーティーな感じでまとめて、さっそく試着してもらうと
「ひゃあ~っ、大変です! こちらの世界の服を着ると、風丸の造作の良さがより際立ってしまう~!」
「これはスカウト待った無しです!」と、いつになくはしゃぐ私に、風丸は呆れ顔で
「相変わらずメッチャ持ち上げるね、マスターちゃん。もう他人じゃなくて自分の旦那なのにさ」
攻略済みなんだから機嫌を取る必要は無いと言いたいようですが
「こっちには『釣った魚にエサはやらない』という言葉があるんですが、私は自分のお魚さんだからこそ、たくさん愛したいタイプなので! 風丸のことは、これまで以上にチヤホヤする所存です!」
生き生きと言い放つ私に、風丸はちょっと照れたような間を空けて
「今朝も言っていたけど、結婚したら今まで以上に大切にしてくれるんだ? 本当に天国だね。マスターちゃんの傍って」
嬉しかったのか、へへっと笑いながら身を寄せて来ました。
結婚しても推しは推し。私の旦那さんは世界一可愛い!
デパートなので抱き締められないのが残念でしたが、両想いの幸せを噛みしめました。
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