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Phase 1 生まれ変わってもブラック会社に勤めていた迷宮探索者の憂鬱
第19話 税金と独立と再出発
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「ちょっと待てよ!何でそんなに税金高いんだよ?!」
ギルド内に、ロキの大声が響く。
その大きな声に、何事かと通りすがりの者たちの視線が集まる。
ロキに説明をしているギルド職員は、はあとため息をつくと、説明を始めた。
「レギオンに所属しているのなら税金は毎月まとめて納税してもらっていますが、個人の場合はその場で納めてもらう決まりになっているんです!」
「でも、個人でも収支を計算してまとめて納税する仕組みもあるって聞いたぜ?」
「年間を通じた収支の報告をして、過払い納税分が戻ってくる仕組みもありますよ。でも何度も言いますが、レギオンに所属していない人は、全員その場で納税してもらっています。過払い分の申請をするにしても、年間収支報告書類などを税理士に書いてもらうだけでも良い金額がかかってしまいますから、戻ってくる金額の方が少ない場合もありますよ」
「だ……だとしても、7割は取りすぎだろう?!」
「あなたはレギオン辞めたばかりなんでしょう?個人で活動する迷宮探索者は突然姿をくらましたり、亡くなったりして連絡が取れなくなる場合が多いですから、税率は高くなっているんです。それに今回は古代の白金貨でしたっけ?高額な所得になるほど税率は上がる仕組みなんですよ」
「ちくしょう……」
ここでこの職員にどれだけ迫っても税金の額は変わらないことはロキにも理解できた。諦めたロキは、結局大人しく税金を納める。
白金貨はおよそ金貨10枚分、100万セルの価格で買い取りしてもらうことができた。しかしその内70万セルを税金として徴収されてしまい、残りをアルマと二人で分けたら、一人当たり15万セルの収入にしかならなかった。
ロキはがっかりした顔でアルマに金貨を渡すと、謝罪する。
「こんなに少なくなるとは思わなかったよ。期待させて悪い!」
「そんな事ないです!私は何もしてないですし、魔物は全てロキさんが倒したんですから、半分もらうのも悪いです!」
「いや、金の取り分は揉める元だ。パーティーを永く続けるには活躍したかどうかは関係なく、取り分は均等にするべきだ」
「……すいません、ありがとうございます」
そう言ってアルマは金貨を受け取る。
「税金を引かれても、私の一ヶ月分の給料くらいあります」
「そうだな……俺もそれくらいだ。だけど毎回財宝を見つけられるわけじゃない。今回は特別だ。この金でまた次の探索に向けて装備を揃えないといけないしな」
★★★★★★★★
その夜、金牛亭では、いつものロキとレオンのテーブルにアルマも加えた三人が一緒に座り、夕食をとっていた。
いつものようにロキの話をレオンが聞いており、アルマは二人の会話の邪魔をしないよう大人しく食事をしている。
「すげーじゃねえか!古代の白金貨なんてお宝じゃねえか!」
「ああ、100万セルにもなったぜ」
「えっ?それじゃ普通の白金貨と同じ相場じゃないか?古代の貨幣ならコレクターの貴族のところに持っていけば、なかなかいい金額で買い取ってくれると思うぞ?」
「えっ?!いや、えっ?うそ?」
「ギルドに買いたたかれたな?税金だけ支払って、現物は古銭屋探して売りに行った方がよかったな」
「あ、いや、しかし、現金化しなきゃ税金も払えなかったし……」
「そこがギルドのいやらしいところだよな。何十万もの金なんかそうそう簡単に払えるもんじゃねえしな」
「うーむ……」
換金でも損をしていたことをレオンに聞かされ、ロキは腕を組んで悩み始めた。
「まあ換金の件は仕方なかったとして、とにかくレギオンやめてすぐ臨時収入があって良かったじゃねえか!それにしても、あんだけ毎日休みがないってぼやいてたのに、体は大丈夫なのか?また死にかけてもしらねえぞ?」
「ああ、そういえば昨日までの頭の重さとか、今は全然気にならないな。レギオン辞めたからかな!」
「ワハハ!違いねえ!」
「そう言えばあの時からかな?アルマの回復魔法かけてもらってから体が軽いんだ。怪我だけじゃなく、疲れも一気に取れた感じがする」
「そうなのか?すげーなアルマちゃん!」
「いえ、そ、そんな。でもあの時のロキさんはすごかったです。魔物の群れを次々と倒していって」
「そんなに効き目があるなら、その回復魔法俺にもかけてくれよ」
「おまえ、怪我してねえだろう!」
「いいだろアルマちゃん?」
「え?まあ、それくらいなら良いですけど……。≪回復≫」
アルマがそっと差し出した手のひらから、淡い光がレオンを包む。
「どうですか?疲れも取れましたか?」
アルマの質問に対し、レオンは少し難しい顔をしていた。
「ど、どうかしました?」
「酔いが醒めた……」
「ワハハ!」
「ご、ごめんなさい!」
「いや、いいんだ。頼んだのは俺だし。それにこれでもっと酒を飲んでも大丈夫だな!おーいカリナ!エールおかわりくれ!」
厨房からカリナの、あいよー!という声が返ってくる。
謝るアルマに、レオンは大丈夫なことを告げると、ロキはそれを笑って見ていた。
「しかし、それにしてもすごい効き目だな。ところでアルマちゃんは一日に何回くらい回復を使えるんだ?」
「え?何回だろう?」
「ロキはすぐ魔力が切れちゃうんだよな?」
「俺はあまり修行をしてないからな。発火みたいな生活魔法なら何発でもいけるけど、火球みたいな初級魔法だと数回使うとすぐに気持ち悪くなっちまう」
「気持ち悪くなっちゃうんですか?」
「魔力切れしたら気持ち悪くなるだろう?」
「そうなんですか?そういえば私はそんなにたくさん魔法を使ったことがないです。家にいた時は父がただで回復を掛けたら神殿への営業妨害になるって言って、回復魔法をかける人からは神殿と同じ額のお金を取ることにしたので、実際には家族とかにしか使ってなかったですし、迷宮探索者になってからもほとんど出番がなかったもので」
「そうなんだ。でも俺より断然魔力があるのは確かみたいだな」
レオンはそんな二人を見比べながら、ふいにポツリと呟いた。
「もしかしたらロキとアルマちゃんが組めば、深層にだってすぐに届くかもしれないな」
だがそんなレオンの言葉をロキはすぐに否定した。
「それはないな」
「え?なんで?」
お世辞とかではなく、まじめな顔で言ったレオンに対して、ロキもまじめな顔で答える。
「別に深層に潜る必要なんてないだろ?そこそこ働いてそこそこ稼いで、ホワイトな環境であればそれでいいんだ俺は」
「私も、普通に生活できて、両親に頑張ってるって報告できるレベルであればそれでいいですねー」
ロキの意見に同意するアルマ。
無欲な二人に、レオンは驚いたというより呆れた顔をしていた。
「しかし、迷宮探索者なら一度は迷宮踏破してみたいとか思うもんじゃないのか?」
「別に……。そもそも迷宮踏破したからどうだって言うんだ?」
「そりゃおまえ、最深部には聖鍵と呼ばれる半永久的に魔力を生み続けている迷宮の核があって、それを国王に献上すれば何でも願いを聞いてくれるっていう話だぜ?」
「そうなの?何でも?」
そこにエールのお替りを持ってきたカリナがやってくる。
エールの入った瓶をレオンの前に置くと、二人の会話に一言口をはさむ。
「何でもよ。王都では二つの迷宮を踏破した勇者が、一つ目の聖鍵で貴族位を、二つ目の聖鍵で王女を妃にもらったって話よ」
「まじかよ!すげーな!夢があるな!」
「すごーい!」
驚くロキとアルマに、レオンは呆れた顔をする。
「アルマちゃんはともかく、ロキ、お前も今まで知らなかったのかよ?」
「ああ。そんなこと言われても、王様にお願いしたいことなんてないしな!アルマは何かある?」
「私もないですねー。えへへ」
「この二人は……」
「おまえはどうなんだよレオン?深層で最前線行ってるってことは、迷宮を踏破して何か叶えたいことがあるんだろ?」
「お、俺の話はいいだろ……」
「おまえ、自分のことはあんま話さないよな……、まあ迷宮踏破はどうでもいいとして、とにかくレオン、俺は決めたぜ」
「何を?」
「俺は新しくレギオンを設立する」
「え?」
「やっぱり個人で迷宮探索するには税金の面とかで不利だ。レギオンを設立して、収支をしっかり管理するぜ。それがホワイトへの第一歩だ」
「メンバーは?確か最低五人は必要なんじゃなかったっけ?それに資格を持った税理士も必要なはずだぜ?」
「税理士は俺が兼任するとして、問題はメンバーか」
「兼任って、本当に大丈夫か?」
「ああ、そっちの方はとりあえず明日ギルドで詳しく聞いてくるとして、あとメンバーを二人探さないといけないな」
「だから五人必要だって……」
「だからあと二人……」
「俺も入ってるのかよ?!」
「大丈夫!俺に任せとけ!」
勝手にレギオンのメンバーに入れられていたレオンだったが、結局迷宮探索は今まで通りレオンはソロで深層を探索するだけで大きく変わらないと説得され、渋々承知する。
アルマも今回のロキとの迷宮探索に手ごたえを感じていたのか、今後も一緒にやっていくことを約束し、レギオン設立に反対もなくロキの意見に従うことになった。
「とりあえず一人心当たりがあるんだ。前のレギオンの時に外部講師で魔法を教えに来てくれてた魔法使いで、俺に魔法を教えてくれた師匠なんだけど、明日誘いに行ってみるよ」
明日の午前中に心当たりの魔法使いを尋ね、午後にアルマとギルドで待ち合わせをすることにした後、その夜は解散する。
★★★★★★★★
店を出る時、レオンは小声でロキに話しかけた。
「ロキ、アルマちゃんの回復魔法だけどな……」
「ん?どうした?」
「あれはただの回復魔法じゃないぞ?」
「え?」
「回復は怪我を癒す魔法で、酔いを醒ます効果なんてない。酔いを醒ます魔法があるのなら、毒や麻痺などの状態異常を治す状態異常復元系の魔法で、それは回復とは別系統の魔法だ」
「じゃあ何だって言うんだ?実際に俺の怪我も治したんだぜ?」
「多分あれは魔法じゃなく、≪祝福≫と言われる聖女が使う神威解放系の奇跡だ。エリクサーと同じように負傷治療させると同時に状態異常も回復させる。自分の魔力を使うわけじゃなく神の力の代理行使だから、魔力切れが起こることもない」
「待ってくれ!それって大変なことじゃないのか?」
「大変だ。神殿にバレたら連れ去られてアルマちゃんと二度と会えなくなるぞ」
「……」
「とりあえずこの事は黙っておく。お前も周りに悟られないように気をつけろよ」
「ああ。分かった……」
ギルド内に、ロキの大声が響く。
その大きな声に、何事かと通りすがりの者たちの視線が集まる。
ロキに説明をしているギルド職員は、はあとため息をつくと、説明を始めた。
「レギオンに所属しているのなら税金は毎月まとめて納税してもらっていますが、個人の場合はその場で納めてもらう決まりになっているんです!」
「でも、個人でも収支を計算してまとめて納税する仕組みもあるって聞いたぜ?」
「年間を通じた収支の報告をして、過払い納税分が戻ってくる仕組みもありますよ。でも何度も言いますが、レギオンに所属していない人は、全員その場で納税してもらっています。過払い分の申請をするにしても、年間収支報告書類などを税理士に書いてもらうだけでも良い金額がかかってしまいますから、戻ってくる金額の方が少ない場合もありますよ」
「だ……だとしても、7割は取りすぎだろう?!」
「あなたはレギオン辞めたばかりなんでしょう?個人で活動する迷宮探索者は突然姿をくらましたり、亡くなったりして連絡が取れなくなる場合が多いですから、税率は高くなっているんです。それに今回は古代の白金貨でしたっけ?高額な所得になるほど税率は上がる仕組みなんですよ」
「ちくしょう……」
ここでこの職員にどれだけ迫っても税金の額は変わらないことはロキにも理解できた。諦めたロキは、結局大人しく税金を納める。
白金貨はおよそ金貨10枚分、100万セルの価格で買い取りしてもらうことができた。しかしその内70万セルを税金として徴収されてしまい、残りをアルマと二人で分けたら、一人当たり15万セルの収入にしかならなかった。
ロキはがっかりした顔でアルマに金貨を渡すと、謝罪する。
「こんなに少なくなるとは思わなかったよ。期待させて悪い!」
「そんな事ないです!私は何もしてないですし、魔物は全てロキさんが倒したんですから、半分もらうのも悪いです!」
「いや、金の取り分は揉める元だ。パーティーを永く続けるには活躍したかどうかは関係なく、取り分は均等にするべきだ」
「……すいません、ありがとうございます」
そう言ってアルマは金貨を受け取る。
「税金を引かれても、私の一ヶ月分の給料くらいあります」
「そうだな……俺もそれくらいだ。だけど毎回財宝を見つけられるわけじゃない。今回は特別だ。この金でまた次の探索に向けて装備を揃えないといけないしな」
★★★★★★★★
その夜、金牛亭では、いつものロキとレオンのテーブルにアルマも加えた三人が一緒に座り、夕食をとっていた。
いつものようにロキの話をレオンが聞いており、アルマは二人の会話の邪魔をしないよう大人しく食事をしている。
「すげーじゃねえか!古代の白金貨なんてお宝じゃねえか!」
「ああ、100万セルにもなったぜ」
「えっ?それじゃ普通の白金貨と同じ相場じゃないか?古代の貨幣ならコレクターの貴族のところに持っていけば、なかなかいい金額で買い取ってくれると思うぞ?」
「えっ?!いや、えっ?うそ?」
「ギルドに買いたたかれたな?税金だけ支払って、現物は古銭屋探して売りに行った方がよかったな」
「あ、いや、しかし、現金化しなきゃ税金も払えなかったし……」
「そこがギルドのいやらしいところだよな。何十万もの金なんかそうそう簡単に払えるもんじゃねえしな」
「うーむ……」
換金でも損をしていたことをレオンに聞かされ、ロキは腕を組んで悩み始めた。
「まあ換金の件は仕方なかったとして、とにかくレギオンやめてすぐ臨時収入があって良かったじゃねえか!それにしても、あんだけ毎日休みがないってぼやいてたのに、体は大丈夫なのか?また死にかけてもしらねえぞ?」
「ああ、そういえば昨日までの頭の重さとか、今は全然気にならないな。レギオン辞めたからかな!」
「ワハハ!違いねえ!」
「そう言えばあの時からかな?アルマの回復魔法かけてもらってから体が軽いんだ。怪我だけじゃなく、疲れも一気に取れた感じがする」
「そうなのか?すげーなアルマちゃん!」
「いえ、そ、そんな。でもあの時のロキさんはすごかったです。魔物の群れを次々と倒していって」
「そんなに効き目があるなら、その回復魔法俺にもかけてくれよ」
「おまえ、怪我してねえだろう!」
「いいだろアルマちゃん?」
「え?まあ、それくらいなら良いですけど……。≪回復≫」
アルマがそっと差し出した手のひらから、淡い光がレオンを包む。
「どうですか?疲れも取れましたか?」
アルマの質問に対し、レオンは少し難しい顔をしていた。
「ど、どうかしました?」
「酔いが醒めた……」
「ワハハ!」
「ご、ごめんなさい!」
「いや、いいんだ。頼んだのは俺だし。それにこれでもっと酒を飲んでも大丈夫だな!おーいカリナ!エールおかわりくれ!」
厨房からカリナの、あいよー!という声が返ってくる。
謝るアルマに、レオンは大丈夫なことを告げると、ロキはそれを笑って見ていた。
「しかし、それにしてもすごい効き目だな。ところでアルマちゃんは一日に何回くらい回復を使えるんだ?」
「え?何回だろう?」
「ロキはすぐ魔力が切れちゃうんだよな?」
「俺はあまり修行をしてないからな。発火みたいな生活魔法なら何発でもいけるけど、火球みたいな初級魔法だと数回使うとすぐに気持ち悪くなっちまう」
「気持ち悪くなっちゃうんですか?」
「魔力切れしたら気持ち悪くなるだろう?」
「そうなんですか?そういえば私はそんなにたくさん魔法を使ったことがないです。家にいた時は父がただで回復を掛けたら神殿への営業妨害になるって言って、回復魔法をかける人からは神殿と同じ額のお金を取ることにしたので、実際には家族とかにしか使ってなかったですし、迷宮探索者になってからもほとんど出番がなかったもので」
「そうなんだ。でも俺より断然魔力があるのは確かみたいだな」
レオンはそんな二人を見比べながら、ふいにポツリと呟いた。
「もしかしたらロキとアルマちゃんが組めば、深層にだってすぐに届くかもしれないな」
だがそんなレオンの言葉をロキはすぐに否定した。
「それはないな」
「え?なんで?」
お世辞とかではなく、まじめな顔で言ったレオンに対して、ロキもまじめな顔で答える。
「別に深層に潜る必要なんてないだろ?そこそこ働いてそこそこ稼いで、ホワイトな環境であればそれでいいんだ俺は」
「私も、普通に生活できて、両親に頑張ってるって報告できるレベルであればそれでいいですねー」
ロキの意見に同意するアルマ。
無欲な二人に、レオンは驚いたというより呆れた顔をしていた。
「しかし、迷宮探索者なら一度は迷宮踏破してみたいとか思うもんじゃないのか?」
「別に……。そもそも迷宮踏破したからどうだって言うんだ?」
「そりゃおまえ、最深部には聖鍵と呼ばれる半永久的に魔力を生み続けている迷宮の核があって、それを国王に献上すれば何でも願いを聞いてくれるっていう話だぜ?」
「そうなの?何でも?」
そこにエールのお替りを持ってきたカリナがやってくる。
エールの入った瓶をレオンの前に置くと、二人の会話に一言口をはさむ。
「何でもよ。王都では二つの迷宮を踏破した勇者が、一つ目の聖鍵で貴族位を、二つ目の聖鍵で王女を妃にもらったって話よ」
「まじかよ!すげーな!夢があるな!」
「すごーい!」
驚くロキとアルマに、レオンは呆れた顔をする。
「アルマちゃんはともかく、ロキ、お前も今まで知らなかったのかよ?」
「ああ。そんなこと言われても、王様にお願いしたいことなんてないしな!アルマは何かある?」
「私もないですねー。えへへ」
「この二人は……」
「おまえはどうなんだよレオン?深層で最前線行ってるってことは、迷宮を踏破して何か叶えたいことがあるんだろ?」
「お、俺の話はいいだろ……」
「おまえ、自分のことはあんま話さないよな……、まあ迷宮踏破はどうでもいいとして、とにかくレオン、俺は決めたぜ」
「何を?」
「俺は新しくレギオンを設立する」
「え?」
「やっぱり個人で迷宮探索するには税金の面とかで不利だ。レギオンを設立して、収支をしっかり管理するぜ。それがホワイトへの第一歩だ」
「メンバーは?確か最低五人は必要なんじゃなかったっけ?それに資格を持った税理士も必要なはずだぜ?」
「税理士は俺が兼任するとして、問題はメンバーか」
「兼任って、本当に大丈夫か?」
「ああ、そっちの方はとりあえず明日ギルドで詳しく聞いてくるとして、あとメンバーを二人探さないといけないな」
「だから五人必要だって……」
「だからあと二人……」
「俺も入ってるのかよ?!」
「大丈夫!俺に任せとけ!」
勝手にレギオンのメンバーに入れられていたレオンだったが、結局迷宮探索は今まで通りレオンはソロで深層を探索するだけで大きく変わらないと説得され、渋々承知する。
アルマも今回のロキとの迷宮探索に手ごたえを感じていたのか、今後も一緒にやっていくことを約束し、レギオン設立に反対もなくロキの意見に従うことになった。
「とりあえず一人心当たりがあるんだ。前のレギオンの時に外部講師で魔法を教えに来てくれてた魔法使いで、俺に魔法を教えてくれた師匠なんだけど、明日誘いに行ってみるよ」
明日の午前中に心当たりの魔法使いを尋ね、午後にアルマとギルドで待ち合わせをすることにした後、その夜は解散する。
★★★★★★★★
店を出る時、レオンは小声でロキに話しかけた。
「ロキ、アルマちゃんの回復魔法だけどな……」
「ん?どうした?」
「あれはただの回復魔法じゃないぞ?」
「え?」
「回復は怪我を癒す魔法で、酔いを醒ます効果なんてない。酔いを醒ます魔法があるのなら、毒や麻痺などの状態異常を治す状態異常復元系の魔法で、それは回復とは別系統の魔法だ」
「じゃあ何だって言うんだ?実際に俺の怪我も治したんだぜ?」
「多分あれは魔法じゃなく、≪祝福≫と言われる聖女が使う神威解放系の奇跡だ。エリクサーと同じように負傷治療させると同時に状態異常も回復させる。自分の魔力を使うわけじゃなく神の力の代理行使だから、魔力切れが起こることもない」
「待ってくれ!それって大変なことじゃないのか?」
「大変だ。神殿にバレたら連れ去られてアルマちゃんと二度と会えなくなるぞ」
「……」
「とりあえずこの事は黙っておく。お前も周りに悟られないように気をつけろよ」
「ああ。分かった……」
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