天晴珍語〜I speak English

dragon49

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天晴珍語〜I speak English

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2020年に東京五輪が予定されていますが、その前に日本は外国人による観光ラッシュ、1000万人から2000万人の大台へ載せようと安倍さんの鼻息も荒い今日昨今です。
  大勢の外国人が押し寄せると差し当たり困るのが言葉の問題、隣国の韓国語に中国語、世界共通語の英語を始め、フランス語にドイツ語、ロシア語にスペイン語云々と喧しい喧しい。
 言葉だけじゃありません、食べ物だって問題です。中東の人達の「ハラール」、腹が減ってるのかと思いきや、豚肉が食べられないなどの宗教的な規制だというのだから驚きです。
 そんな日の本ですが、幕末の志士達が出てくるついぞ100年前までは鎖国をしていまして、にわかに忙しくなったのは浦賀にペリーさんが来てからなんです。

 時は幕末、幕府の老中は八方美人の阿部さんです。浦賀に紅毛碧眼の輩が来たとうのでハタと困った。そこで旗本の武士の中から通士の心得がある人を呼び出します。
 「ペリー さんら一行は、城中で上様と会談してから品川宿で休憩するから、スナックでもてなして粗相のないように計らって欲しい」
 「えッ?砂を食うのでありますか?」
なにしろこの人、中国語の通訳ですから甚だココロ元ない。奥医師について一夜漬けの英会話で臨むのですから無謀な話です。
  女中に扮した御庭番の女性と品川宿で待って居ますと、のっしのっしと六尺豊かな大男達がやって来るではありませんか。
 「いやー、でかい男だね」
 そこで自分で考えたお品書き通りにもてなしてみます。今で言うOmotenasiですな。
 「披露します!」
  「Oh Hello!」
船中では野菜が不足しがちだと聞いたので、まず人参の煮っ転がしを出してみます。
  「This carrot is nice!」
  「軽んじてないか?そ、そんなことはござろん!貴殿ら一行のことは老中の阿部様から仰せつかっておる!」
  気をそこねたんじゃないかと思って今度は羽田のアサリ飯を出します。
 「The clam is also nice! 」
 「クラっとするな?」、慌てて飯椀の匂いを嗅いでみますと、これが少々生臭くて含羞の極みになっちまいます。
  で、今度は朝棒手振りが売りに来た茹で卵を出してみますと、
「The boiled egg is nice」
  「棒手振りのエグいな?左様!これは江戸でも高級品でござる」
 少々、溜飲が下がります。最後に熱々の緑茶を出します。
 「Oh shit! Too hot!」
 ペリー さんが苦痛で顔を歪めますと、
 「美味しかった?ホットした?吾々のもてなしがうけいれられ、拙者も嬉しゅうございます」
 「Thank  you  , see you again」
  「何?辛苦はあろうとも雌雄を決すると?うーむやはり清国のように我が国を侵略する意図か?」
  と、後日阿部さんに知らされてお台場に砲台が築かれたとか築かれなかったとかいうお話。
(諸説あり)






 
 
 
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