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第1章
第27話:王都の洗礼
「国王陛下の御召(おめし)により、ただ今、参上いたしました」
俺の声は騒然とする王都軍港に、奇妙なほどはっきりと響き渡った。
俺を取り囲む王国騎士団の兵士たちは、その手に握る召喚状と目の前の現実との間で明らかに混乱していた。
国王陛下に召喚された男が、王国海軍の停船命令を無視し、軍港を蹂躏(じゅうりん)し、王族専用の桟橋に不法占拠する。
前代未聞の事態だった。
「……召喚状が本物だとしてもだ!」
騎士団長らしき男が怒りに顔を歪ませ、剣の柄を握りしめた。
「貴様のその行い、王都の秩序を乱す反逆行為に等しい!まずはその黒船を押収し、貴様を拘束する!」
「待て」
男が剣を抜こうとした、その時。
彼らの背後、桟橋の入り口から冷たく、そして権威に満ちた声が響いた。
「その者に指一本触れることは許しません」
兵士たちが慌てて道を開ける。
そこに立っていたのは俺の予想通りの人物だった。
財務省監査官、マルクス・フォン・キルヒハイム。
彼は俺の無謀な登場を聞きつけ、すぐさま駆けつけたのだろう。その顔はアルトマールで受けた屈辱を思い出したかのように、怒りで青白くなっている。
「キルヒハイム卿!」
騎士団長が救いを求めるように彼の名を呼んだ。
「卿、ご覧ください!この男、ミナト・アークライトは国王陛下の召喚を盾に、この軍港で狼藉(ろうぜき)の限りを!」
「分かっている」
キルヒハイムは俺を蛇のようにねっとりとした目で見据えた。
「アークライト殿。君はとんでもない過ちを犯したようだね。国王陛下の召喚をこれほどまでに愚弄(ぐろう)するとは。君のその行いはセラフィーナ様の顔に、いや、ルクスブルク公爵そのものの顔に泥を塗る行為だ」
彼は公衆の面前で、俺とルクスブルク家の関係を断罪し始めた。
「国王陛下は君の功績を称えようとなされた。だが、君はその御心(みこころ)を軍港への侵入という形で踏みにじった。もはや君はただの功労者ではない。王国の秩序を乱す、危険分子だ!」
彼は騎士団長に向き直った。
「騎士団長!国王陛下の名において命じる!その男、ミナト・アークライトを反逆未遂の現行犯として即刻、逮捕せよ!その異形の船も証拠品として押収する!」
キルヒハイムの顔に勝利の笑みが浮かんだ。
これこそが彼の狙いだった。俺を王都に呼び寄せ、公衆の面前で罪人に仕立て上げ、ルクスブルク家の庇護から合法的に引き剥がす。
騎士たちが再び槍先を俺に向けた。ダリオたちが船の上で慌てて武器に手をかけようとする。
「待て」
俺はそれを手で制した。
そして、キルヒハイムの背後、今まさに馬車から降り立ったもう一人の人物に向かって、静かに頭を下げた。
「これは、これは。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
キルヒハイムも騎士団長も、その声に驚き振り返った。
そこに立っていたのは五十代ほどの、威厳に満ちた男だった。白髪混じりの髪を後ろになでつけ、その体格は文官というよりは歴戦の将軍を思わせる。だが、彼が纏う装束は王国で最も格式の高い、公爵位を示すものだった。
「……ルクスブルク、公爵閣下……」
キルヒハイムの顔から血の気が引いた。
セラフィーナの父、王国宰相、アウグスト・フォン・ルクスブルク公爵。その人だった。
「キルヒハイム卿。私の『客』が何か、失礼でも?」
アウグスト公爵の静かな声には、キルヒハイムの甲高い声とは比較にならない絶対的な圧があった。
「か、閣下!この男は軍港の秩序を乱し……!」
「秩序、かね?」
公爵は巨大な王国海軍の戦艦を一瞥(いちべつ)し、次にその間をすり抜けてきた俺の漆黒のコルベットを見比べた。
「私には、こう見えたがね。我が娘セラフィーナの騎士が国王陛下の召喚に一刻も早く応えんがため、最速の船で駆けつけた。だが、港湾警備の船もあまつさえ王国海軍本隊も、その『最速』の船に全く対応できなかった。その結果、彼は仕方なくこの王族用の桟橋に着けるしかなかった。……違うかね?」
それは事実をルクスブルク家にとって、最も都合の良い形に捻じ曲げた完璧な解釈だった。
キルヒハイムの顔が怒りと屈辱に歪む。
「そ、そのような詭弁(きべん)が……!」
「詭弁ではない。事実だ」
公爵は俺の前に進み出た。彼は俺の目を、まるで魂の奥底まで見通すかのようにじっと見つめた。
「セラフィーナから報告は聞いている。君がミナト・アークライトか」
「はっ。ミナト・アークライトにございます」
「娘の騎士が王都に到着早々、海軍の面子(めんつ)を丸潰れにさせるとはな。……面白い」
公爵はフッと、初めて笑みを浮かべた。
「我が娘は実に稀有(けう)な『資産』を見つけてきたものだ」
彼はキルヒハイムに向き直った。
「キルヒハイム卿。彼の処遇は私が預かる。彼は国王陛下の召喚に応じた、ルクスブルク家の賓客(ひんきゃく)だ。財務省の監査官ごときが手を出す相手ではない。……それとも、我がルクスブルク家の騎士に剣を向けるというのかね?オルデンブルク侯爵の差し金で」
最後の一言は致命的だった。
キルヒハイムは公衆の面前で政敵の名を出され、完全に沈黙した。
「……失礼、いたしました」
彼はそれだけ言うと、憎悪に満ちた目で俺を一瞥し、足早にその場を去っていった。
「騎士団長。この船は我が家の管理下に置く。乗組員たちの宿舎もこちらで手配しよう。兵を退(ひ)きたまえ」
「は、はっ!」
騎士団も慌てて撤収していく。
嵐は去った。
「さて、ミナト殿」
公爵は俺に馬車に乗るよう、顎で示した。
「王城へ向かうぞ。……国王陛下が、そしてオルデンブルクの狐(きつね)どもが君の到着を、今か今かと待ちわびておられるからな」
俺はセラフィーナとはまた違う種類の、巨大な権力の渦に飲み込まれたことを実感した。
だが、恐怖はない。
俺はこの男の、そして王国の「資産」として、自らの価値をこれから存分に提示していく覚悟を決めた。
王都での戦いは今、静かに、しかし激しく幕を開けたのだ。
俺の声は騒然とする王都軍港に、奇妙なほどはっきりと響き渡った。
俺を取り囲む王国騎士団の兵士たちは、その手に握る召喚状と目の前の現実との間で明らかに混乱していた。
国王陛下に召喚された男が、王国海軍の停船命令を無視し、軍港を蹂躏(じゅうりん)し、王族専用の桟橋に不法占拠する。
前代未聞の事態だった。
「……召喚状が本物だとしてもだ!」
騎士団長らしき男が怒りに顔を歪ませ、剣の柄を握りしめた。
「貴様のその行い、王都の秩序を乱す反逆行為に等しい!まずはその黒船を押収し、貴様を拘束する!」
「待て」
男が剣を抜こうとした、その時。
彼らの背後、桟橋の入り口から冷たく、そして権威に満ちた声が響いた。
「その者に指一本触れることは許しません」
兵士たちが慌てて道を開ける。
そこに立っていたのは俺の予想通りの人物だった。
財務省監査官、マルクス・フォン・キルヒハイム。
彼は俺の無謀な登場を聞きつけ、すぐさま駆けつけたのだろう。その顔はアルトマールで受けた屈辱を思い出したかのように、怒りで青白くなっている。
「キルヒハイム卿!」
騎士団長が救いを求めるように彼の名を呼んだ。
「卿、ご覧ください!この男、ミナト・アークライトは国王陛下の召喚を盾に、この軍港で狼藉(ろうぜき)の限りを!」
「分かっている」
キルヒハイムは俺を蛇のようにねっとりとした目で見据えた。
「アークライト殿。君はとんでもない過ちを犯したようだね。国王陛下の召喚をこれほどまでに愚弄(ぐろう)するとは。君のその行いはセラフィーナ様の顔に、いや、ルクスブルク公爵そのものの顔に泥を塗る行為だ」
彼は公衆の面前で、俺とルクスブルク家の関係を断罪し始めた。
「国王陛下は君の功績を称えようとなされた。だが、君はその御心(みこころ)を軍港への侵入という形で踏みにじった。もはや君はただの功労者ではない。王国の秩序を乱す、危険分子だ!」
彼は騎士団長に向き直った。
「騎士団長!国王陛下の名において命じる!その男、ミナト・アークライトを反逆未遂の現行犯として即刻、逮捕せよ!その異形の船も証拠品として押収する!」
キルヒハイムの顔に勝利の笑みが浮かんだ。
これこそが彼の狙いだった。俺を王都に呼び寄せ、公衆の面前で罪人に仕立て上げ、ルクスブルク家の庇護から合法的に引き剥がす。
騎士たちが再び槍先を俺に向けた。ダリオたちが船の上で慌てて武器に手をかけようとする。
「待て」
俺はそれを手で制した。
そして、キルヒハイムの背後、今まさに馬車から降り立ったもう一人の人物に向かって、静かに頭を下げた。
「これは、これは。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
キルヒハイムも騎士団長も、その声に驚き振り返った。
そこに立っていたのは五十代ほどの、威厳に満ちた男だった。白髪混じりの髪を後ろになでつけ、その体格は文官というよりは歴戦の将軍を思わせる。だが、彼が纏う装束は王国で最も格式の高い、公爵位を示すものだった。
「……ルクスブルク、公爵閣下……」
キルヒハイムの顔から血の気が引いた。
セラフィーナの父、王国宰相、アウグスト・フォン・ルクスブルク公爵。その人だった。
「キルヒハイム卿。私の『客』が何か、失礼でも?」
アウグスト公爵の静かな声には、キルヒハイムの甲高い声とは比較にならない絶対的な圧があった。
「か、閣下!この男は軍港の秩序を乱し……!」
「秩序、かね?」
公爵は巨大な王国海軍の戦艦を一瞥(いちべつ)し、次にその間をすり抜けてきた俺の漆黒のコルベットを見比べた。
「私には、こう見えたがね。我が娘セラフィーナの騎士が国王陛下の召喚に一刻も早く応えんがため、最速の船で駆けつけた。だが、港湾警備の船もあまつさえ王国海軍本隊も、その『最速』の船に全く対応できなかった。その結果、彼は仕方なくこの王族用の桟橋に着けるしかなかった。……違うかね?」
それは事実をルクスブルク家にとって、最も都合の良い形に捻じ曲げた完璧な解釈だった。
キルヒハイムの顔が怒りと屈辱に歪む。
「そ、そのような詭弁(きべん)が……!」
「詭弁ではない。事実だ」
公爵は俺の前に進み出た。彼は俺の目を、まるで魂の奥底まで見通すかのようにじっと見つめた。
「セラフィーナから報告は聞いている。君がミナト・アークライトか」
「はっ。ミナト・アークライトにございます」
「娘の騎士が王都に到着早々、海軍の面子(めんつ)を丸潰れにさせるとはな。……面白い」
公爵はフッと、初めて笑みを浮かべた。
「我が娘は実に稀有(けう)な『資産』を見つけてきたものだ」
彼はキルヒハイムに向き直った。
「キルヒハイム卿。彼の処遇は私が預かる。彼は国王陛下の召喚に応じた、ルクスブルク家の賓客(ひんきゃく)だ。財務省の監査官ごときが手を出す相手ではない。……それとも、我がルクスブルク家の騎士に剣を向けるというのかね?オルデンブルク侯爵の差し金で」
最後の一言は致命的だった。
キルヒハイムは公衆の面前で政敵の名を出され、完全に沈黙した。
「……失礼、いたしました」
彼はそれだけ言うと、憎悪に満ちた目で俺を一瞥し、足早にその場を去っていった。
「騎士団長。この船は我が家の管理下に置く。乗組員たちの宿舎もこちらで手配しよう。兵を退(ひ)きたまえ」
「は、はっ!」
騎士団も慌てて撤収していく。
嵐は去った。
「さて、ミナト殿」
公爵は俺に馬車に乗るよう、顎で示した。
「王城へ向かうぞ。……国王陛下が、そしてオルデンブルクの狐(きつね)どもが君の到着を、今か今かと待ちわびておられるからな」
俺はセラフィーナとはまた違う種類の、巨大な権力の渦に飲み込まれたことを実感した。
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