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天晴珍語〜そば
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先日、アメリカのファストフード大手チェーン店「マクドナルド」が、2020年の東京オリンピックのスポンサーから撤退するというニュースが報じられました。
ファストフードというと何か物珍しい、目新しいようにも見えますが、日本人は江戸時代からそれを楽しんでいました。
この東京は昔は江戸といいまして、駿河から江戸に国替えになった家康さんが始めに思いついたのが、江戸城の修復や利根川の東遷を含めた大工事です。
それで全国から職人さんやら大工さんらが大勢集まり、江戸の庶民すなわち町方というものを形作っていったのであります。
その多くは独身のヤモメ男で、彼等を相手にサッと食事を出す屋台商売が繁盛しました。寿司、天麩羅、鰻などがあり、その一つのそば屋も大人気でした。
江戸時代の中期、八代将軍吉宗さんの頃、深川の裏長屋に大工の定吉さんが居まして、これが三十路を過ぎても男の一人暮らし、それが大工の腕が棟梁に認めてもらえて、晴れて嫁さんを貰うことになりました。
「納豆~納豆~」
「豆腐~豆腐~」
いつもなら朝からこうるさい棒手振りの呼び声も新妻と一緒だと格別に聴こえるから不思議です。
「おまえさん、朝餉の支度が出来ましたよ~」
納豆に冷奴、めざしに味噌汁という平凡な朝食も新妻と卓を囲みながら食べると美味しい、仕事にもハリが出るというもんです。
「さあ、一仕事して来るぜ」、大工道具を担いで戸口に立った定吉さんの背を火打ち石で新妻が払ってくれるのがまた小っ恥ずかしいやら嬉しいやら。
「おまえさん、夜は何がいい?」
「そばがいいねぇ」
新妻は何やら恥ずかしそうに俯くと真っ赤に上気して奥に引っ込んでしまいます。
何やらおかしな具合いだとは思いつつも
定吉さん気をとり直して、江戸城の工事現場で一日中働いて、九尺二間のわが家への家路につきます。
「しっぽくかな、いやいや気を利かして天麩羅そばにしてるかも」
定吉さん、新妻を差し向かいにして湯気の立つそばをかきこむ妄想で一人でにやにやしています。
「おーい、今けえったぞー!」
定吉さんが家に帰ると、卓の上には何もありません。
定吉さんが仕方なく卓の前にどっかと腰を下ろしていると新妻が妙に薄着になってにじり寄ってきます。
定吉さんは空腹と仕事の疲れで動く気もしません。
新妻は畳に「の」の字を描きながら身を寄せてきます。
「アンタが夜はそばがいいって言うから、こうして準備して待ってるんじゃないか。さあ早く抱いておくれよ」
こうして江戸の街は人口が増えて100万都市となり、後日大発展したというお話。
ファストフードというと何か物珍しい、目新しいようにも見えますが、日本人は江戸時代からそれを楽しんでいました。
この東京は昔は江戸といいまして、駿河から江戸に国替えになった家康さんが始めに思いついたのが、江戸城の修復や利根川の東遷を含めた大工事です。
それで全国から職人さんやら大工さんらが大勢集まり、江戸の庶民すなわち町方というものを形作っていったのであります。
その多くは独身のヤモメ男で、彼等を相手にサッと食事を出す屋台商売が繁盛しました。寿司、天麩羅、鰻などがあり、その一つのそば屋も大人気でした。
江戸時代の中期、八代将軍吉宗さんの頃、深川の裏長屋に大工の定吉さんが居まして、これが三十路を過ぎても男の一人暮らし、それが大工の腕が棟梁に認めてもらえて、晴れて嫁さんを貰うことになりました。
「納豆~納豆~」
「豆腐~豆腐~」
いつもなら朝からこうるさい棒手振りの呼び声も新妻と一緒だと格別に聴こえるから不思議です。
「おまえさん、朝餉の支度が出来ましたよ~」
納豆に冷奴、めざしに味噌汁という平凡な朝食も新妻と卓を囲みながら食べると美味しい、仕事にもハリが出るというもんです。
「さあ、一仕事して来るぜ」、大工道具を担いで戸口に立った定吉さんの背を火打ち石で新妻が払ってくれるのがまた小っ恥ずかしいやら嬉しいやら。
「おまえさん、夜は何がいい?」
「そばがいいねぇ」
新妻は何やら恥ずかしそうに俯くと真っ赤に上気して奥に引っ込んでしまいます。
何やらおかしな具合いだとは思いつつも
定吉さん気をとり直して、江戸城の工事現場で一日中働いて、九尺二間のわが家への家路につきます。
「しっぽくかな、いやいや気を利かして天麩羅そばにしてるかも」
定吉さん、新妻を差し向かいにして湯気の立つそばをかきこむ妄想で一人でにやにやしています。
「おーい、今けえったぞー!」
定吉さんが家に帰ると、卓の上には何もありません。
定吉さんが仕方なく卓の前にどっかと腰を下ろしていると新妻が妙に薄着になってにじり寄ってきます。
定吉さんは空腹と仕事の疲れで動く気もしません。
新妻は畳に「の」の字を描きながら身を寄せてきます。
「アンタが夜はそばがいいって言うから、こうして準備して待ってるんじゃないか。さあ早く抱いておくれよ」
こうして江戸の街は人口が増えて100万都市となり、後日大発展したというお話。
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