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Phase 2 なぜか世界の命運を担うことになった迷宮探索者の憂鬱
第78話 信仰の金額
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ロキとアルマは聖女に会うために神殿に訪れていた。
レオンが捕らえられるというアクシデントがあったため後回しになってしまっていたが、迷宮踏破記念式典で出会った聖女レオーネは、どうみても貧民街で炊き出しをしていた女性ルナだった。
世の中にはそっくりな人間が三人はいるという。もしかしたら一卵性の双子という可能性もある。
ルナの連絡先は知らないため、ロキは聖女と直接会ってそれを確かめたいと思ったからだ。
そしてもし同一人物であるのならば、なぜあの時はルナと名乗って貧民街にいたのかも知りたい。アルマも同じ気持であったため、二人で来ることとなった。
神殿はとても巨大な建造物だった。
近づくほどにその迫力に圧倒される。
王城は馬車に乗せられて入って行ったのであまり全体を観察できなかったが、この神殿は誰でも入ることが許されているようで、国民に神殿の権威を知らしめるのに一役買っていると思われる。
(※王城の中は最大レベルの結界が張られており、魔動車だけでなく一切の魔導具が使えない。そのためロキたちが入城した時は、魔動車から馬車に乗り換えた)
神殿の正面にある石でできた大きな階段を上る。何人もの人たちがばらばらと上ってゆくのに、ロキとアルマはついてゆく。
巨大な柱が並ぶ建物の中を進むと、正面に巨大な十字型のアイコンが掲げられた場所に着いた。
天井にある窓から、その十字のアイコンに光が照らされている。
たくさんの人がアイコンの下にある賽銭箱に銅貨を投げ入れると、その前で手を合わせ祈りを捧げていた。
要するにあの十字型のアイコンが、神を表す偶像のようだ。
神は現世に現れたことがないらしく、その顔がどんな姿なのかも誰も知らないため十字の記号で表しているのだろう。
逆にその神のアイコンの横、一段低い場所には女性の像が立っていて、その像に祈っている人たちもいた。
おそらくこの女性像が女神だ。女神は勇者をこの世界に召喚した時に姿を現したため、姿かたちが知られているのだろう。
女神は神に近い存在とされているが、いろいろその存在について聞いたりこの偶像を見ていて思うのは、全く違う次元の存在ではないかと思わざるを得ない。
神が存在しないというわけではない。
聖女の力は神の力の代行というし、女神が現れて魔法や魔物がこの世界に現れる前から聖女の存在はいたと言う。
その聖女の力の一つ『結界』は、女神の力である魔法や魔物を寄せ付けなくするものだ。
誰も口にしないが、ロキはある一つの考えにたどり着いてしまう。
「もしかして……」
「どうしたら聖女様に会えるんですかねえ?」
アルマの言葉に、ロキははっと目的を思い出す。
ロキたちは神や女神に祈りを捧げにきたのではない。
聖女に取り次いでもらおうと神殿関係者を探すが、辺りを見回しても、神殿関係者と思われる者はいない。
祈りに来ている人たちばかりだ。
祈り終えた者は、今来た道を戻ってゆく。他の道はない。
どうやら入口を間違えたようだ。
近くにいる人に尋ねると、ここは神へ祈祷をする祭壇で、治癒魔法を受ける受け付けが別の場所にあるのだそうだ。
道を教わったロキたちは、一旦神殿の外に出て、教わった治癒魔法の受付へと進む。
そこには、受付へと続く長い列が続いていた。
いったいどれだけ待たされるだろうかと辟易するが、仕方なく二人は最後尾に並ぶ。
ふと、列から外れた場所で泣いている女性を見つけた。
心配したアルマがその女性に近づき、話しかける。
「大丈夫ですか?どうかしました?」
「ミゲルが……ミゲルが……」
見ると女性が抱えている幼児がぐったりとしていた。
顔を真っ赤にしたその子は、頭と腕をだらんとしたままうごかず、まるで死んでいるかのようだった。
「ミゲルを助けて……」
女性の言葉を聞き、アルマはロキへと振り返る。
ロキはその子供の状態が危険だとすぐに察し、受付の近くにいる列を整理していた神官の男へと声をかけた。
「おい!この子が危険だ!先に診てくれ!」
ロキに呼ばれ、いやいや歩いてきたその神官は、母子を見るなり面倒くさそうな顔をして言った。
「あんたまだこんなとこにいたのか?さっさと医者か薬屋に行けって言ったろう」
「何言ってるんだ?早く治療してやれよ!」
「はあ……。この親は金が無いんだとよ」
そう言ってさっさと戻ろうとする神官にロキは驚き、慌てて肩を掴んで引き留めた。
「待てよ!神殿は金が無い人間を見殺しにするのか?」
肩を掴まれた神官は、とても面倒くさそうな顔をして答える。
「しかたないだろう。お布施を払えないなんて、神への信仰心が無いという事なんだから自業自得だ」
「はあ?」
金イコール信仰心という訳のわからない理論を振りかざされ、ロキは呆れる。
そんなロキと神官のやり取りを聞いていて、話にならないと悟ったアルマは、一刻も争うと思い子供の母親に向かって言った。
「私は回復術士です。私に回復魔法をかけさせてください」
その言葉を聞き、母親はアルマに泣きすがる。
「あああ、どうか、どうかお金は後で支払いいたします!どうか息子をお助けください!」
「大丈夫です。お金は心配いりませんよ!≪ヒール≫!」
話にならない神殿を待てないと判断し、アルマは子供にヒールをかけた。
子供はみるみる肌の色が良くなってゆき、そして穏やかな寝息を立て始めた。
母親は子供に頬ずりをし、熱が引いたこと、病が治ったことを理解し、その両目から大粒の涙を流した。
「ああ、ありがとうございます!ありがとうございます!すぐには払えませんが、治療費は必ずお支払いします!」
「お金はいいんですよ。治って良かったですね」
アルマは笑顔でそう答えた。
そんなアルマの行為を目の前で見た神官は、激怒した。
「コラ!勝手なことをするな!どこの野良回復術士だ!神殿の横でそんな事するな!営業妨害だろう!」
「営業って言っちゃったよ……」
神官の身もふたもない言葉に呆れるロキ。
するとアルマのヒールを見ていた列に並ぶ患者たちが、アルマに群がってきた。
「なんだ?ただで治療してくれるのか?」
「俺の怪我もただで治してくれ!」
「私にも!」
「ワシも!」
殺到する人たちに巻き込まれた神官は患者たちを注意する。
「こら!列に戻れ!こんな場所で回復魔法を使うからこんなことになってしまったんだ!」
困った顔をするアルマ。助け舟を出すように、ロキがアルマに治療を求めて群がる患者たちに声を上げた。
「この女からも治療費はもらうに決まってるだろう!俺たちの回復魔法は高いぞ!普通に神殿で治してもらえ!」
「タダじゃないのかよ……」
「なんだよ、期待させやがって」
タダで治してもらえないと分かった患者たちは、再び列に戻って行った。
ロキは膝をつき、座ったままのミゲルの母親に近寄ると、母親は謝罪をする。
「すいません、私のせいで。代金はきっと支払います」
「大丈夫だ。心配するな」
ロキは周りに聞こえないような小さな声で囁く。
「今のは建前だ。代金はいらない。それよりもあんたも子供もずいぶん痩せてるな。ろくに食べてないんだろう?食べなきゃ病気に対する抵抗力も付かない。これでうまいもんでも食べてくれ」
ロキは誰にも見えないようそっと母親に金貨を差し出す。
「そんな、そこまでしてもらうわけには……」
「俺は今、金に余裕がある。あんたも余裕が出てきたら誰かに施せばいい。今は余裕がなさそうだから、自分たちのことを優先にして生きろ。とにかく生きるんだ」
母親はロキの言葉を聞き、ぐっとこらえると、ロキの差し出した金貨を両手でしっかりと握り、ロキに頭を下げた。
母親が金貨を受け取るのを確認すると、ロキは静かにうなずく。
ロキは母親の元を離れると、ばらばらになった列を再びしっかり整列するよう指示しているさっきの神官に再び話しかけた。
「なあ、あんた。俺たちは治療してもらいに来たわけじゃないんだ。聖女に会わせてもらいたいんだけど」
「何を言ってるんだ?聖女様がお前たちのような怪しい人間に会わせられるはずがないだろうが」
「実は俺たちは聖女様と知り合いなんだ。ロキが来たって言ってもらえれば会ってくれるはずだ」
「嘘もいい加減にしろ!もし知り合いだとしても、聖女様はお忙しい。お前たちなんかに会う暇はない!」
「どうしてもダメか?」
「当たり前だろう!これ以上私の邪魔をするな!患者じゃないなら帰れ!」
「ああ、待ってくれ!それじゃお布施だけさせてくれ。神様にお布施をするほど救われるんだろ?」
「お?良い心がけだな、それでは正面の入口から入って、礼拝堂でお布施を収めてくるがいい。十字像の下に賽銭箱がある」
「ああ、あっちも行ったんだが、お布施したい金額がちょっと大きくてな……」
ロキはそう言って、神官に見えるように腰にぶら下げた金貨の入った袋の口を開ける。
礼拝堂でお布施をしているのはほとんどの人が銅貨で、銀貨をお布施する人はまれだった。
そこでロキは金貨をお布施すれば、この神官も多少融通してくれると睨んだのだ。
ロキの目論見通り、神官は目の色を変えてロキの金貨を見ていた。
ごくりと唾を呑み込むと、先ほどまでとは態度を一変させ、笑顔でロキに話しかけた。
「おお!あなたはとても信仰心があるお方のようですね!あなたのような方にはぜひこちらにどうぞ。司祭がご対応させていただきます。聖女様にお会いしたいのでしたね。もしかしたら少しなら時間が取れるかもしれませんので、確認してみますね」
そんなあからさまな神官の態度にロキは思わず苦笑いを浮かべ、アルマは呆れた顔をしていた。
レオンが捕らえられるというアクシデントがあったため後回しになってしまっていたが、迷宮踏破記念式典で出会った聖女レオーネは、どうみても貧民街で炊き出しをしていた女性ルナだった。
世の中にはそっくりな人間が三人はいるという。もしかしたら一卵性の双子という可能性もある。
ルナの連絡先は知らないため、ロキは聖女と直接会ってそれを確かめたいと思ったからだ。
そしてもし同一人物であるのならば、なぜあの時はルナと名乗って貧民街にいたのかも知りたい。アルマも同じ気持であったため、二人で来ることとなった。
神殿はとても巨大な建造物だった。
近づくほどにその迫力に圧倒される。
王城は馬車に乗せられて入って行ったのであまり全体を観察できなかったが、この神殿は誰でも入ることが許されているようで、国民に神殿の権威を知らしめるのに一役買っていると思われる。
(※王城の中は最大レベルの結界が張られており、魔動車だけでなく一切の魔導具が使えない。そのためロキたちが入城した時は、魔動車から馬車に乗り換えた)
神殿の正面にある石でできた大きな階段を上る。何人もの人たちがばらばらと上ってゆくのに、ロキとアルマはついてゆく。
巨大な柱が並ぶ建物の中を進むと、正面に巨大な十字型のアイコンが掲げられた場所に着いた。
天井にある窓から、その十字のアイコンに光が照らされている。
たくさんの人がアイコンの下にある賽銭箱に銅貨を投げ入れると、その前で手を合わせ祈りを捧げていた。
要するにあの十字型のアイコンが、神を表す偶像のようだ。
神は現世に現れたことがないらしく、その顔がどんな姿なのかも誰も知らないため十字の記号で表しているのだろう。
逆にその神のアイコンの横、一段低い場所には女性の像が立っていて、その像に祈っている人たちもいた。
おそらくこの女性像が女神だ。女神は勇者をこの世界に召喚した時に姿を現したため、姿かたちが知られているのだろう。
女神は神に近い存在とされているが、いろいろその存在について聞いたりこの偶像を見ていて思うのは、全く違う次元の存在ではないかと思わざるを得ない。
神が存在しないというわけではない。
聖女の力は神の力の代行というし、女神が現れて魔法や魔物がこの世界に現れる前から聖女の存在はいたと言う。
その聖女の力の一つ『結界』は、女神の力である魔法や魔物を寄せ付けなくするものだ。
誰も口にしないが、ロキはある一つの考えにたどり着いてしまう。
「もしかして……」
「どうしたら聖女様に会えるんですかねえ?」
アルマの言葉に、ロキははっと目的を思い出す。
ロキたちは神や女神に祈りを捧げにきたのではない。
聖女に取り次いでもらおうと神殿関係者を探すが、辺りを見回しても、神殿関係者と思われる者はいない。
祈りに来ている人たちばかりだ。
祈り終えた者は、今来た道を戻ってゆく。他の道はない。
どうやら入口を間違えたようだ。
近くにいる人に尋ねると、ここは神へ祈祷をする祭壇で、治癒魔法を受ける受け付けが別の場所にあるのだそうだ。
道を教わったロキたちは、一旦神殿の外に出て、教わった治癒魔法の受付へと進む。
そこには、受付へと続く長い列が続いていた。
いったいどれだけ待たされるだろうかと辟易するが、仕方なく二人は最後尾に並ぶ。
ふと、列から外れた場所で泣いている女性を見つけた。
心配したアルマがその女性に近づき、話しかける。
「大丈夫ですか?どうかしました?」
「ミゲルが……ミゲルが……」
見ると女性が抱えている幼児がぐったりとしていた。
顔を真っ赤にしたその子は、頭と腕をだらんとしたままうごかず、まるで死んでいるかのようだった。
「ミゲルを助けて……」
女性の言葉を聞き、アルマはロキへと振り返る。
ロキはその子供の状態が危険だとすぐに察し、受付の近くにいる列を整理していた神官の男へと声をかけた。
「おい!この子が危険だ!先に診てくれ!」
ロキに呼ばれ、いやいや歩いてきたその神官は、母子を見るなり面倒くさそうな顔をして言った。
「あんたまだこんなとこにいたのか?さっさと医者か薬屋に行けって言ったろう」
「何言ってるんだ?早く治療してやれよ!」
「はあ……。この親は金が無いんだとよ」
そう言ってさっさと戻ろうとする神官にロキは驚き、慌てて肩を掴んで引き留めた。
「待てよ!神殿は金が無い人間を見殺しにするのか?」
肩を掴まれた神官は、とても面倒くさそうな顔をして答える。
「しかたないだろう。お布施を払えないなんて、神への信仰心が無いという事なんだから自業自得だ」
「はあ?」
金イコール信仰心という訳のわからない理論を振りかざされ、ロキは呆れる。
そんなロキと神官のやり取りを聞いていて、話にならないと悟ったアルマは、一刻も争うと思い子供の母親に向かって言った。
「私は回復術士です。私に回復魔法をかけさせてください」
その言葉を聞き、母親はアルマに泣きすがる。
「あああ、どうか、どうかお金は後で支払いいたします!どうか息子をお助けください!」
「大丈夫です。お金は心配いりませんよ!≪ヒール≫!」
話にならない神殿を待てないと判断し、アルマは子供にヒールをかけた。
子供はみるみる肌の色が良くなってゆき、そして穏やかな寝息を立て始めた。
母親は子供に頬ずりをし、熱が引いたこと、病が治ったことを理解し、その両目から大粒の涙を流した。
「ああ、ありがとうございます!ありがとうございます!すぐには払えませんが、治療費は必ずお支払いします!」
「お金はいいんですよ。治って良かったですね」
アルマは笑顔でそう答えた。
そんなアルマの行為を目の前で見た神官は、激怒した。
「コラ!勝手なことをするな!どこの野良回復術士だ!神殿の横でそんな事するな!営業妨害だろう!」
「営業って言っちゃったよ……」
神官の身もふたもない言葉に呆れるロキ。
するとアルマのヒールを見ていた列に並ぶ患者たちが、アルマに群がってきた。
「なんだ?ただで治療してくれるのか?」
「俺の怪我もただで治してくれ!」
「私にも!」
「ワシも!」
殺到する人たちに巻き込まれた神官は患者たちを注意する。
「こら!列に戻れ!こんな場所で回復魔法を使うからこんなことになってしまったんだ!」
困った顔をするアルマ。助け舟を出すように、ロキがアルマに治療を求めて群がる患者たちに声を上げた。
「この女からも治療費はもらうに決まってるだろう!俺たちの回復魔法は高いぞ!普通に神殿で治してもらえ!」
「タダじゃないのかよ……」
「なんだよ、期待させやがって」
タダで治してもらえないと分かった患者たちは、再び列に戻って行った。
ロキは膝をつき、座ったままのミゲルの母親に近寄ると、母親は謝罪をする。
「すいません、私のせいで。代金はきっと支払います」
「大丈夫だ。心配するな」
ロキは周りに聞こえないような小さな声で囁く。
「今のは建前だ。代金はいらない。それよりもあんたも子供もずいぶん痩せてるな。ろくに食べてないんだろう?食べなきゃ病気に対する抵抗力も付かない。これでうまいもんでも食べてくれ」
ロキは誰にも見えないようそっと母親に金貨を差し出す。
「そんな、そこまでしてもらうわけには……」
「俺は今、金に余裕がある。あんたも余裕が出てきたら誰かに施せばいい。今は余裕がなさそうだから、自分たちのことを優先にして生きろ。とにかく生きるんだ」
母親はロキの言葉を聞き、ぐっとこらえると、ロキの差し出した金貨を両手でしっかりと握り、ロキに頭を下げた。
母親が金貨を受け取るのを確認すると、ロキは静かにうなずく。
ロキは母親の元を離れると、ばらばらになった列を再びしっかり整列するよう指示しているさっきの神官に再び話しかけた。
「なあ、あんた。俺たちは治療してもらいに来たわけじゃないんだ。聖女に会わせてもらいたいんだけど」
「何を言ってるんだ?聖女様がお前たちのような怪しい人間に会わせられるはずがないだろうが」
「実は俺たちは聖女様と知り合いなんだ。ロキが来たって言ってもらえれば会ってくれるはずだ」
「嘘もいい加減にしろ!もし知り合いだとしても、聖女様はお忙しい。お前たちなんかに会う暇はない!」
「どうしてもダメか?」
「当たり前だろう!これ以上私の邪魔をするな!患者じゃないなら帰れ!」
「ああ、待ってくれ!それじゃお布施だけさせてくれ。神様にお布施をするほど救われるんだろ?」
「お?良い心がけだな、それでは正面の入口から入って、礼拝堂でお布施を収めてくるがいい。十字像の下に賽銭箱がある」
「ああ、あっちも行ったんだが、お布施したい金額がちょっと大きくてな……」
ロキはそう言って、神官に見えるように腰にぶら下げた金貨の入った袋の口を開ける。
礼拝堂でお布施をしているのはほとんどの人が銅貨で、銀貨をお布施する人はまれだった。
そこでロキは金貨をお布施すれば、この神官も多少融通してくれると睨んだのだ。
ロキの目論見通り、神官は目の色を変えてロキの金貨を見ていた。
ごくりと唾を呑み込むと、先ほどまでとは態度を一変させ、笑顔でロキに話しかけた。
「おお!あなたはとても信仰心があるお方のようですね!あなたのような方にはぜひこちらにどうぞ。司祭がご対応させていただきます。聖女様にお会いしたいのでしたね。もしかしたら少しなら時間が取れるかもしれませんので、確認してみますね」
そんなあからさまな神官の態度にロキは思わず苦笑いを浮かべ、アルマは呆れた顔をしていた。
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