勇者のステータス底上げの為の聖女として召喚されたけど内容が『性女』だったし、勇者がクソなんだが?

にあ

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回想~聖女ノア sideカイン

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「あ~ん、もう~。3人もいる勇者が単なる中ボスに返り討ちに遭うなんて~!なんで今回の魔王はあんなにしぶといんでしょう~!早くぎったんぎったんにしてやりたいですわ~」

女神セレスティアが、女神らしからぬ言動で足を踏み鳴らしている。
それを朧げに捉えたものの、全身の酷い痛みで今にも全ての意識を手離してしまいそうだった。

「うう~、このままでは魔王を駆除出来ません~。どうしましょう・・・ああ、そうです~!・・・を召喚して・・・」

女神の独り言がいよいよ聞こえなくなって来た時、ふいに体の痛みが全て消えた。
痛みどころか疲労まで綺麗さっぱりなくなっていて、驚いて思わず起き上がると、エルフィードやレグラスも驚いた顔で座り込んでいた。

「うふふ、回復を忘れていました~、ごめんなさいね。これで全快ですよ~。ああそうそう。それと」

呆然としている俺達に向かって女神は嫣然と微笑む。

「今のままでは弱すぎて話にならないと分かりましたので~。近々、あなた達のステータスの限界を壊して、更なる高みへ上げて差し上げますからね~。また連絡しますから楽しみにしていて下さい~。それでは~」

そう言うと、気配一つ残さずその場から掻き消えた。

「は~、おいおい一体なんだってんだよ。ったく、こんな事出来るんなら、もっと早く助けてくれよって話だよなあ。俺ぁ、自分が痛い目に遭うのは趣味じゃねえんだよ」

レグラスがぼやきながら立ち上がり、粗末な部屋の窓から外を見て「ちょっと調べて来るぜ」と出て行った。

「私の魔法も剣も、全く歯が立たなかった。私は・・・」

どこか悄然として呟くエルフィードに、俺も口を開く。

「しょうがねぇだろ。女神も今回の魔王は手強いっつってたし、さっきステータスの限界を壊してどうのこうの、って話もしてたじゃねぇか。ステータスをどうにか出来るんなら次、巻き返してやればいい」
「・・・そう、だな・・・」

それでもまだ力なく座ったままのエルフィードを見て溜め息を付いていたら、ギッとうるさい音を立てて扉が開き、レグラスが戻って来た。

「おい、どうもここはセレスティニア神国の西にある、竜双樹の森っぽいぜ。女神サマもどうせならアルベスタん中に送ってくれりゃ、すぐ麦酒が飲めたのによ」
「竜双樹の森・・・なら、身体強化すれば半日も掛からずアルベスタに着くでしょう。次の方針が定まらないなら、すぐに戻らねばなりません。私は行きますが、二人はどうしますか?」

ようやくいつもの調子に戻ったらしいエルフィードに、レグラスが嬉々として答える。

「俺は王子サマと一緒にアルベスタに行くぜ。俺の商会の支店もあるしな。視察ついでに旨い酒と飯、それに女!酷い目に遭ったんだからご褒美は必要だよなあ。どうだ?カインも一緒に行かねえか?同じ勇者のよしみだ、奢ってやるぜ」

片目を瞑ってみせるレグラスに、俺は首を振る。

「いや、いい。俺は自分の家に戻る。女神がまた接触して来るまで、出来る事をやっておきたいからな」
「ふーん、そうか?たまには息抜きも必要だと思うけどねえ。まあいいや。じゃあなカイン。行こうぜ王子サマ」

馴れ馴れしく肩を組まれても、エルフィードはちょっと困ったように笑っただけで、俺に「それではまた」と言うと二人で部屋を出て行った。


☆☆☆☆☆



それからひと月くらい後だった。今度は姿を現す事もなく、頭の中に直接女神が話しかけて来たのは。

「・・・本当か、それ?」

思わずそう声に出してしまう程、とんでもない内容で驚いた。

これまで関わって来て、セレスティアの女神らしからぬ言動には正直、不信感がある。
だが、たまに見せる力の片鱗から、こんなでも相手は間違いなく、人を超越した存在なんだと思い知らされているのも事実だ。

「はい~、勿論です~。普通の人間じゃありませんから、多少強引に事に及ぼうと何ら問題なしですよ~。それでもちゃーんと快感を感じるようにしてますから、大丈夫ですぅ。喜んで相手してくれますよ~。貴方だって気持ちいい事は好きですよねぇ?お互い利益しかありませんから、いっぱい励んで、早く強くなって下さい~」

それが全て本当だと鵜呑みにしていた訳じゃない。
が、高を括っていた所は、あった。

これまで、どんな女からも嫌がられた事など無かったし、むしろいつだって向こうから誘われて、俺はそれに応えるだけで良かった。

だから、

「あんたって、ほんと、最悪!私の気持ちも無視して無理やりヤろうとするとか、最低だし!あんたみたいなクソ男となんて、絶対やらないから!」

怒り心頭のノアにトータルプロテクションで吹っ飛ばされて、罵倒されて、初めて本気の拒否を喰らって、戸惑った。

何が喜んで相手してくれます、だ。やっぱりあの女神の言う事なんて、信用できねぇ。

そう思うのと同時に、まるで自分を丸ごと拒否されたような嫌な気持ち、このままじゃ願いが叶わない、と焦る気持ち、全てが入り混じって俺はノアに冷たく当たってしまった。

異界から召喚されたというノアは、特別変わった異界風な見た目という訳ではなく、青い髪も蜂蜜色の瞳も、少し大きな町へ行けば普通に見かける。

だがその容姿は、まるで女神に創られたように綺麗に整っていて、黙って佇んでいれば女神の使徒というのも頷けた。
その後、その身体が本当に女神に創られたものだと聞いて、驚いたがな。

そんなノアだったが、綺麗な外見と裏腹に中身はとてもお淑やかとは言えず、すぐ怒るわ、喚くわ、文句ばかり垂れるわ、で俺は正直辟易していた。

黙って大人しくしていれば、極上の女だ。いくらでも抱いてやれるのに、やっと腹を括って同衾したと思えば、そこでもまたああしろこうしろ、これは嫌だとごちゃごちゃ言い出す。

うんざりしながら仕方なく言う通りにしてやったが・・・
その後のノアとの行為が、あんなに良いとは予想外だった。

中がうねってまるで愛撫されているようだったのも驚いたが、それ以上にノアの見せる反応に、自分でも驚くほど昂った。
ノアの言う通りにしてやればやるほど、触れる所、触れられる所全てが良くて、ノアの気持ちいい、と喘ぐ顔と声が妙に胸に響いて、1日1回だと自分で言った癖に、それ以上したくて堪らなくなった。

口五月蠅くちうるさいし、生意気だし、今まで俺の周りにはいなかった面倒臭い女だし、こんな事でもなければ関わる事はなかったと思う。
なのに肌を合わせる時だけは嘘みたいに可愛い声を上げて乱れるのが、意外で・・・

最初は体の相性が良すぎて、引き摺られているだけだと思った。
だけど、それだけじゃないと気付いたのは、いつだったのだろう。
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