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1章 のんびりしたいね。できるよね?
第12話 パーティーは大変ですね
しおりを挟む「ソウスイ様、家名は何にいたしましょうか? 紋章は・・・」
散々だ、誰か助けて!
あれから仕立て屋に行って採寸して、服を作った。
魔法で2時間で仕上がるらしい。
そして夜遅くまである程度のマナーを、セイーフから叩きこまれた。
立食パーティーなんだから、そんなにテーブルマナーはやらなくても・・・。
そして次の日には家名を決めることに。
家名は名字にあたる部分だ。
考える気力がない。
適当でいこう。
「エンシナルはいいですか?」
「問題ありません。では、旦那様のお名前は、ソウスイ・エンシナル様でよろしいでしょうか?」
おお、思ったよりカッコいい。
それでいこう。
「では、紋章のデザインを・・・」
貴族って大変なんだな。
国宝もらっといて、売れば良かった。
2時間後には叙爵式、その後パーティー。
ああもう、誰か代わってくれぇー。
◇
仕立ててもらった服で正装した俺は、セイーフさんの案内で王城に辿り着いた。
かなり緊張する。心拍数も上がっている。
手が汗ばまないように意識しながら、大きな城の中に入った。
そして叙爵式は無事に終わり、立食パーティーに参加した。
王様は、いかにもな王様だったな。
髭はめっちゃ伸びてるのに整っていた。
そしてパーティー。
さっきから人が集まってくる。
「子爵様は悪魔を倒されたそうですね。お話、お聞かせ下さいな」
「子爵殿。うちの娘はどうだね? 君さえ良ければもらってくれんかね?」
「子爵様!? ほ、本日は、お日柄もりょく・・・」
貴族やそのご令嬢と、他愛ない会話をしてその場をやり過ごした。
疲れる。これはきつい。
「旦那様。お疲れのようでしたら、そろそろお帰りになりますか?」
「ああ。少し疲れたので、今日はこの辺りで帰ろう」
ナイスだセイーフ。
さっきから娘とくっつけようとする、貴族のオジさんたちに絡まれて困っていたところだ。
そそくさと帰ろう。
だがそのとき、事件は起こった。
鳴り響く轟音と共に、龍人が天井を突き破って登場した。
会場は騒然となって、貴族たちは逃げ回った。
近くにいた女の子の上に瓦礫が降ってきていたので、飛び込んで助ける。
ダメージ無いとは言っても、かなり怖かったけどね。
「がははははは! 我が名は魔王レグッド! ソウスイという男を殺しに来てやったぞ!」
なんだこいつ、知り合いにこんなのいないぞ。
「お前が、ソウスイだな。さぁ、命の奪い合いをするぞ!」
ああ、ただの戦闘狂か。
どこから俺のことを知ったのか分からないが、折角のパーティーを滅茶苦茶にしやがって。
まぁ、俺は帰ろうとしてたけど。
「いくぞ! 煉獄の業火!」
まさか禁術か!?
〈耐性 火属性完全吸収を獲得〉
「がははは! やるではないか。次はお前の番だぞ!」
何を言ってるんだこいつ。
「我が攻撃したのだから、次はお前だ! 早くしろ、我も次の攻撃したいのだ!」
「もしかしなくても、お前アホだろ」
「がははは! 我は賢くはないぞ!」
まぁ、認めてるだけマシか。
「じゃあ一発いくぞ。フレイムインフェルノ!」
「ぐおおお、まだまだだ。ぜ、全然我には効かん!」
いや、効いてるよな。
こっそり治癒魔法まで使ってるじゃないか。
そんなとき、一人の女性がこの場にやってきた。
「くっ、遅かったか。ソウスイ様、手をお貸しします!」
なんか味方になってくれた。
ごめん、理解できないわ。
誰か説明して・・・。
「がははは! ミルガッドよ、敵になるのか! 面白い、まとめて倒してやるわ!」
こうして魔王との死闘が幕を開けた。
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