【完結】妊娠した愛妾の暗殺を疑われたのは、心優しき正妃様でした。〜さよなら陛下。貴方の事を愛していた私はもういないの〜

五月ふう

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42. 正妃様とお城

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 次の日。青空に、白い雲がぽっかりと浮かぶ。

 アリスは、ルーカスと共に、釣りをしながら二人で食堂についての計画を練っていた。

「できるだけ大きい食堂をつくりたいよなぁ。広い場所が良い。近くに畑を作りたいし、海が近ければ魚も釣れるし。」

 と、ルーカスが言う。

「そうね。自分たちで食材を作れたら、資金の問題は解決するものね。」

 皆がお腹いっぱいに食べられる食堂。実際に作ると思ったら、どこからかその資金を得なくてはいけない。

「ああ。みんなが腹いっぱい食べられる食堂。値段はできるだけ安く、できれば無料でさ。馬鹿みたいだけど、そんな場所があったら最高だよな。」

「馬鹿みたいな話じゃないわよ。実際に、隣国ゴアル国には、貧困に苦しむ子供たちのために、無償で食事を提供する食堂があるって聞いたことがあるわ。」

 旅人さんの夢を叶えたくて、アリスは多くの資料を集めた。民主化が進んだゴアル国では、実際に無償で料理を提供する食堂があるときく。

「へえ?」

 ルーカスは興味深そうに笑う。

「ゴアル国からの支援と、お金持ちからの無償提供で成り立ってるって聞いたわ。旅人さんの夢は……決して夢物語じゃなくて、現実でかなえられるものよ。」

 夢の食堂。それは馬鹿げたものではなく、スウェルド国が豊かである為には、絶対に必要なものだとアリスは信じている。

「なんか、わくわくするな。」

「ええ!」

 にっこりとほほ笑むアリスを見て、ルーカスは目を細めて微笑む。アリスはどぎまぎして、ルーカスから目をそらした。

「食堂を作る場所……どこかいい場所はないかな。無料で貸してくれる場所がいいよなぁ。」

 そう言いながら、ルーカスは川に釣り竿を垂らした。

 ーーーーねえ、ルーカス。何を考えているの?

 アリスは気が付くとルーカスを目で追ってしまう。

「どうした?アリス。」

「なんでもっないわっ。」

 ルーカスに名前を呼ばれると、固まってしまう。

 ーーーーなんだかこれまでより、空が高く感じるわ。 

 アリスは心がこれまでよりも穏やかになっていると気が付いていた。ずっとアリスをしばりつけていた旅人さんへの罪の意識が、少し小さくなっているのだ。

 「私、1つ良い場所を思いついたわ。」

 「おっ、教えてくれ。」

 アリスは少し勿体つけた。口元には笑みが浮かんでいる。

 「お城よ。」

 ルーカスは口をぽかんと開けた。

 「……お城?」

 「ええ。もちろん今は無理だけれど、いつかスウェルド城が私たちの作る食堂の場所に最適化もしれないって思うの。あそこなら畑があるし、海は近いし……何より手伝ってくれそうな人が沢山いるもの。」

 ルーカスはまじまじとアリスをみつめた。

「そりゃあいい!誰に許可をとればいいんだ?」

「国王様かしら。」

 アリスは肩をすくめて笑った。

「その……アリスなら許可を取りにいけるんじゃないか?」

「ふふ。私はあそこから逃げ出してきたんだもの。見つかったら捕まっちゃうわ。スウェルド城食堂計画は冗談よ。」

 アリスは川に視線をうつして呟いた。川に鳥が飛んできて、石にピュンと止まった。

 「聞いて良いか?」


 「ええ。」

 「国王様のことはどう思っているんだ?」

 ルーカスは釣り竿を見つめて、静かにアリスに尋ねた。



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