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62.正妃様と再会
「アリス様……生きていらっしゃったのですね……。」
その男はアリスを見ると、膝から崩れ落ち嗚咽をあげて泣き始めた。アリスは身をかがめると、その頭に手を置いた。
ーーーーえ……?
「久しぶりね、アルバート。」
アリスはその男を見て嬉しそうに笑った。めったに見せることがない、親しみのこもった笑顔。
ーーーーどんな関係だ?
「ずっと……お会いしたかったです。」
「心配かけてごめんなさい。私ももう一度、アルバートに会いたいと思っていたわ。」
二人の様子を見て、ルーカスは思わず拳を握り締めた。
ーーーーずいぶん親しげじゃないか。
「アリス様、どうしても貴方にお伝えしなくてはならないことがあります。」
アルバートは涙を乱雑にぬぐってそう言った。
「どうしても、伝えたいこと?」
ルーカスの心臓はどくどくと音を立てる。
「レオナルド様が、この村のすぐ近くにいらっしゃっています。」
「え……?」
「どういうことだ?!」
思わず声が出た。アルバートがちらりとルーカスを見る。
「この方は?」
「私が信頼している人よ。それよりレオナルドが近くにいるって、どういうことなの?」
「レオナルド様はアリス様を捜して城の外に出られ、ここまで旅してこられました。アリス様が東の村で反乱軍を率いているという噂を聞きつけ、この村に向かっています。」
「レオナルドが……本当に城の外に……。こんな遠いところまで、旅してきたのね……。」
アリスは両手で顔を覆い、信じられないという表情を浮かべている。
「俺は、アリス様の噂を聞きつけて、皆より早くこの村に着きました。レオナルド様も明日にはこの村に到着されるでしょう。」
「レオナルドが……この村に来る……?」
「はい。レオナルド様は、どうしてもアリス様にお会いしたいとおっしゃっています。」
アルバートはアリスを見つめて言う。
「待ってくれ!」
思わず、ルーカスは口をはさんだ。自分が口を出すべき場所じゃない。それでも、アリスとレオナルドに会ってほしくなかった。
「国王レオナルドは、アリスを殺そうとした人間だぞ!実際にアリスは命を落としかけたんだ!今更会いたいだなんて、虫が良すぎるだろ!」
「ルーカス…………。」
ルーカスはアリスの肩を掴んだ。
「アリス。レオナルドに会おうとするんなんて危険な真似はよせ!今更会って、なんになる?奴はまた、アリスの命を奪おうとするかもしれないんだぞ!」
アリスはまだ、レオナルドを信じている。きっと、会いたいというのだろう。だが、酷く嫌な予感がする。アリスとレオナルドを再会させてはいけない気がした。
「アリス様、レオナルド様は変わりました。」
アルバートがアリスに訴える。
「レオナルド様はかつての何も知らない愚かな王ではありません。陛下はこの村に来るまでずっと、皆に食事を配って回っていたのです。まるで、アリス様みたいに……。」
アルバートの言葉を聞いて、アリスはそっとルーカスの腕を外した。
「私は、レオナルドに会わなくちゃ。」
その男はアリスを見ると、膝から崩れ落ち嗚咽をあげて泣き始めた。アリスは身をかがめると、その頭に手を置いた。
ーーーーえ……?
「久しぶりね、アルバート。」
アリスはその男を見て嬉しそうに笑った。めったに見せることがない、親しみのこもった笑顔。
ーーーーどんな関係だ?
「ずっと……お会いしたかったです。」
「心配かけてごめんなさい。私ももう一度、アルバートに会いたいと思っていたわ。」
二人の様子を見て、ルーカスは思わず拳を握り締めた。
ーーーーずいぶん親しげじゃないか。
「アリス様、どうしても貴方にお伝えしなくてはならないことがあります。」
アルバートは涙を乱雑にぬぐってそう言った。
「どうしても、伝えたいこと?」
ルーカスの心臓はどくどくと音を立てる。
「レオナルド様が、この村のすぐ近くにいらっしゃっています。」
「え……?」
「どういうことだ?!」
思わず声が出た。アルバートがちらりとルーカスを見る。
「この方は?」
「私が信頼している人よ。それよりレオナルドが近くにいるって、どういうことなの?」
「レオナルド様はアリス様を捜して城の外に出られ、ここまで旅してこられました。アリス様が東の村で反乱軍を率いているという噂を聞きつけ、この村に向かっています。」
「レオナルドが……本当に城の外に……。こんな遠いところまで、旅してきたのね……。」
アリスは両手で顔を覆い、信じられないという表情を浮かべている。
「俺は、アリス様の噂を聞きつけて、皆より早くこの村に着きました。レオナルド様も明日にはこの村に到着されるでしょう。」
「レオナルドが……この村に来る……?」
「はい。レオナルド様は、どうしてもアリス様にお会いしたいとおっしゃっています。」
アルバートはアリスを見つめて言う。
「待ってくれ!」
思わず、ルーカスは口をはさんだ。自分が口を出すべき場所じゃない。それでも、アリスとレオナルドに会ってほしくなかった。
「国王レオナルドは、アリスを殺そうとした人間だぞ!実際にアリスは命を落としかけたんだ!今更会いたいだなんて、虫が良すぎるだろ!」
「ルーカス…………。」
ルーカスはアリスの肩を掴んだ。
「アリス。レオナルドに会おうとするんなんて危険な真似はよせ!今更会って、なんになる?奴はまた、アリスの命を奪おうとするかもしれないんだぞ!」
アリスはまだ、レオナルドを信じている。きっと、会いたいというのだろう。だが、酷く嫌な予感がする。アリスとレオナルドを再会させてはいけない気がした。
「アリス様、レオナルド様は変わりました。」
アルバートがアリスに訴える。
「レオナルド様はかつての何も知らない愚かな王ではありません。陛下はこの村に来るまでずっと、皆に食事を配って回っていたのです。まるで、アリス様みたいに……。」
アルバートの言葉を聞いて、アリスはそっとルーカスの腕を外した。
「私は、レオナルドに会わなくちゃ。」
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