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【三】
12
「……綾斗さん、大丈夫?」
理久がオレの横に寝転がった。汗で髪が張りつき、それでも額に汗が浮いている。オレも同じなのかもしれない。
だが、全てが終わると現実世界が戻ってきて鳥肌が立った。自分がしたことが怖くなる。彼氏がいるのに他の男と、しかも大切な弟のように思っていた幼馴染みとセックスしてしまった。
「……だい、じょうぶ……」
それだけ答えて目を伏せ、ブランケットを握って身を縮こめる。
ハル君。電話で綾斗の顔が見られればいいと言ってくれた彼氏。脳裏に浮かぶ太陽のような笑みに手が震える。綾斗に会いたい。その言葉がまだ耳に残っている。
理久が指の腹で優しくオレの頬をこすってきた。そっと目線をあげると、理久が微笑んでいる。
「ハルには言わないよ。安心して。綾斗さんが不利になるようなことを告げ口したりしないよ」
「……なんで。理久にもハル君にもオレは卑怯なことをしてるよ……」
口を開くと半泣きになって声が小さくなる。それでも理久はまだ微笑む。
「綾斗さんは今のままでいいよ。僕は卑怯だなんて思わない」
「どうして……」
「綾斗さんが好きだからだよ。綾斗さんがハルを好きでも、僕はそんな綾斗さんだって好きだよ。写真を撮らなくても、家にいても、夕飯がカップ麺でも、綾斗さんが好き」
「……カップ麺って。確かにそうだけど!」
思わず笑うと、理久もくすっと笑った。そして身を乗り出してきて、優しいキスをくれる。そのとき、鎖骨下の蝶のタトゥーが目に入ってどきっとした。漆黒の蝶が今の出来事を象徴している。
「でも、綾斗さんがちゃんと食べないのは心配だよ」
理久は腕を回してしっかり抱き寄せてきた。オレのつむじに口づけをくれる。
「おいしいもの買ってきたら綾斗さんにあげる。――また、来るよ」
またの言葉に艶っぽさがあって、オレの心臓がどきんと跳ねた。理久が言っている意味が分かる。
「いいでしょ、綾斗さん?」
黒いマニキュアの指が肌に食い込む。目の前の蝶のタトゥーを見て、オレは小さく頷いた。
理久がオレの横に寝転がった。汗で髪が張りつき、それでも額に汗が浮いている。オレも同じなのかもしれない。
だが、全てが終わると現実世界が戻ってきて鳥肌が立った。自分がしたことが怖くなる。彼氏がいるのに他の男と、しかも大切な弟のように思っていた幼馴染みとセックスしてしまった。
「……だい、じょうぶ……」
それだけ答えて目を伏せ、ブランケットを握って身を縮こめる。
ハル君。電話で綾斗の顔が見られればいいと言ってくれた彼氏。脳裏に浮かぶ太陽のような笑みに手が震える。綾斗に会いたい。その言葉がまだ耳に残っている。
理久が指の腹で優しくオレの頬をこすってきた。そっと目線をあげると、理久が微笑んでいる。
「ハルには言わないよ。安心して。綾斗さんが不利になるようなことを告げ口したりしないよ」
「……なんで。理久にもハル君にもオレは卑怯なことをしてるよ……」
口を開くと半泣きになって声が小さくなる。それでも理久はまだ微笑む。
「綾斗さんは今のままでいいよ。僕は卑怯だなんて思わない」
「どうして……」
「綾斗さんが好きだからだよ。綾斗さんがハルを好きでも、僕はそんな綾斗さんだって好きだよ。写真を撮らなくても、家にいても、夕飯がカップ麺でも、綾斗さんが好き」
「……カップ麺って。確かにそうだけど!」
思わず笑うと、理久もくすっと笑った。そして身を乗り出してきて、優しいキスをくれる。そのとき、鎖骨下の蝶のタトゥーが目に入ってどきっとした。漆黒の蝶が今の出来事を象徴している。
「でも、綾斗さんがちゃんと食べないのは心配だよ」
理久は腕を回してしっかり抱き寄せてきた。オレのつむじに口づけをくれる。
「おいしいもの買ってきたら綾斗さんにあげる。――また、来るよ」
またの言葉に艶っぽさがあって、オレの心臓がどきんと跳ねた。理久が言っている意味が分かる。
「いいでしょ、綾斗さん?」
黒いマニキュアの指が肌に食い込む。目の前の蝶のタトゥーを見て、オレは小さく頷いた。
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