どこまでも醜い私は、ある日黒髪の少年を手に入れた

布施鉱平

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第一章

争奪戦

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 リディア、ミゼル、ルナの三人は、ベッドの上で少年を囲みながら牽制を続けていた。

「そもそも一緒に寝ていたのは私だ。なら、私が責任を持って彼を鎮めるべきだろう」
「……昨日わたしがセックスしたあと、ミゼルがセックスして、リディアがセックスした。……順番的に次はわたし」
「わ、私が朝勃ちの情報を持ってきたんだから、私にも、その、権利はあると思うの」

 誰もが自らの正当性を主張して譲らない。

 今までこんなふうにお互いの意見がぶつかり合うことなどなかった。
 
 リディアは全体の和を重視するため自分の要求は後回しだったし、ミゼルは意見を言って誰かと争うくらいなら自分の意思を押し込めるタイプだった。

 そしてルナは、そもそも議論の輪に加わることがほとんどなかった。

 その三人が、譲れないことのために自分の意思を押し通そうとしている。

 これは喜ばしい変化なのだろうが、当事者たちにそれを喜べるような精神的余裕はなかった。

 誰もが心から少年とのふれ合いを、少年とのセックスを望んでいるからだ。

「…………」
「…………」
「…………」

 言うことを言い切った三人は、無言で見つめていた。
 互いを、ではない。

 未だ硬さを保ち続けている、少年のチンポをだ。

 居た堪れないのは少年だった。
 三方向から取り囲まれ、自分の朝立ちを無言でじっと見つめられているのである。

 恥ずかしさのあまり隠そうとしても、三人のうち誰かの手が伸びてきて、そっと少年の手を払いのける。

 紛う事なき羞恥プレイだ。

「ここはひとつ、勝負といかないか?」

 膠着状態に焦れたリディアが、提案を持ちかけた。

「……方法は?」
「ぼ、暴力的なのは反対よ?」

 二人もそれに乗り気だった。
 なにせ、あまり長いこと時間をかけてしまうと、少年が萎えてしまう可能性がある。

「もちろんそんなことはしない。勝負の内容は────誰が最初に彼をイカせるか、だ」

 リディアは、少年のチンポを指差しながらそう言った。




 ◇


 リディアが提案したルールは単純だった。
 
 制限時間は三分間。
 その時間内にセックス以外の方法で少年のチンポを刺激し、一番最初に少年を射精させた者が朝勃ちセックスをする権利を得る、というものだ。

「さて、その少年に奉仕する順番だが……最初にやりたいという者がいるなら、私は譲ろう」
「…………」
「…………」

 すでに、心理戦が始まっていた。
 
 誰だって一番最初に少年のチンポに触りたい。

 だが、制限時間は三分しかないのだ。
 最初の三分で少年を射精させられるかと考えると、それは難しいように思える。

 初めての時こそ、リディアに舌で舐められてすぐに射精してしまった少年だったが、この三日間セックスに明け暮れたせいでその耐久力はかなり上昇しているのだ。

 少年の耐久力を考えれば、おそらく最も可能性が高いのは三番目に奉仕をする者だろう。

 しかし、それも確実ではない。

 もし二番目の者が少年をイカせてしまったら、三番目の者は少年に触れることすらも出来ずに、指を咥えてセックス待ちをしなければならなくなるのだ。

「……わたしは、二番目でいい」
「わ、私も……」

 だから、二人は最も安全パイである二番目を取ろうとした。
 しかし────

「なら、私が一番で構わないな?」
「……む」
「えっ?」

 リディアは、笑みを浮かべながらそう言った。

 自信有り気な笑みを見せつけられて、二人の意思が揺らぐ。
 なんといっても、少年と一番長い時間を過ごし、最も多くのセックスをしたのはリディアなのだ。

 最初を選ぶ、何らかの根拠があるのかもしれない。

「いいんだな? 私が一番で」

 リディアが念を押してくる。

 ルナとミゼルは、必死に思考を働かせて悩んだ。
 本当に、リディアに一番目を渡してしまっていいのか。
 実は一番目が、最も可能性が高いのではないか。

「じゃあ、まず私が……」
「わ……私が! 私が、最初にやります!」

 リディアが宣言しようとした瞬間、それに割り込んだのはミゼルだった。
 これがリディアの策略である可能性は高かったが、もしそうだったとしても、一番目にもメリットはあるとミゼルは考えたのだ。

 なんといっても一番最初に少年に奉仕することができるのだし、ダメだった場合でもセックスの順番も奉仕の順番と同じになるから、三番目の者が少年を射精させれば、一巡して二番目にセックスをすることができる。

 それに万が一、三番目の者でも少年を射精されられなかった場合には、二度目の奉仕の機会を得ることが出来る。
 そして、そこで少年を射精させることができれば、二回も少年に奉仕をすることができるうえに最初のセックス権を得ることが出来るのだ。 

 ミゼルはこの一瞬で、それだけのことを考えていた。

「そうか。私に異存はない」
「……わたしも。……わたしは二番でいい」

 リディアとルナが納得し、順番は決まった。

 まず最初は、ミゼルである。

 他の二人がベッドの端に移動し、ミゼルは少年と向かい合った。
 
「あの、それじゃあ……するね?」
 
 これから何が行われるか、この三日間の経験から少年は察しているのだろう。

 仰向けに寝そべったままで顔を赤くし、こくり、と頷いた。
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