闇と光の慈愛のコントラスト

ひろの助

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第Ⅴ章。「光と闇」

3、闇は母(006~008)

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--闇は母(006)交わる生い立ち--

アクティスは、暗闇くらやみからのがれ平原にいた。
「塩のかおりがする」
ウキウキして微笑ほほえんだ。
サンディアは、海に浮かんだ小さな島で暮らしている。
太陽が降りそそぐ南国の島である。
海岸かいがんには、マウの林が生えている。
マウは、軽いみき。それは、家や船の壁板へきばんの材料になる。
上の方に葉があり、屋根としておおうのにむいている。
潮風しおかぜにも強い。
丸い実がなっていて食べることができる。
味は、あまりないがジュウシィである。
海岸からマウの林を抜け、山に向い島の奥に入った所にアクティスをむかえた平原があり、サンディアの家は、それをまだ山に向かって進んだところにある。
サンディアは、この島に母との2人暮らしである。
しかし、サンディアは成人(成人と言っても神の子であるサンディアに年齢ねんれい規定きていはない)なので、独立どくりつし別々の家にらしていた。
食事は、母もサンディアの家で一緒に取る。
家事全般、農作業もサンディアが行っていた。
農地は、平原ではなく、山の森林を開拓かいたくして作られている。
なぜなら、山の食物から種を取り畑を作ったからである。
家は、先ほど説明したマウの木で出来ている。
今更ながら、説明するが、サンディアは光の女神めがみイリスの子である。
サンディアの母イリスは、愛する人をイリノイスに殺された。
サンディアの次元移動の力は、その愛する人から受け継いだものである。
アクティスは闇のおさアクデシアの孫である。
さきの光の神イリノイスとの戦いで両親も祖父アクデシアも亡くした。
2人は、まだ、その過去を話していないが、同じイリノイスに宿念しゅくねんを持っている。
これから、2人とイリノイスの宿念の戦いが始まる。
まずは、しばしの休息を…。

注1)宿念:宿命的しゅくめいてき怨念おんねんのような強い思い。

--闇は母(007)しばしの休息①--

アクティスは、サンディアの家についた。
「ここで、しばらくゆっくりしていてください」
そう言うと、サンディアは、アクティス為に飲み水をみに行った。
飲み水は、島の山の中腹に溜まった水が流れ出ている場所がある。
木のみきり抜いたおけを持っていた。
水源に着いた。
汲む前に、サンディアは、一口飲んだ。
「美味い」
サンディアは、安心した。
アクティスにがいのあるものを飲ませることはできない。
光の神の手が届くとは思わないが、少し用心したのである。
(夕食の分も足りるだろう)
おけ一杯に水を汲んだ。
そして、こぼさないように慎重しんちょうに家にもどった。
「アクティス。水です」
サンディアは、勢いよく家をのぞいた。
「まあ。うれしい」
アクティスは、もう何日も何も口にしていない。
のどかわいていた。
サンディアは、水桶みずおけから、カップに水を移して差し出す。
アクティスは、「ごくごくごく」と飲んだ。
「おいしい。サンディア。ありがとう」
サンディアは、今度は、かごとその籠にせんのついた容器を入れて持った。
「少しは休めましたか?
 私は、畑に夕食の材料を取りに行きますが、
 アクティスは、どうします」
「私も畑を見たいわ」
今まで暗闇にいたせいか、違う景色が見たくなった。
畑は、山の中腹の家からまだ登らないといけない。
アクティスも闇の民である。農作業も手伝っていた。足腰は丈夫である。
2人は、仲良く出発した。
「アクティス。足元に気をつけて、
 折れた木の根が突き出ているから」
2人は、山を足元を注意しながら登る。
草木がけわしいが、
サンディアが毎日、農作業で通うからか道が出来ている。
畑に着いた。
部屋五件分ぐらいの畑である。周りはさくで囲ってあった。
少しちいさく感じるが、母親と2人で暮らすには十分な広さの畑なのでしょう。
緑の葉のキャンジャを一つと赤いボヤゲの根を三本取り籠に入れた。
ジョガの木にきずをつけて汁をせんのついた容器に取った。
そして、2人は、家に戻ったが、サンディアが、今度は一人で出ていく。
「少し待っててください」
「どこ行くの?」
アクティスは、別れるのが不安ふあんあわててたずねた。
「いいもの」
サンディアは、安心させようとやさしく言った。

--闇は母(008)しばしの休息②--

サンディアは、森の中にいる。
デガドリンの草の葉が胸のあたりまでおおっている。
腰をしずめ草にかくれ意識を集中する。
「ザワ ザワ」
草が動く。
サンディアは、手を瞬間に次元移動させた。
その動くものを捕まえた。
矮鶏ちゃぼの先祖かもしれない。
サンディアが、鳥の名前を知るはずもない。
名付けて呼ぶなら「ジャンボゥ」である。
アクデシアが死んでからいろいろな動物が増えた。
アクデシアの体にあった命の種が噴出ふんしゅつしたせいである。
ある土地には、恐竜が現れたとも聞く。

サンディアは、鳥を持ち、いそいそと帰る。

「アクティス。帰ったよ」
サンディアは、は、アクティスに鳥を差し出した。

「きゃ。素敵」
鳥は、すでめてあった。
ピクリとも動かない。
闇の民である。アクティスは、死んでいる鳥を見ても動じることはない。
アクティスは、サンディアを喜ばす言葉を少し掛けたかったのである。

「でも、可哀そうなことをしたわね。
 私のため?」
アクティスの気持ちは、やっぱり、優しい。

「いや。未来の為だ」
それが、アクティスのなぐさめになるとは思はないが、サンディアの気休めである。

サンディアは、鳥の処理をした。
毛をむしり取った。
そして、肉を食べやすい大きさに千切ちぎる。
アクティスに見えない離れた場所で行った。

2人は一緒に料理をする。

包丁は、木の枝に先に鋭いとがった石のかけらが埋め込まれている。
アクティスは、緑の葉のキャンジャを千切ちぎった。
赤いボヤゲの根を刻む。

暖炉だんろまきをくべて火をつける。
暖炉には、石の鍋がある。
鳥をまず焼く。
具材を投入する。
木のへらで混ぜる。
最後にジョガの汁をかける。
刺激のある香りがたつ。
『野菜と鳥もものジョガいため』は、出来上がった。

あいにくたまごがなく鳥骨とりぼねのスープはおあずけとなった。
その代わり、きよい水がある。

木の皿に分ける。
イリスも呼んでくる。
イリスは、小麦をこねパンを焼いていた。
それを葉に乗せて持ってきた。

3人は、部屋の真ん中に車座くるまざすわった。
祈りを捧げる。
「感謝します。全てに運命に。自身が良い行いを出来ますように」
イリスは、となえた。

鳥は、パリパリにこうばしく焼けていた。
ジョガの汁が甘じょっぱい。
そのせいか食欲しょくよくがわく。
水が美味しい。

イリスは、サンディアのお父さんと知り合った日を思い出す。
あの時は、光の天空城だった。
今は、自然にかこまれたマウの木の家である。
こんなににぎやかでもなかった。
美味しく三人は食べた。

イリスは、今後のことをアクティスにたずねるために、まず、自身のことを話し出す。

「昔…、私は、この子のお父さんと光の天空城てんくうじょうめぐり合った…」

つづく。 次回(闇の未来①)

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