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エピローグ・今この時に続くなら
意外と独占されたいタイプ
その後。先ほどの服や靴の会計を済ませると、風丸は私の選んだ服に着替えて『隠形』を解きました。
1着目は私が選びましたが、2着目からは風丸に選んでもらうことにしました。全部私が見立ててもいいんですが、着心地やデザインなど、自分の好みに合った服を選んだほうがよいと思ったので。
風丸が着替えや部屋着を見ている間、私はトイレに行きました。しかしほんの10分ほど離れただけなのに、私が戻って来た時には
「お兄さん、すごくカッコよくないですか?」
「もしかして芸能人?」
「買い物が終わったら、私たちとどこかに行きません?」
『隠形』を解いた途端、女の子たちに群がられています。でも風丸に言い寄る女の子たちを見た瞬間、私が思ったのは
(私の旦那さんに近寄らないでください!)
ではなく
(そうでしょう、そうでしょう! 風丸はカッコいいでしょう!)
私以外の風丸推しと会うのははじめてなので、なんなら「風丸のどこが好きですか?」と執拗かつ詳細に聞きたいほどでした。
でも実際にそんなことをしたらきっと
『何この女?』
『えっ、彼女? えっ?』
みたいな。「こんなSSRイケメンが、こんなレベルの低い女と?」的な反応をされる確率99%です。私も気まずいですが、風丸に恥を掻かせるわけにはいきません。
仕方なく遠くから様子を見ていると、風丸は女の子には目もくれずに服を選びながら
「奥さんが居るからダメ~」
「えっ、奥さん!? 彼女じゃなくて!?」
彼女たちが驚くのも当然です。風丸は恐らく今19歳なので、こちらでは普通、結婚している年齢じゃありません。
しかし風丸は重ねて
「そう。彼女じゃなくて奥さん。昨日、結婚したんだ」
てっきり牽制のために言っているのかと思いきや
「俺、いちばん好きな人と結婚したんだ。いいだろ~」
とピッカピカの笑顔で自慢しました。
ギャワイイ。私と結婚できたのが嬉しくて、知らない人にまで惚気ちゃう風丸、ギャワイイ。
意外と浮かれるタイプなんですね、と物陰からキュンキュンしていると
「でも指輪もしてないのに」
彼女たちの指摘に、風丸は「指輪って?」と首を傾げましたが
「えっ? だって結婚指輪とか、普通つけません?」
彼女たちの反応から、すぐにそれがこちらの世界の常識だと理解したようで
「……あー、それ。さっきも言ったけど、昨日結婚したばかりだから、まだ買ってないんだ。でも奥さんが居るのは本当。こんな嘘を吐いたって意味が無いだろ?」
とにかく脈は無いらしいと判断した女の子たちは、後ろ髪を引かれつつも退散しました。
1人になった風丸に声をかけると、彼はややジト目になって
「酷いよな~、マスターちゃんは。遠くから見ているだけで助けてくれないなんてさ~」
「えっ、気付いていたんですか?」
「そりゃ忍だもん。見られてりゃ気づくよ」
確かに素人の視線に気付けないようじゃ、忍失格かもしれません。
「すみません。出て行こうか迷ったんですが、すごく可愛い子たちでしたし、私が嫁だと思われたら風丸に恥を掻かせてしまうかと」
小さくなりながら謝ると、風丸は少し驚いた様子で
「俺に恥を掻かせるって……見た目が釣り合わないとかそう言うこと?」
コクンと頷いて返すと、風丸は頭を掻きながら
「そういや、まだちゃんと言って無かったっけ」
「ちゃんとって?」
首を傾げる私に、風丸はすごく言いにくそうにしながらも
「……俺がアンタをすげー可愛いと思っていること」
「ふぇっ? えっ? そうなんですか?」
会ったばかりの頃に不美人と言われましたし、自分ではずっとそのつもりでした。風丸は花より団子の人で、異性としての魅力ではなく貢献度で私を選んだのかなと。
本人に言われてさえ、まだ半信半疑でしたが
「何度も聞かないでよ。ずっと嘘ばかり吐いて来たから、本音を話すのって恥ずかしいんだ」
風丸は本音を口にする時、少し顔が歪むようです。私だけが知るその表情が、とても嬉しくて
「私はもう風丸のその反応だけで胸がいっぱいです! ありがとうございます!」
可愛いも、きっと今は本心なのだろうと元気いっぱいにお礼を言うと
「感謝はいいから自信を持って。誰の前だろうと堂々と俺の隣に居てよ」
風丸はムッとしつつ強く指示すると、なぜか少し顔を逸らして
「放っといたって浮気はしないけどさ……女に囲まれてんのに放置されんのは、どうでもいいのかなって寂しいじゃん」
その言葉に、私はハッとして
「すみません、風丸。私が保身を図ったばかりに、寂しい想いをさせてしまって」
確かに恋人がすぐそこで口説かれているのに、もめごとを恐れて見ているだけなんて薄情です。私は自分の行いを反省すると
「次からは前に出ます! 「この人は私の旦那さんです!」って、全力で主張してやりますよ!」
心を入れ替えた今、キャットファイトも辞さない私に風丸は
「じゃあ、さっそく」
「えっ? なんですか、この手は?」
突然手を差し伸べられて首を傾げる私に
「一目で関係が分かるように手を繋いでおこうよ。またナンパされないように、ちゃんと自分のものだってアピールして?」
風丸は久しぶりのキュルン顔で言いました。そのあざと可愛い表情に、私はまんまとハートを撃ち抜かれて
「もちろん! 誰にも渡しません!」
瞬時に手を繋ぐと、風丸は「そう。それでいいの」とご満悦に笑って
「一生離さないでね」
と甘やかな声とともに、くっついて来ました。
男女逆転している気もしますが、小悪魔な風丸も私は大好きです。こんなに可愛い風丸が誰かに奪われてしまわないように、今後はしっかり権利を主張しようと誓いました。
1着目は私が選びましたが、2着目からは風丸に選んでもらうことにしました。全部私が見立ててもいいんですが、着心地やデザインなど、自分の好みに合った服を選んだほうがよいと思ったので。
風丸が着替えや部屋着を見ている間、私はトイレに行きました。しかしほんの10分ほど離れただけなのに、私が戻って来た時には
「お兄さん、すごくカッコよくないですか?」
「もしかして芸能人?」
「買い物が終わったら、私たちとどこかに行きません?」
『隠形』を解いた途端、女の子たちに群がられています。でも風丸に言い寄る女の子たちを見た瞬間、私が思ったのは
(私の旦那さんに近寄らないでください!)
ではなく
(そうでしょう、そうでしょう! 風丸はカッコいいでしょう!)
私以外の風丸推しと会うのははじめてなので、なんなら「風丸のどこが好きですか?」と執拗かつ詳細に聞きたいほどでした。
でも実際にそんなことをしたらきっと
『何この女?』
『えっ、彼女? えっ?』
みたいな。「こんなSSRイケメンが、こんなレベルの低い女と?」的な反応をされる確率99%です。私も気まずいですが、風丸に恥を掻かせるわけにはいきません。
仕方なく遠くから様子を見ていると、風丸は女の子には目もくれずに服を選びながら
「奥さんが居るからダメ~」
「えっ、奥さん!? 彼女じゃなくて!?」
彼女たちが驚くのも当然です。風丸は恐らく今19歳なので、こちらでは普通、結婚している年齢じゃありません。
しかし風丸は重ねて
「そう。彼女じゃなくて奥さん。昨日、結婚したんだ」
てっきり牽制のために言っているのかと思いきや
「俺、いちばん好きな人と結婚したんだ。いいだろ~」
とピッカピカの笑顔で自慢しました。
ギャワイイ。私と結婚できたのが嬉しくて、知らない人にまで惚気ちゃう風丸、ギャワイイ。
意外と浮かれるタイプなんですね、と物陰からキュンキュンしていると
「でも指輪もしてないのに」
彼女たちの指摘に、風丸は「指輪って?」と首を傾げましたが
「えっ? だって結婚指輪とか、普通つけません?」
彼女たちの反応から、すぐにそれがこちらの世界の常識だと理解したようで
「……あー、それ。さっきも言ったけど、昨日結婚したばかりだから、まだ買ってないんだ。でも奥さんが居るのは本当。こんな嘘を吐いたって意味が無いだろ?」
とにかく脈は無いらしいと判断した女の子たちは、後ろ髪を引かれつつも退散しました。
1人になった風丸に声をかけると、彼はややジト目になって
「酷いよな~、マスターちゃんは。遠くから見ているだけで助けてくれないなんてさ~」
「えっ、気付いていたんですか?」
「そりゃ忍だもん。見られてりゃ気づくよ」
確かに素人の視線に気付けないようじゃ、忍失格かもしれません。
「すみません。出て行こうか迷ったんですが、すごく可愛い子たちでしたし、私が嫁だと思われたら風丸に恥を掻かせてしまうかと」
小さくなりながら謝ると、風丸は少し驚いた様子で
「俺に恥を掻かせるって……見た目が釣り合わないとかそう言うこと?」
コクンと頷いて返すと、風丸は頭を掻きながら
「そういや、まだちゃんと言って無かったっけ」
「ちゃんとって?」
首を傾げる私に、風丸はすごく言いにくそうにしながらも
「……俺がアンタをすげー可愛いと思っていること」
「ふぇっ? えっ? そうなんですか?」
会ったばかりの頃に不美人と言われましたし、自分ではずっとそのつもりでした。風丸は花より団子の人で、異性としての魅力ではなく貢献度で私を選んだのかなと。
本人に言われてさえ、まだ半信半疑でしたが
「何度も聞かないでよ。ずっと嘘ばかり吐いて来たから、本音を話すのって恥ずかしいんだ」
風丸は本音を口にする時、少し顔が歪むようです。私だけが知るその表情が、とても嬉しくて
「私はもう風丸のその反応だけで胸がいっぱいです! ありがとうございます!」
可愛いも、きっと今は本心なのだろうと元気いっぱいにお礼を言うと
「感謝はいいから自信を持って。誰の前だろうと堂々と俺の隣に居てよ」
風丸はムッとしつつ強く指示すると、なぜか少し顔を逸らして
「放っといたって浮気はしないけどさ……女に囲まれてんのに放置されんのは、どうでもいいのかなって寂しいじゃん」
その言葉に、私はハッとして
「すみません、風丸。私が保身を図ったばかりに、寂しい想いをさせてしまって」
確かに恋人がすぐそこで口説かれているのに、もめごとを恐れて見ているだけなんて薄情です。私は自分の行いを反省すると
「次からは前に出ます! 「この人は私の旦那さんです!」って、全力で主張してやりますよ!」
心を入れ替えた今、キャットファイトも辞さない私に風丸は
「じゃあ、さっそく」
「えっ? なんですか、この手は?」
突然手を差し伸べられて首を傾げる私に
「一目で関係が分かるように手を繋いでおこうよ。またナンパされないように、ちゃんと自分のものだってアピールして?」
風丸は久しぶりのキュルン顔で言いました。そのあざと可愛い表情に、私はまんまとハートを撃ち抜かれて
「もちろん! 誰にも渡しません!」
瞬時に手を繋ぐと、風丸は「そう。それでいいの」とご満悦に笑って
「一生離さないでね」
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