おバカさんって言わないで

珈琲きの子

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第一章

刺激的過ぎます


「エル」

 ん……?

「エル」

 この声聞いたことあるけど。
 はっ、寝てた。

「エル。おはよう」
「ヴィ、ヴィル様!?」

 なんでいるの!? 
 今度の休みまで会えないと思ってたのに。2日しかたってないのに久しぶりに会ったような気がする。動悸が激しくなってるけど、すごく嬉しい。

「今度の休みまで我慢しようと思ってたけど、エルに会いたくなったから、来ちゃった」
「来ちゃったって……」

 来ちゃったって、来ちゃったって、なんてかわいい。いやカッコイイんですけどね、カワイイんです。カッコカワイイってやつですね。
 ちゃっかり向かいの椅子に座ってるよ。それにしても本当に自然にヴィル様は調合場に入ってくるね。

「お茶入れますね。近くまで来られる用事でもあったんですか?」
「ん? だから、エルに会いに来たんだって」
「……ほ、本当にそれだけなんですか?」
「うん。ダメだった?」
「だ、ダメだなんてそんなっ」
「じゃあいいよね」

 ヴィル様は満面の笑み。僕に会いに来てくれたなんて、天にも昇りそうな気分。いっそ、一緒に天まで飛んでいきますか、ヴィル様、天使様。

 少し調合作業が残ってたからさせてもらったけど、調合してるところを横で興味深々にみられてちょっと緊張した。失敗はしてないと思うよ。



 そして、なぜかヴィル様に子供みたいに膝の上に抱っこされてる。向かい合って座ってるから、すごく顔が近いです。

「エル、顔赤いよ」
「うっ、ちょ、ちょっと暑いですね。ま、窓開けましょうか」
「そうかな。俺は暑くないし、開けない方が良いと思うけど」
「ど、どうしてですか?」
「ん? あとのお楽しみ、かな」

 ヴィル様は当たり前のように僕に軽く口づけてくる。
 予告なく突然されるから僕は毎回数秒間は固まることになるんだけど。この余裕、ヴィル様って慣れてる。 
 やっぱり僕は遊ばれてるよね。
 でも、いいのいいの。
 ヴィル様の事大好きだから、一緒に過ごせるだけでいいんだもん。
 
 それに、軽い感じや悪戯っぽいの言動が多いけど、たまに見せる真剣な目に僕はもう骨抜きにされちゃってるんだ。会う度にいろんな表情を見せられて、近くなるほどどんどん惹かれる。
 一歩入ってしまうともう抜け出せない蟻地獄みたい。

「エル、どうしたの?」
「えっ、あ、ヴィル様が近すぎて……」
「近すぎて嫌?」
「……いえっ、そんなことないです。嬉しいんです。嬉しいんですけど、でも…」
「でも?」
「ヴィ、ヴィル様、カッコいいから近くで見ると恥ずかしくて…」
「…エル。もっと恥ずかしいことしたら、もっと近くにいるのに慣れるよ。ほら、顔上げて」
   
 ずっと俯いてお話してたけど、さすがに失礼だったかな。顔を上げるとやっぱりすごい近くにヴィル様の顔。もうそのアメジストみたいな瞳に吸い込まれそうで。
 近いなと思ったときにはもうキスされてて、でもそのキスは今迄みたいに軽いものじゃなくて。

「……ヴィ…ぅ……ふ、ん……」

 これってヴィル様の舌が入ってきてるの? 
 え、舌? 舌だってー!? 
 
 身を捩ってみたけど、一層深くまで入り込んできて、為す術なし。
 な、なんだか変な気持ち。気持ちいいのかな。よくわからない。
 耳の中に舌入れられたり、またキスされたり、って結構卑猥なことされてるけど、基本的に抵抗禁止だし、されるがまま。
 でも、き、気持ちいい。ずっとゾクゾクが止まらない。あ、これもう…………

 だめだめっ、流されちゃ。これはダメ。反応しちゃいけないところが反応しちゃって来た。どうしよう。

「……んんっ……ヴィルさまっ……だめっ。これ以上はだめですっ」

 僕は必死になってヴィル様の胸を押して口を離した。ヴィル様はとっても不服そう。

「どうして? 気持ちよかったでしょ?」
「………いいのがだめなんです…」
「やっぱり、気持ちよかったんだ。ならいいね。……それに、ほらエル、ここ元気になってる」
「……ぁっ……」

 どこ触ってるんですか! 
 さらっと撫でるようなところじゃないから!
 って、ばれてたよ、反応しちゃってたの。しかも変な声出た。もう穴があったら入りたい。

「俺もね、エルとキスして感じてるんだよ」
「ちょ、ちょっと、ヴィル様っ」

 手を取られて持っていかれたのは、ヴィル様のアレの所で服の上から触らされたよ。ヴィル様のソレは確かに硬くなっておられて、って僕何考えてるんだろう。た、確かに僕なんかに反応してくれてるのは嬉しいけど、こんなことしたことなくて、どうしていいかわからない。

「もう少し気持ちいいことしよ」
「き、気持ちいいこと……?」
「エルもお年頃だし、興味あるよね?」
「う……」

 興味はあることはあるけど、性というものに無頓着過ぎて今まで一人でしたこともないんだけど。教えてくれる人もいなかったし。ってこの展開、断れないやつだよっ。

 ヴィル様は僕の返事も待たずにまたさっきみたいなキスをして、どんどん僕の思考を奪っていく。
 ベルトを外す音とかするけど、大丈夫だよね。もう気持ちいいから、このままでいいかな。だめかな。僕の中で天使と悪魔が戦いの真っ最中。

「俺に掴まって」

 過激な刺激にぼーっとしてる僕の腕を取って、ヴィル様の首にしがみつくような体勢にさせられる。腰を寄せられて、結構な密着度合い。いつの間にか僕の上着のボタンは全部外され、前がはだけてて。ヴィル様の手が服の中に入り込んで、僕の肌を撫でた。

「エルの肌白いし、すべすべ」
「…ヴィ、ヴィル様、どこ手を入れてるんですかっ」
「どこって服の中」

 背中に腕を回されて、抱きしめられてる。さわさわと背中を撫でられて、ぴくぴくと反応しちゃう。これはくすぐったいのであって、決して気持ちいいとかじゃないよ。

「エルかわいい。ここもかわいい」

 胸をツンとつつかれる。僕女の人じゃないからそんなところ触らないで。ただの飾りみたいなもんだからね。つ、つねったりしないでっ。

「だめっ、どこ触ってるんですかっ」 
「どこって、うーん、ここ?」
「……ひゃっ……あ、あ、だめっ、そこっ」

 そこ違うよっ。今触ってたのって胸だったのに。いつの間に大気の下に晒されてたの? 本当にそこダメ。大事なところだし、汚いんだよ。ダメ、その手、やめて、動かさないでっ。
 
「……ん、ぁ…触っちゃ…やぁ……」
「綺麗な色してるし、自分でもあんまりしたことない? エルが自分でしてるとこ見たいんだけど」
「……っ……自分でなんてしたことありませんからっ」

 それは断固拒否! 
 さすがにそんなの無理。恥ずかしすぎる。
 ヴィル様の手が大事な局部から離れて、僕はホッとしながらぎゅっと瞑っていた瞼を上げた。そこには目をパチクリさせたヴィル様の顔があって。

「…えっ、と……、エルって成人してるんだよね?」
「……は、はい。16ですから」
「精通ってわかる?」
「わ、わかりますよ。た、多分してると思います」
「多分?」
「教えてくれる人とか相談に乗ってくれる人がいなくて…」
「そっか。……じゃあ、俺が一から教えてあげるから安心して」

 ヴィル様はすっごくいい笑顔。何だか教わるのが恐ろしい。

 それからヴィル様は懇切丁寧に僕の大事な部分を使って実演してくれて、僕はもう息も絶え絶えで、いろんな意味で涙を流した。


「今度はもっと気持ちいいことしようね」


 ヴィル様は熱っぽい目でそういって、僕はその眼差しにクラクラして、つい頷いてしまった。
 そして窓を開けないほうが良いというヴィル様のアドバイスを聞いておいてよかったと思った。
 
 僕には刺激的過ぎる一日だった。

 
 
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