私は犬だ。

文字の大きさ
上 下
12 / 16

1

しおりを挟む
「どうにも最近のシシリーはいけませんね。」
ラナが目にもみえない速さで、ナイフを自分の息子に投げつける。

どうにもこの母親は頭がおかしい。
自分の息子にナイフ投げつけるか?
「お母さん、」「ラナ」
「うわの空になることばかりで。
何か心配ごとでも?」

更に投げつけそうな母を2人がかりで止めにはいる。
ちなみに使用人もいつのまにか避難している。

人間の家族とはこうも過干渉なのか。
とか思ってるとまたナイフが飛んできそうなので話題をそらす。

「そんなことないよ。それより」

適当に母親がくいつきそうな話題にすりかえて事なきをえる。
ハルトが、「わかってるよ」とでも言いたげに私にだけウィンクしてくる。

何か誤解してそうだが。

意外にといっては失礼か。
だが。しっかりと見ているのは事実だ。
しおりを挟む

処理中です...