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【三】
10*
「綾斗さん」
理久の手がオレの右手を取り、指を交差させて握り締めてきた。お互い内側に汗を掻いていて、理久の額からも雨がぽたぽた落ちてくる。
「抜いてあげる。ズボンの前、開けていい?」
そう言いながらオレの部屋着のズボンのリボンを解いていく。緩いスウェットには簡単に手が入る。いつも自分で掴んでいるそれを理久の温かさが包んだ。少しの汗と大きさ、力強さ。感じる手に息が震える。
「リラックスして」
そう言うやいなや、理久は竿を包んだ手を動かし始めた。
「ン……っ」
優しい刺激に脳がゆっくりと端から溶けていく。心臓だけが早鐘を打って息があがる。他人の手はどれくらいの力でどう動くか分からない。自分でやるのとは違う不規則な愛撫。敏感になったオレの肌が拾っていく。
裏筋を程よい力加減でこすられ、カリの部分を執拗に責め立てられる。鈴口を親指の腹で押されると、「まだイくな」と言われているようでぐっと腹に力が入る。
嵐の湿気が理久とオレの息と重なり、雨粒の窓を叩く音はオレたちの行為を秘めやかにする。理久の動きは卑猥さが増して、オレは必死に息をした。――もうダメ。熱に耐えられない。
「り、理久ッ」
「なに、綾斗さん」
いつもなら落ち着いた理久の声がはっはっと息を切らし、オレの本性が暴いていく。握り締めた手に力を入れて起き上がろうとしたが、理久の力がそれを許さない。オレは快感の中で身もだえた。
「やばいっ! もう、もう、オレッ」
すると低めのハスキーボイスがオレの耳朶を打つ。
「イっていいよ」
その一言がオレを解放する。一気に理性が飛んで、次の瞬間にはぜいぜいと息を切らし肩で息をしていた。噴き出した汗で伸びきった髪がばさばさに貼りつく。理久がティッシュの箱からシュッシュッと何枚か抜く。そして丁寧にオレの腹を拭いた。
「気持ちよかった?」
理久の言葉に頭がぼうっとして、顔だけそちらに向ける。外の嵐に巻き込まれたようで、考えが追いつかない。理久がふふと微笑んで頭を撫でてくる。
「今の僕の声、録音しておけばよかったかな? 次から綾斗さんがするときに役に立つ?」
「……ちょっと」
現実世界に繋ぎとめた細い糸をたどって文句を言うと、理久はまたもふふと笑う。そしてこちらの顔を覗き込んでくる。優しい目がほんのり欲を灯す。
「これからは本物の僕がいつだって手伝ってあげる。いつだって、ね」
なんと答えようか考えている間に、理久がするり腰のベルトを外す。カチャカチャ鳴る金属音に全身がばくんと脈を打つ。
理久は簡単にズボンを下ろした。ピアスが揺れ、視界で蝶が動く。下着の上からでも分かる怒張の盛り上がり。オレの喉がごくりと鳴った。
ザアアアア。唸る風と雨音が次を予感させる。
「綾斗さん」
こちらの頭の両脇に手をついた理久が真上から囁く。
「選んでいいよ。これ以上するかしないか」
理久の口端がほんのり下がる。シーツを握る手が小さく震える。
「僕は綾斗さんを好きだけど、綾斗さんはちが」
全てを言わないうちに足を腰に巻き付け絡める。うなじに手を回し、長い髪をそっと耳にかけてやる。
自分が寂しかったように理久も寂しかった。だったらその言葉は言わせない。
「いいから全部よこせ」
理久が額にキスをくれた。
理久の手がオレの右手を取り、指を交差させて握り締めてきた。お互い内側に汗を掻いていて、理久の額からも雨がぽたぽた落ちてくる。
「抜いてあげる。ズボンの前、開けていい?」
そう言いながらオレの部屋着のズボンのリボンを解いていく。緩いスウェットには簡単に手が入る。いつも自分で掴んでいるそれを理久の温かさが包んだ。少しの汗と大きさ、力強さ。感じる手に息が震える。
「リラックスして」
そう言うやいなや、理久は竿を包んだ手を動かし始めた。
「ン……っ」
優しい刺激に脳がゆっくりと端から溶けていく。心臓だけが早鐘を打って息があがる。他人の手はどれくらいの力でどう動くか分からない。自分でやるのとは違う不規則な愛撫。敏感になったオレの肌が拾っていく。
裏筋を程よい力加減でこすられ、カリの部分を執拗に責め立てられる。鈴口を親指の腹で押されると、「まだイくな」と言われているようでぐっと腹に力が入る。
嵐の湿気が理久とオレの息と重なり、雨粒の窓を叩く音はオレたちの行為を秘めやかにする。理久の動きは卑猥さが増して、オレは必死に息をした。――もうダメ。熱に耐えられない。
「り、理久ッ」
「なに、綾斗さん」
いつもなら落ち着いた理久の声がはっはっと息を切らし、オレの本性が暴いていく。握り締めた手に力を入れて起き上がろうとしたが、理久の力がそれを許さない。オレは快感の中で身もだえた。
「やばいっ! もう、もう、オレッ」
すると低めのハスキーボイスがオレの耳朶を打つ。
「イっていいよ」
その一言がオレを解放する。一気に理性が飛んで、次の瞬間にはぜいぜいと息を切らし肩で息をしていた。噴き出した汗で伸びきった髪がばさばさに貼りつく。理久がティッシュの箱からシュッシュッと何枚か抜く。そして丁寧にオレの腹を拭いた。
「気持ちよかった?」
理久の言葉に頭がぼうっとして、顔だけそちらに向ける。外の嵐に巻き込まれたようで、考えが追いつかない。理久がふふと微笑んで頭を撫でてくる。
「今の僕の声、録音しておけばよかったかな? 次から綾斗さんがするときに役に立つ?」
「……ちょっと」
現実世界に繋ぎとめた細い糸をたどって文句を言うと、理久はまたもふふと笑う。そしてこちらの顔を覗き込んでくる。優しい目がほんのり欲を灯す。
「これからは本物の僕がいつだって手伝ってあげる。いつだって、ね」
なんと答えようか考えている間に、理久がするり腰のベルトを外す。カチャカチャ鳴る金属音に全身がばくんと脈を打つ。
理久は簡単にズボンを下ろした。ピアスが揺れ、視界で蝶が動く。下着の上からでも分かる怒張の盛り上がり。オレの喉がごくりと鳴った。
ザアアアア。唸る風と雨音が次を予感させる。
「綾斗さん」
こちらの頭の両脇に手をついた理久が真上から囁く。
「選んでいいよ。これ以上するかしないか」
理久の口端がほんのり下がる。シーツを握る手が小さく震える。
「僕は綾斗さんを好きだけど、綾斗さんはちが」
全てを言わないうちに足を腰に巻き付け絡める。うなじに手を回し、長い髪をそっと耳にかけてやる。
自分が寂しかったように理久も寂しかった。だったらその言葉は言わせない。
「いいから全部よこせ」
理久が額にキスをくれた。
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