28 / 39
【四】
1*
それから理久とは何度も肌を重ねた。オレが疲れてないとなれば、理久は連日で家に来てベッドに押し倒してくる。そのたびに、オレの心は緩み、夕立を受け止める。
ベッドに横になれば黒い蝶のタトゥーとピアスが視界で踊る。四つん這いは恥ずかしかったが一番受け入れやすかった。キスで温度を交わし、心をとろかす。
理久を受け入れた後孔はその形を覚え、内壁をごりごりとこすられると違和感は甘美な快感に変化した。ぶつかる腰の勢いにオレが声を漏らすと、理久は「綾斗さん、好き」と言う。平凡な自分に甘い言葉を囁いてくれる人がいるなんて、夢のようで胸が震える。
ハル君。最中にたまに太陽の笑顔を思い出す。だが、すぐさま理久の熱に浮かされ、どこかへ消えてしまう。
自分も優しくしたくて、ベッドに腰かける理久の前に膝をついて口淫もした。理久のものが大きくて何度もえずく。だが、無理しなくていいよと言われるとやりたくなる。終わると「よくできたね」と理久が頭を撫でてくれ、そのあとはいつも以上にゆっくり長く愛撫してくれた。
一度、マニキュアを塗り直したいという理久の手に、オレがマニキュアを塗った。その黒い指が後孔にローションを塗り込む頃になると、快感に喘いでそれに身を委ねるだけ。
頭を抱きしめられて顔をくっつけ合うと、理久の耳のピアスがオレの耳に触れた。どんなに体が熱くてもピアスだけはいつもひんやりとしている。すると、ふと我に返って、彼氏のハル君ではなく理久としている今を思い出す。
黒い蝶がオレの夏を絡めとる。それでも、ハル君の写真を見て罪悪感に涙することがあったし、理久への気持ちが恋愛感情なのかよく分からない。
ハル君は日陰から太陽の下に引っ張り出してくれるような、そんな力強さと明るさを持っている。理久は優しくて、細い夕立のようにほしいものをひたすらくれる。
彼氏のハル君の存在は大きくて、セックス中の理久の温かさは固まってしまったオレの心をゆっくり溶かす。
早く決断しなきゃいけない。中途半端な関係は二人に対して不誠実だ。でも、セックスが始まると不都合なことは忘れてしまう。
三日連続でやった夜、二回目が始まったときは意識が朦朧としていた。頭が働かなくなると、途端に理久の優しさと罪悪感は混じってどこかへ流されていく。
「綾斗さん……ハルじゃなくて僕を見てよ」
最中、そんな声が部屋に響いた。だが、すぐさまがつがつとやられると、熱と一緒に理性が花火のように散る。理久の言葉さえ遠のいていく。
「……理久」
セックスが終わると現実がオレを襲ってくる。恐る恐る名前を呼ぶ。すると理久は微笑んで頭を撫でてくる。
「誰にも絶対に言わないから安心して。僕は今のままでいいよ。綾斗さんの心をちょっとでも支えられたらそれでいいよ」
優しすぎる言葉は蔦のようにじわじわと首を絞め、罪悪感が膨れ上がる。ハル君への裏切りにますます息がしづらくなる。その蔦が取っ払われる日は突然やってきた。
ベッドに横になれば黒い蝶のタトゥーとピアスが視界で踊る。四つん這いは恥ずかしかったが一番受け入れやすかった。キスで温度を交わし、心をとろかす。
理久を受け入れた後孔はその形を覚え、内壁をごりごりとこすられると違和感は甘美な快感に変化した。ぶつかる腰の勢いにオレが声を漏らすと、理久は「綾斗さん、好き」と言う。平凡な自分に甘い言葉を囁いてくれる人がいるなんて、夢のようで胸が震える。
ハル君。最中にたまに太陽の笑顔を思い出す。だが、すぐさま理久の熱に浮かされ、どこかへ消えてしまう。
自分も優しくしたくて、ベッドに腰かける理久の前に膝をついて口淫もした。理久のものが大きくて何度もえずく。だが、無理しなくていいよと言われるとやりたくなる。終わると「よくできたね」と理久が頭を撫でてくれ、そのあとはいつも以上にゆっくり長く愛撫してくれた。
一度、マニキュアを塗り直したいという理久の手に、オレがマニキュアを塗った。その黒い指が後孔にローションを塗り込む頃になると、快感に喘いでそれに身を委ねるだけ。
頭を抱きしめられて顔をくっつけ合うと、理久の耳のピアスがオレの耳に触れた。どんなに体が熱くてもピアスだけはいつもひんやりとしている。すると、ふと我に返って、彼氏のハル君ではなく理久としている今を思い出す。
黒い蝶がオレの夏を絡めとる。それでも、ハル君の写真を見て罪悪感に涙することがあったし、理久への気持ちが恋愛感情なのかよく分からない。
ハル君は日陰から太陽の下に引っ張り出してくれるような、そんな力強さと明るさを持っている。理久は優しくて、細い夕立のようにほしいものをひたすらくれる。
彼氏のハル君の存在は大きくて、セックス中の理久の温かさは固まってしまったオレの心をゆっくり溶かす。
早く決断しなきゃいけない。中途半端な関係は二人に対して不誠実だ。でも、セックスが始まると不都合なことは忘れてしまう。
三日連続でやった夜、二回目が始まったときは意識が朦朧としていた。頭が働かなくなると、途端に理久の優しさと罪悪感は混じってどこかへ流されていく。
「綾斗さん……ハルじゃなくて僕を見てよ」
最中、そんな声が部屋に響いた。だが、すぐさまがつがつとやられると、熱と一緒に理性が花火のように散る。理久の言葉さえ遠のいていく。
「……理久」
セックスが終わると現実がオレを襲ってくる。恐る恐る名前を呼ぶ。すると理久は微笑んで頭を撫でてくる。
「誰にも絶対に言わないから安心して。僕は今のままでいいよ。綾斗さんの心をちょっとでも支えられたらそれでいいよ」
優しすぎる言葉は蔦のようにじわじわと首を絞め、罪悪感が膨れ上がる。ハル君への裏切りにますます息がしづらくなる。その蔦が取っ払われる日は突然やってきた。
あなたにおすすめの小説
平凡高校生の俺にイケメンアイドルが365回告白してくる理由
スノウマン(ユッキー)
BL
高校三年生の橘颯真はイケメンアイドル星宮光に毎日欠かさず告白されている。男同士とのこともあり、毎回断る颯真だが、一年という時間が彼らの関係を少しずつ変えていく。
どうして星宮は颯真に毎日告白するのか、そして彼らの恋の行方は?
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。