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4. 仕掛けられた罠
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「アリス様……アリスを助けるために……レイができることなら何でもしますっ。」
「ありがとう。私は大丈夫よ。」
アリスは感情を表に出さない。いつも完璧な正妃としてふるまい、誰にでも優しくふるまう。その相手が平民であろうと、夫の愛人であろうと変わらない。
「アリス様は……なぜそんなにお優しいんですかぁ……。」
レイはアリスに抱きつき、頭をぐりぐりと胸に押し付けた。
「私は優しくないわ。感情がない冷たい女なの。」
「アリス様は……冷たくなんてありません……みんなアリス様が大好きなんです。」
”感情がない冷たい女”
アリスにその言葉を投げつけたのは、レオナルドだった。貴族の多くはアリスのことを疎ましく思っている。
”このままではスウェルド王国は滅んでしまいます!貴族が贅沢を辞め、国民と共に豊かになっていくべき時なのです!”
正妃として、アリスは貴族たちに豪遊を辞めるように言い続けてきた。だが貴族たちは聞く耳を持とうとしない。
すでに近隣諸国では、民衆の革命によって王家が滅んだという噂を聞く。同じことがスウェルド国で起こったとしても、何の不思議もない。
「ねえ、レイ。みんなに伝えてほしいことがあるの。」
アリスはレイの目をまっすぐに見つめる。
――――私の味方でいてくれて、本当にありがとう。
城に使える元孤児の騎士やメイドたちは皆、アリスを慕ってくれている。
”アリス様だけは、特別ですから!”
元々貴族を恨んでいた彼らの言葉に、アリスは救われていた。いくら、支援を重ねたとしても、アリスは紛れもない貴族。平民の犠牲の上で成り立つ自分の生活に、いつも違和感と申し訳なさを感じていた。
「もしも私がいなくなっても、復讐しようって考えちゃだめ。これまで通り、平和に生きてちょうだいって。」
「アリス様……?いなくなったらって……どういうことですか?」
「約束できる?」
レイは大きく首を振る。
「嫌ですっ。アリス様はなんにも悪くないんですよ?!レイたちが、アリス様が無実だと証明しますからっ。だから……だから、いなくならないでくださいアリス様っ。」
レイの目から大粒の涙がこぼれる。
――――私のために泣いてくれるのね。
アリスはそっとレイの涙をぬぐう。
――――私は感情をどこかにおいてきてしまったのかしら。
絶望的な状況なのに、アリスの心の中は空っぽだった。涙を流すレイの言葉がどこか他人事のように思える。
「私は……いない方がいいのよ。」
ロゼッタがレオナルドの子供を産めば、彼女は正式にレオナルドの妻になるだろう。その時に、アリスの存在が邪魔になることは間違いない。ロゼッタの背後には、フィリップス家が付いている。いくらタラ-レン家であろうと、アリスを守りきれないだろう。
――――きっとまた、私を陥れるための罠が仕掛けられる。
「アリス様……。」
「止めないで……レイ。もう、決めたのよ。私は……この城から脱出するわ。罰がくだってからでは、遅いもの。」
罪を犯した正妃として、命を落とすつもりはない。
「レイもついていきます!」
アリスは微笑みを浮かべて、首を振る。
「ありがとう。レイ。だけど、私は一人で城を出るつもりよ。」
「アリス様……。」
「心配しないで。私は大丈夫。」
小さく微笑みを浮かべて、アリスは部屋を出た。部屋を出たアリスが向かうのは、国王レオナルドの部屋。
――――最後に会いたい人があの男だなんて馬鹿みたいね。
かつて、アリスとレオナルドはお互いに信頼し合い、愛し合っていた。今ではもう、おとぎ話のように遠い話だけれど。
◇◇◇
「ありがとう。私は大丈夫よ。」
アリスは感情を表に出さない。いつも完璧な正妃としてふるまい、誰にでも優しくふるまう。その相手が平民であろうと、夫の愛人であろうと変わらない。
「アリス様は……なぜそんなにお優しいんですかぁ……。」
レイはアリスに抱きつき、頭をぐりぐりと胸に押し付けた。
「私は優しくないわ。感情がない冷たい女なの。」
「アリス様は……冷たくなんてありません……みんなアリス様が大好きなんです。」
”感情がない冷たい女”
アリスにその言葉を投げつけたのは、レオナルドだった。貴族の多くはアリスのことを疎ましく思っている。
”このままではスウェルド王国は滅んでしまいます!貴族が贅沢を辞め、国民と共に豊かになっていくべき時なのです!”
正妃として、アリスは貴族たちに豪遊を辞めるように言い続けてきた。だが貴族たちは聞く耳を持とうとしない。
すでに近隣諸国では、民衆の革命によって王家が滅んだという噂を聞く。同じことがスウェルド国で起こったとしても、何の不思議もない。
「ねえ、レイ。みんなに伝えてほしいことがあるの。」
アリスはレイの目をまっすぐに見つめる。
――――私の味方でいてくれて、本当にありがとう。
城に使える元孤児の騎士やメイドたちは皆、アリスを慕ってくれている。
”アリス様だけは、特別ですから!”
元々貴族を恨んでいた彼らの言葉に、アリスは救われていた。いくら、支援を重ねたとしても、アリスは紛れもない貴族。平民の犠牲の上で成り立つ自分の生活に、いつも違和感と申し訳なさを感じていた。
「もしも私がいなくなっても、復讐しようって考えちゃだめ。これまで通り、平和に生きてちょうだいって。」
「アリス様……?いなくなったらって……どういうことですか?」
「約束できる?」
レイは大きく首を振る。
「嫌ですっ。アリス様はなんにも悪くないんですよ?!レイたちが、アリス様が無実だと証明しますからっ。だから……だから、いなくならないでくださいアリス様っ。」
レイの目から大粒の涙がこぼれる。
――――私のために泣いてくれるのね。
アリスはそっとレイの涙をぬぐう。
――――私は感情をどこかにおいてきてしまったのかしら。
絶望的な状況なのに、アリスの心の中は空っぽだった。涙を流すレイの言葉がどこか他人事のように思える。
「私は……いない方がいいのよ。」
ロゼッタがレオナルドの子供を産めば、彼女は正式にレオナルドの妻になるだろう。その時に、アリスの存在が邪魔になることは間違いない。ロゼッタの背後には、フィリップス家が付いている。いくらタラ-レン家であろうと、アリスを守りきれないだろう。
――――きっとまた、私を陥れるための罠が仕掛けられる。
「アリス様……。」
「止めないで……レイ。もう、決めたのよ。私は……この城から脱出するわ。罰がくだってからでは、遅いもの。」
罪を犯した正妃として、命を落とすつもりはない。
「レイもついていきます!」
アリスは微笑みを浮かべて、首を振る。
「ありがとう。レイ。だけど、私は一人で城を出るつもりよ。」
「アリス様……。」
「心配しないで。私は大丈夫。」
小さく微笑みを浮かべて、アリスは部屋を出た。部屋を出たアリスが向かうのは、国王レオナルドの部屋。
――――最後に会いたい人があの男だなんて馬鹿みたいね。
かつて、アリスとレオナルドはお互いに信頼し合い、愛し合っていた。今ではもう、おとぎ話のように遠い話だけれど。
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