ビフレスト ~どうやら異世界転移をしたみたいです~

とやっき

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1章 のんびりしたいね。できるよね?

第12話 パーティーは大変ですね

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「ソウスイ様、家名は何にいたしましょうか? 紋章は・・・」


 散々だ、誰か助けて!


 あれから仕立て屋に行って採寸さいすんして、服を作った。
 魔法で2時間で仕上がるらしい。

 そして夜遅くまである程度のマナーを、セイーフから叩きこまれた。
 立食パーティーなんだから、そんなにテーブルマナーはやらなくても・・・。


 そして次の日には家名を決めることに。
 家名は名字にあたる部分だ。

 考える気力がない。
 適当でいこう。


「エンシナルはいいですか?」

「問題ありません。では、旦那様のお名前は、ソウスイ・エンシナル様でよろしいでしょうか?」

 おお、思ったよりカッコいい。

 それでいこう。

「では、紋章のデザインを・・・」


 貴族って大変なんだな。
 国宝もらっといて、売れば良かった。

 2時間後には叙爵式、その後パーティー。

 ああもう、誰か代わってくれぇー。





 仕立ててもらった服で正装せいそうした俺は、セイーフさんの案内で王城に辿り着いた。

 かなり緊張きんちょうする。心拍しんぱく数も上がっている。

 手が汗ばまないように意識しながら、大きな城の中に入った。



 そして叙爵式は無事に終わり、立食パーティーに参加した。

 王様は、いかにもな王様だったな。
 ひげはめっちゃ伸びてるのに整っていた。


 そしてパーティー。
 さっきから人が集まってくる。


「子爵様は悪魔を倒されたそうですね。お話、お聞かせ下さいな」
「子爵殿。うちの娘はどうだね? 君さえ良ければもらってくれんかね?」
「子爵様!? ほ、本日は、お日柄ひがらもりょく・・・」


 貴族やそのご令嬢と、他愛ない会話をしてその場をやり過ごした。

 疲れる。これはきつい。


「旦那様。お疲れのようでしたら、そろそろお帰りになりますか?」

「ああ。少し疲れたので、今日はこの辺りで帰ろう」

 ナイスだセイーフ。

 さっきから娘とくっつけようとする、貴族のオジさんたちにからまれて困っていたところだ。

 そそくさと帰ろう。



 だがそのとき、事件は起こった。


 鳴り響く轟音ごうおんと共に、龍人リザードマンが天井を突き破って登場した。

 会場は騒然そうぜんとなって、貴族たちは逃げ回った。

 近くにいた女の子の上に瓦礫がれきが降ってきていたので、飛び込んで助ける。
 ダメージ無いとは言っても、かなり怖かったけどね。


「がははははは! 我が名は魔王レグッド! ソウスイという男を殺しに来てやったぞ!」

 なんだこいつ、知り合いにこんなのいないぞ。

「お前が、ソウスイだな。さぁ、命のうばい合いをするぞ!」

 ああ、ただの戦闘狂せんとうきょうか。

 どこから俺のことを知ったのか分からないが、折角せっかくのパーティーを滅茶苦茶めちゃくちゃにしやがって。

 まぁ、俺は帰ろうとしてたけど。


「いくぞ! 煉獄の業火パーガトリーフレイム!」


 まさか禁術か!?

〈耐性 火属性完全吸収を獲得〉


「がははは! やるではないか。次はお前の番だぞ!」

 何を言ってるんだこいつ。

「我が攻撃したのだから、次はお前だ! 早くしろ、我も次の攻撃したいのだ!」

「もしかしなくても、お前アホだろ」

「がははは! 我は賢くはないぞ!」

 まぁ、認めてるだけマシか。

「じゃあ一発いくぞ。フレイムインフェルノ!」

「ぐおおお、まだまだだ。ぜ、全然我には効かん!」

 いや、効いてるよな。
 こっそり治癒魔法まで使ってるじゃないか。

 そんなとき、一人の女性がこの場にやってきた。


「くっ、遅かったか。ソウスイ様、手をお貸しします!」

 なんか味方になってくれた。

 ごめん、理解できないわ。
 誰か説明して・・・。


「がははは! ミルガッドよ、敵になるのか! 面白い、まとめて倒してやるわ!」



 こうして魔王との死闘が幕を開けた。



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