【完結】妊娠した愛妾の暗殺を疑われたのは、心優しき正妃様でした。〜さよなら陛下。貴方の事を愛していた私はもういないの〜

五月ふう

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75.国王様と投獄

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 ゴアル国に向かう馬車はゆっくりと森の小道を進んでいく。馬車の中ではリュカがいつも通り,楽しそうに外を眺めている。

 「リュカ。」

 意味もなく,レオナルドはリュカの名前を呼ぶ。ずっと読んでいたいし,彼女に触れていたい。そう思うのは,彼女に惹かれているからだろうか。

 レオナルドに名前を呼ばれて,リュカが振り返った。

 「だいじょうぶ。アリス様は絶対に目を覚ますよ!」

 力強く言い切り,レオナルドの手を強く握る。昨晩から,ずっとそばに寄り添っていてくれたのは,リュカだった。リュカがいなければ,レオナルドはおかしくなっていたと思う。

 「当然だ。あんな図太い女が,このまま死ぬわけがない。」

 「ふふ,きっとそうだよ。」

 「……。」

 「ん?なーに?」

 「見ていたかっただけだ。」

 「ええ?!」

 リュカの顔が赤くなった。そんな彼女を自分のものに独り占めしたくなる。だけど,そんな資格は無いとレオナルドはわかっていた。

 「なあ,リュカ。僕が王じゃなくなったら,どうする?」

 リュカはにっこりと笑った。

 「変わらないよ。あたしはレオナルドと一緒にいたいよ!」

 「……馬鹿か。」

 レオナルドは小さく笑った。

 「馬鹿じゃないよ!」

 「ふん。」

  -----お前に出会えてよかった。

 レオナルドは心の中でつぶやく。リュカがいたから,レオナルドは独りぼっちじゃなくなった。独りぼっちじゃなくなったから,自分が何をしなくちゃいけないのか気づけたのだった。


  ◇◇◇

 それから。ゴアル国王都に無事たどりついたレオナルド。

 彼はゴアル国の国会で,スウェルド国王を退位すると宣言した。そして,スウェルド国におけるレオナルドの権利をすべて破棄すると宣言した。スウェルド国は王家独裁制であり,全ての権利がレオナルドに集約されてた。

 「それでいいのか?スウェルド国王レオナルドよ?」

 「‥‥…スウェルド国は腐っている。この国を救ってくれるなら,俺はもうなんでもいい。」

 長い話し合いの末,ゴアル国政府はスウェルド国をゴアル国の一部にすることを決めた。

 そしてもう一つ。

 「元スウェルド国レオナルド。あなたを国民に圧政を敷いた罪で投獄を決定する!」

 レオナルドはスウェルド国の元国王として,国民を苦しめてきた罪に問われることとなった。そしてそれはレオナルド自身が望んだことだった。

 スウェルド国は崩壊し,新しい国になる。だが,人々の憎しみはなくならないとレオナルドは考えていた。だからこそ,レオナルドは罪を負わなくてはならない。
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