57 / 154
第三章 動乱と日常【魔族内乱編】
第04話 謀反の陰に潜む四つ子の魔人
しおりを挟む
魔族反乱勢力の首魁たちが、魔王城から数キロメートル離れた丘の上から、魔獣たちが攻城している様子を眺めていた。
すると、魔王城の城壁部分で大規模な爆裂魔法がさく裂し、その一帯にもうもうと煙が立ち込めた。
「やっと、反撃してきたか……」
そう呟いたのは、優男風のミディアムショートのカジュアルな青色癖毛に、翡翠色の瞳をしたガブリエル・ハデス。
ガブリエルは、アドヴァンスド四家に数えられる名家、ハデス家の当主で、この反乱の首謀者でもあった。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
そう怪訝そうな視線と共に言い浴びせるのは、イシドロ・サボール。
ガブリエルの誘いに乗り反乱勢力に加わったアドヴァンスド四家のサボール家当主で、大のヒューマン嫌いである。
その見た目は、ガブリエルとは対照的な野性味あふれる白銀の長髪を乱暴に後ろで結んでいる。
瞳は飛び出そうなほど大きなギョロっとした金色で、身体は三メートルもあり大柄であった。
正直言ってガブリエルは、イシドロのことが苦手であったが仕方ない。
他のアドヴァンスドを味方につけたいのが本音だが、パオレッティ家のオフェリアは、魔王の密命を受けて魔族領を不在にしており、ここ数十年姿を見ていない。
もう一人のアドヴァンスド魔人のロウェーナ――クロズリー家当主――は、魔王ドランマルヌスの孫娘だ。
そんな彼女にこの話をできる訳が無かった。
そう考えた結果、消去法でイシドロを取り込むことにした。
つまり、本当に仕方なくだった。
それを未だわかっていないイシドロの口ぶりに、釘を刺す。
「よくそんな口を私に向かってきけるな」
「うっ……悪い、いえ、悪かったです」
ガブリエルがそう強気に言うと、イシドロは手の平を反したように弱腰になった。
アドヴァンスド四家は、極めて力が強いことからアドヴァンスドと言われており、その当主たちの力は拮抗していた。
それは、力が全てである魔族界で、その四家の当主であるガブリエルとイシドロの間には、上下関係は存在しないはず、だった。
しかし、今はその関係性が変わっていた。
数ヶ月前――
突如、イシドロの居城へ単身ガブリエルが攻め込んだのだった。
お互いが顔を合わせるのは、年四回行われる魔族会議のときくらいしかなく、言い換えれば疎遠だった。
まさか、攻められるとは思っていなかったイシドロに油断があったかもしれないが、いとも簡単にガブリエルの前に膝を着くこととなった。
剣を交えることもなく、ガブリエルの強大な魔力の前に屈したのだ。
襲撃の理由を領地が目的かと思ったイシドロであったが、話を聞かされてその内容に驚きつつも可能かもしれないと、イシドロはその話に乗ることにした。
「打倒魔王、そして大陸に魔族の覇を唱える」
イシドロは、平和な毎日に飽き飽きしており、何度も魔王にヒューマンの国を攻めることを進言していた。
当然、その進言は魔王にことごとく却下され、悶々とした日々を何百年も過ごしていた。
魔王の全力を未だ見たことは無いが、ガブリエルから漲る魔力を肌で感じ、魔王のそれに負けずとも劣らないと思えば、イシドロに断る理由は無かった。
魔族の世界では負けイコール死が通例だが、今回は目的が目的なだけにそうはならなかった。
ただし、ガブリエルの意一つで、イシドロの命が刈り取られる状況に変わりは無い。
ガブリエルは、イシドロほどヒューマンを嫌っている訳では無い。
それでも、使役獣である魔獣よりも弱い下等生物が、我が物顔で存在しているのが許せないタイプの男で、現魔王のスタンスが許せないのである。
そしてイシドロを配下に加えた日、ガブリエルを次期魔王とする反ドランマルヌス勢力ができあがった。
その計画は、非常に簡単だった。
大量の魔獣をひたすら魔王城へ攻め込ませ、魔王ドランマルヌスの魔力が減るのを待つ。
それは、魔族の世界であまり褒められたやり方ではなかったが、意外にもそれは支持を得た。
そもそも、魔王から魔獣の指揮を奪い取ること自体があり得ないことで、それが魔王であるドランマルヌスより力がある証明になった。
次第に、ガブリエルに従う魔族が増え、約八割の魔族を配下に収めると、行動を開始した。
それから魔王城を魔獣で攻め続けること三日が経ち、ドランマルヌスが反撃してきたことを、ついに焦り始めたと勘違いした。
それが故、ハデスは、
『やっと、反撃してきたか……』
と、先程呟いたのであった。
しかし、それはドランマルヌスがロウェーナのことをうるさく思い、ほんの気紛れであったことなど誰も知る由はなかった。
「お父様、そろそろ出ようかと思います」
青みを帯びた黒髪のポニーテールを揺らしながら進言してきた少女が、赤みを帯びた金色の瞳でハデスを見上げた。
「ん、フィネンシア、もうなのか?」
ハデスの問いに、「はい」とだけ、フィネンシアは短く答えた。
「そ、そうか、早い気もするが良いだろう。行くがよい」
「ありがとうございます。リディア、ミュラー、マニー。出るわよ」
「「「はい、お姉様!」」」
フィネンシアは、ハデスの娘で四つ子の長女であった。
次女のリディア、三女のミュラー、そして四女のマニーは、姉のフィネンシアが主人であるが如く付き従ってその場をあとにした。
その光景を見ながら、イシドロは未だ理解できないでいた。
あの強大な魔力を持ちながらもハデスは、フィネンシアには頭が上がらない様子を見せるからだった。
ハデスはそれを必死に隠そうとしていたが、対応が微妙に不自然でイシドロはそれに気付いていた。
イシドロは、武闘派で脳筋の見た目だが、そこはやはりアドヴァンスドの一角を担うサボール家の当主である。
些細な機微の変化に敏感だった。
彼女たちはたったの五歳で、ヒューマンだけではなく、魔人の特異性を考慮しても、その成長速度は異様だった。
見た目だけでも既に十代半ばの少女と言っても過言ではなかった。
一人ずつが相手であれば問題無いが、四人同時が相手では、負けはしないが勝てもしないかもしれないと、イシドロが感じるほどアドヴァンスドの中でも有数の魔力を彼女たちは有していた。
「あの子たちが出て行ったのだ。イシドロよ、もうすぐだ。最後は私があの娘の首を取ってみせよう」
「はい、待ち遠しいですな」
ハデスは、既に魔王の名を呼ばない。
その表情は、もうすぐ自分の時代になることを少しも疑っておらず、その先のことを考え悦に浸っている様子だった。
力でイシドロを捩じ伏せ、力で他の魔族たちを従えたが、その力は所詮借り物にすぎないのにも拘らず……
――――――
戦果確認に出て行ったロウェーナが、寝室の扉をぶち壊すような勢いで飛び込む。
「魔王様っ、大変です!」
「どうした騒がしい。何が……あっ、た……」
ドランマルヌスが注意しようとベッドから身を起こし、ボロボロになった姿のロウェーナを目にして言葉を詰まらせた。
「なんか可愛いちびっ子たちがいたんですよ!」
「ん、それにやられたと言うのかい?」
ロウェーナの大変という言葉とボロボロの服装から判断すれば、攻撃を受けたことを報告しに来たと思ったドランマルヌスだが、ロウェーナの顔は紅潮し歓喜の表情をしていた。
「もー、違いますよ、魔王様。確かに見とれていてマジックシールドの展開が遅れましたが、そうじゃないんです! すっごく可愛かったんですよー。あんなに小さくて可愛い子からあの強大な魔力、ゾクゾクしちゃいましたっ」
「あっそ……」
興奮して言ってくるロウェーナに呆れて、ドランマルヌスは何も言えなかった。
「うーん、ちびっ子で強大な魔力といったら、ハデス家の子供らかな? ねえ、そのちびっ子は四人だったかい?」
ドランマルヌスは、異様な力を持った子供がハデス家に生まれたことを風の噂で聞いていた。
「あっ、はい。ご存じなんですか?」
「いや、直接会ったことはないよ」
あの大人しいガブリエルが宣戦布告してきたときは、ついにボケたのかと思ったが、子供の力を知り調子に乗った方だったのか、とドランマルヌスは、その安直な考えに呆れた。
「どれどれ……」
ドランマルヌスは、マジックビジョンを展開させ、外の様子を覗き見る。
「ああ、この子たちですよ、魔王様」
「わかった、わかった。少し静かにしてくれないかなー」
頬に頬を付けて一緒に覗き込んできたロウェーナを鬱陶しそうに脇に押しやり、ちびっ子四人を観察しはじめる。
「へー、面白いじゃないか」
「何かわかったんですか?」
「まあね。ちょっと、パオレッティ家の娘っ子の所に行ってさ、勇者パーティーを連れてきてよ」
「え!」
ドランマルヌスの言葉にロウェーナは、驚きの声をあげた。
「いいから、いいから。死の砂漠谷以外の安全な裏ルートを教えていいと伝えるんだ。ほらっ、行った行った」
「もう、わかりましたよ。私には到底わかり得ないお考えが魔王様にはあるのでしょうねっ」
シッシッと追い出そうとするドランマルヌスに対し、ロウェーナは少しふくれっ面をして寝室を出て行った。
一方、ドランマルヌスは、寝室のバルコニーへと移動する。
辺りが夜の帳に包まれた時間帯。
満月の青白い光に照らされたドランマルヌスは、これから起こる事態など到底考えもせず、
「さて、ボクが直々に相手をしてあげようじゃないか」
と、新しいおもちゃを目の前にした子供のような表情を浮かべながら飛んで行くのだった。
それから程なくして、魔王城は消滅した。
そこに住む魔族たちとその建物だけを残して――
すると、魔王城の城壁部分で大規模な爆裂魔法がさく裂し、その一帯にもうもうと煙が立ち込めた。
「やっと、反撃してきたか……」
そう呟いたのは、優男風のミディアムショートのカジュアルな青色癖毛に、翡翠色の瞳をしたガブリエル・ハデス。
ガブリエルは、アドヴァンスド四家に数えられる名家、ハデス家の当主で、この反乱の首謀者でもあった。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
そう怪訝そうな視線と共に言い浴びせるのは、イシドロ・サボール。
ガブリエルの誘いに乗り反乱勢力に加わったアドヴァンスド四家のサボール家当主で、大のヒューマン嫌いである。
その見た目は、ガブリエルとは対照的な野性味あふれる白銀の長髪を乱暴に後ろで結んでいる。
瞳は飛び出そうなほど大きなギョロっとした金色で、身体は三メートルもあり大柄であった。
正直言ってガブリエルは、イシドロのことが苦手であったが仕方ない。
他のアドヴァンスドを味方につけたいのが本音だが、パオレッティ家のオフェリアは、魔王の密命を受けて魔族領を不在にしており、ここ数十年姿を見ていない。
もう一人のアドヴァンスド魔人のロウェーナ――クロズリー家当主――は、魔王ドランマルヌスの孫娘だ。
そんな彼女にこの話をできる訳が無かった。
そう考えた結果、消去法でイシドロを取り込むことにした。
つまり、本当に仕方なくだった。
それを未だわかっていないイシドロの口ぶりに、釘を刺す。
「よくそんな口を私に向かってきけるな」
「うっ……悪い、いえ、悪かったです」
ガブリエルがそう強気に言うと、イシドロは手の平を反したように弱腰になった。
アドヴァンスド四家は、極めて力が強いことからアドヴァンスドと言われており、その当主たちの力は拮抗していた。
それは、力が全てである魔族界で、その四家の当主であるガブリエルとイシドロの間には、上下関係は存在しないはず、だった。
しかし、今はその関係性が変わっていた。
数ヶ月前――
突如、イシドロの居城へ単身ガブリエルが攻め込んだのだった。
お互いが顔を合わせるのは、年四回行われる魔族会議のときくらいしかなく、言い換えれば疎遠だった。
まさか、攻められるとは思っていなかったイシドロに油断があったかもしれないが、いとも簡単にガブリエルの前に膝を着くこととなった。
剣を交えることもなく、ガブリエルの強大な魔力の前に屈したのだ。
襲撃の理由を領地が目的かと思ったイシドロであったが、話を聞かされてその内容に驚きつつも可能かもしれないと、イシドロはその話に乗ることにした。
「打倒魔王、そして大陸に魔族の覇を唱える」
イシドロは、平和な毎日に飽き飽きしており、何度も魔王にヒューマンの国を攻めることを進言していた。
当然、その進言は魔王にことごとく却下され、悶々とした日々を何百年も過ごしていた。
魔王の全力を未だ見たことは無いが、ガブリエルから漲る魔力を肌で感じ、魔王のそれに負けずとも劣らないと思えば、イシドロに断る理由は無かった。
魔族の世界では負けイコール死が通例だが、今回は目的が目的なだけにそうはならなかった。
ただし、ガブリエルの意一つで、イシドロの命が刈り取られる状況に変わりは無い。
ガブリエルは、イシドロほどヒューマンを嫌っている訳では無い。
それでも、使役獣である魔獣よりも弱い下等生物が、我が物顔で存在しているのが許せないタイプの男で、現魔王のスタンスが許せないのである。
そしてイシドロを配下に加えた日、ガブリエルを次期魔王とする反ドランマルヌス勢力ができあがった。
その計画は、非常に簡単だった。
大量の魔獣をひたすら魔王城へ攻め込ませ、魔王ドランマルヌスの魔力が減るのを待つ。
それは、魔族の世界であまり褒められたやり方ではなかったが、意外にもそれは支持を得た。
そもそも、魔王から魔獣の指揮を奪い取ること自体があり得ないことで、それが魔王であるドランマルヌスより力がある証明になった。
次第に、ガブリエルに従う魔族が増え、約八割の魔族を配下に収めると、行動を開始した。
それから魔王城を魔獣で攻め続けること三日が経ち、ドランマルヌスが反撃してきたことを、ついに焦り始めたと勘違いした。
それが故、ハデスは、
『やっと、反撃してきたか……』
と、先程呟いたのであった。
しかし、それはドランマルヌスがロウェーナのことをうるさく思い、ほんの気紛れであったことなど誰も知る由はなかった。
「お父様、そろそろ出ようかと思います」
青みを帯びた黒髪のポニーテールを揺らしながら進言してきた少女が、赤みを帯びた金色の瞳でハデスを見上げた。
「ん、フィネンシア、もうなのか?」
ハデスの問いに、「はい」とだけ、フィネンシアは短く答えた。
「そ、そうか、早い気もするが良いだろう。行くがよい」
「ありがとうございます。リディア、ミュラー、マニー。出るわよ」
「「「はい、お姉様!」」」
フィネンシアは、ハデスの娘で四つ子の長女であった。
次女のリディア、三女のミュラー、そして四女のマニーは、姉のフィネンシアが主人であるが如く付き従ってその場をあとにした。
その光景を見ながら、イシドロは未だ理解できないでいた。
あの強大な魔力を持ちながらもハデスは、フィネンシアには頭が上がらない様子を見せるからだった。
ハデスはそれを必死に隠そうとしていたが、対応が微妙に不自然でイシドロはそれに気付いていた。
イシドロは、武闘派で脳筋の見た目だが、そこはやはりアドヴァンスドの一角を担うサボール家の当主である。
些細な機微の変化に敏感だった。
彼女たちはたったの五歳で、ヒューマンだけではなく、魔人の特異性を考慮しても、その成長速度は異様だった。
見た目だけでも既に十代半ばの少女と言っても過言ではなかった。
一人ずつが相手であれば問題無いが、四人同時が相手では、負けはしないが勝てもしないかもしれないと、イシドロが感じるほどアドヴァンスドの中でも有数の魔力を彼女たちは有していた。
「あの子たちが出て行ったのだ。イシドロよ、もうすぐだ。最後は私があの娘の首を取ってみせよう」
「はい、待ち遠しいですな」
ハデスは、既に魔王の名を呼ばない。
その表情は、もうすぐ自分の時代になることを少しも疑っておらず、その先のことを考え悦に浸っている様子だった。
力でイシドロを捩じ伏せ、力で他の魔族たちを従えたが、その力は所詮借り物にすぎないのにも拘らず……
――――――
戦果確認に出て行ったロウェーナが、寝室の扉をぶち壊すような勢いで飛び込む。
「魔王様っ、大変です!」
「どうした騒がしい。何が……あっ、た……」
ドランマルヌスが注意しようとベッドから身を起こし、ボロボロになった姿のロウェーナを目にして言葉を詰まらせた。
「なんか可愛いちびっ子たちがいたんですよ!」
「ん、それにやられたと言うのかい?」
ロウェーナの大変という言葉とボロボロの服装から判断すれば、攻撃を受けたことを報告しに来たと思ったドランマルヌスだが、ロウェーナの顔は紅潮し歓喜の表情をしていた。
「もー、違いますよ、魔王様。確かに見とれていてマジックシールドの展開が遅れましたが、そうじゃないんです! すっごく可愛かったんですよー。あんなに小さくて可愛い子からあの強大な魔力、ゾクゾクしちゃいましたっ」
「あっそ……」
興奮して言ってくるロウェーナに呆れて、ドランマルヌスは何も言えなかった。
「うーん、ちびっ子で強大な魔力といったら、ハデス家の子供らかな? ねえ、そのちびっ子は四人だったかい?」
ドランマルヌスは、異様な力を持った子供がハデス家に生まれたことを風の噂で聞いていた。
「あっ、はい。ご存じなんですか?」
「いや、直接会ったことはないよ」
あの大人しいガブリエルが宣戦布告してきたときは、ついにボケたのかと思ったが、子供の力を知り調子に乗った方だったのか、とドランマルヌスは、その安直な考えに呆れた。
「どれどれ……」
ドランマルヌスは、マジックビジョンを展開させ、外の様子を覗き見る。
「ああ、この子たちですよ、魔王様」
「わかった、わかった。少し静かにしてくれないかなー」
頬に頬を付けて一緒に覗き込んできたロウェーナを鬱陶しそうに脇に押しやり、ちびっ子四人を観察しはじめる。
「へー、面白いじゃないか」
「何かわかったんですか?」
「まあね。ちょっと、パオレッティ家の娘っ子の所に行ってさ、勇者パーティーを連れてきてよ」
「え!」
ドランマルヌスの言葉にロウェーナは、驚きの声をあげた。
「いいから、いいから。死の砂漠谷以外の安全な裏ルートを教えていいと伝えるんだ。ほらっ、行った行った」
「もう、わかりましたよ。私には到底わかり得ないお考えが魔王様にはあるのでしょうねっ」
シッシッと追い出そうとするドランマルヌスに対し、ロウェーナは少しふくれっ面をして寝室を出て行った。
一方、ドランマルヌスは、寝室のバルコニーへと移動する。
辺りが夜の帳に包まれた時間帯。
満月の青白い光に照らされたドランマルヌスは、これから起こる事態など到底考えもせず、
「さて、ボクが直々に相手をしてあげようじゃないか」
と、新しいおもちゃを目の前にした子供のような表情を浮かべながら飛んで行くのだった。
それから程なくして、魔王城は消滅した。
そこに住む魔族たちとその建物だけを残して――
0
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる