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【四】
3*
部屋の照明を二段階下げる。今日はあぐらをかく理久の上に座り、キスをしながら繋がった。理久の力強い腕がオレの尻を掴んで上下に揺らす。じゅぼじゅぼとローションの音がオレの耳に卑猥な響きを残す。体を刺す熱が嫌なことを忘れさせる。
扇風機の羽がキシキシと軋む。理久を抱きしめるオレも理久の体も汗が噴き出して、相手の汗がひんやりと心地良い。瞼を閉じて、カーテンの隙間から差し込む太陽の光から目を逸らす。
「綾斗さん、綾斗さん、綾斗さん……」
理久の言葉に合わせ、汗を流しながらリズミカルに体重を上下させる。
肩に回した腕を髪へ手を伸ばし、理久の髪ゴムを引き抜いた。ばさっと髪を下ろしたありのままの理久が、頬を紅潮させて一心不乱にオレを突き刺す。跳ねるピアスが暗い照明の中で黒く光る。理久の雄が自分を突くたび「あっ、あっ」と声が漏れて、暑さにくらくらして上を向いた。
「アッ、りく……ッ! 気持ちいいっ!」
「いいよ、そのまま気持ちよくなって……」
汗を飛ばしながら頭を空っぽにする。
なんだか今日は妙に気分がいい。理久の汗に濡れた冷たいうなじに指先を這わせ、シャンプーのにおいを吸い込む。
一度達してから理久にも付き合うと、理久は垂れた髪を掻き上げた。汗でぺたりと首筋に髪が貼りついている。汗で濡れた十字架のピアスが艶を帯び、扇風機の風にカーテンが翻る。そのまま理久が甘えた表情でこちらを見つめてくる。
「綾斗さん、まだ元気ある? もう一回したい」
「どうかした?」
「うん……事務所からちょっと注意されちゃってね。たいしたことじゃないんだけど」
理久がゆっくりキスしてくる。
「仕事疲れ。ちょっと癒してほしいな」
「オレでいいなら」
「綾斗さんがいい」
恋人同士と変わらない会話。理久の顔を見つめ、躊躇ってからそっとキスする。自分から灯すろうそくの温度。心臓の音を呑み込んでくちびるを引き結ぶと、理久が驚きに目を丸くさせた。一転やわらかく目尻を下げる。
「初めて綾斗さんからキスしてくれた」
「う、うるさい」
ぺちっ。照れ隠しで額をはたく。ははっと理久が笑顔を咲かせる。だが、その頬が赤い。
嬉しい。オレなんかのキスで喜んでくれる。
手を繋ぎ合い、キスを貪る。舌を絡め合うと体からまた汗が噴き出して、熱を孕む息に没頭した。二回目は体に負担がかかるかも。そんな理久の気遣いで、一番受け入れやすい四つん這いになる。理久の前で後ろ向きになり、膝と肘をベッドにつく。すぐに理久がローションを足して後ろから貫いてくる。
「うぁっ」
喉から声が出て体が仰け反り、後蕾の甘美な痛みが脳天まで届く。理久がオレの寂しさを満たす。オレの心に絡めとり、背中に突き刺さる熱い視線にもっと抱きしめられたい。
「やったばっかりなのにきっつ……ああ、綾斗さんッ」
理久の両手がこちらの腰を掴み、ガンガンと容赦なく突いてくる。汗が浮きだし、喉がカラカラだ。ベッドがぎしぎしと軋む。理久が無我夢中になっているのを目を瞑って味わう。
理久との行為はいろんなことを遠のかせる。この部屋の息苦しさも、伸びっぱなしの髪も、汗に混じって消えていく。
汗が額からしたたり落ちる。二連続だから喉がカラカラだ。あまり声が出ない。ガガガ、ガチッ。不穏な音を立てて扇風機が羽を止める。
遠くからガチャバタンという音が聞こえた。
「綾斗ー」
陽炎の向こうから名前を呼ばれる。その声が、階段の軋む音が近づいてくる。
「玄関開いてたぞ。不用心だな。ったく、一時間前にメッセージ送ったのに、返信くらいしろ、よ……」
扇風機の羽がキシキシと軋む。理久を抱きしめるオレも理久の体も汗が噴き出して、相手の汗がひんやりと心地良い。瞼を閉じて、カーテンの隙間から差し込む太陽の光から目を逸らす。
「綾斗さん、綾斗さん、綾斗さん……」
理久の言葉に合わせ、汗を流しながらリズミカルに体重を上下させる。
肩に回した腕を髪へ手を伸ばし、理久の髪ゴムを引き抜いた。ばさっと髪を下ろしたありのままの理久が、頬を紅潮させて一心不乱にオレを突き刺す。跳ねるピアスが暗い照明の中で黒く光る。理久の雄が自分を突くたび「あっ、あっ」と声が漏れて、暑さにくらくらして上を向いた。
「アッ、りく……ッ! 気持ちいいっ!」
「いいよ、そのまま気持ちよくなって……」
汗を飛ばしながら頭を空っぽにする。
なんだか今日は妙に気分がいい。理久の汗に濡れた冷たいうなじに指先を這わせ、シャンプーのにおいを吸い込む。
一度達してから理久にも付き合うと、理久は垂れた髪を掻き上げた。汗でぺたりと首筋に髪が貼りついている。汗で濡れた十字架のピアスが艶を帯び、扇風機の風にカーテンが翻る。そのまま理久が甘えた表情でこちらを見つめてくる。
「綾斗さん、まだ元気ある? もう一回したい」
「どうかした?」
「うん……事務所からちょっと注意されちゃってね。たいしたことじゃないんだけど」
理久がゆっくりキスしてくる。
「仕事疲れ。ちょっと癒してほしいな」
「オレでいいなら」
「綾斗さんがいい」
恋人同士と変わらない会話。理久の顔を見つめ、躊躇ってからそっとキスする。自分から灯すろうそくの温度。心臓の音を呑み込んでくちびるを引き結ぶと、理久が驚きに目を丸くさせた。一転やわらかく目尻を下げる。
「初めて綾斗さんからキスしてくれた」
「う、うるさい」
ぺちっ。照れ隠しで額をはたく。ははっと理久が笑顔を咲かせる。だが、その頬が赤い。
嬉しい。オレなんかのキスで喜んでくれる。
手を繋ぎ合い、キスを貪る。舌を絡め合うと体からまた汗が噴き出して、熱を孕む息に没頭した。二回目は体に負担がかかるかも。そんな理久の気遣いで、一番受け入れやすい四つん這いになる。理久の前で後ろ向きになり、膝と肘をベッドにつく。すぐに理久がローションを足して後ろから貫いてくる。
「うぁっ」
喉から声が出て体が仰け反り、後蕾の甘美な痛みが脳天まで届く。理久がオレの寂しさを満たす。オレの心に絡めとり、背中に突き刺さる熱い視線にもっと抱きしめられたい。
「やったばっかりなのにきっつ……ああ、綾斗さんッ」
理久の両手がこちらの腰を掴み、ガンガンと容赦なく突いてくる。汗が浮きだし、喉がカラカラだ。ベッドがぎしぎしと軋む。理久が無我夢中になっているのを目を瞑って味わう。
理久との行為はいろんなことを遠のかせる。この部屋の息苦しさも、伸びっぱなしの髪も、汗に混じって消えていく。
汗が額からしたたり落ちる。二連続だから喉がカラカラだ。あまり声が出ない。ガガガ、ガチッ。不穏な音を立てて扇風機が羽を止める。
遠くからガチャバタンという音が聞こえた。
「綾斗ー」
陽炎の向こうから名前を呼ばれる。その声が、階段の軋む音が近づいてくる。
「玄関開いてたぞ。不用心だな。ったく、一時間前にメッセージ送ったのに、返信くらいしろ、よ……」
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