そうだ、勇者を喚ぼう ~亡国の王女の決断~

布施鉱平

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第二章

ロリーナの想い

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 ────ロリーナ・ペ・ド・フィリアは激怒していた。
 
 必ずや、命令不服従という大罪を犯した勇者マサオを、従順な下僕に調教し直さねばならぬと決意した。

 ロリーナには人の心の機微が分からぬ。
 ロリーナの周りには、心をさらけ出して接してくれる者など、ただの一人も存在しなかった。
 
 誰もが薄っぺらい微笑みの仮面を顔に貼り付け、ロリーナの言葉にただ従うだけだった。

 それでもロリーナは、マサオが自分の命令をスルーしたことを敏感に察知した。

 しかも、二度もだ。

 確かにロリーナは、突如として現れた女騎士────革命軍の幹部であったジャンヌという女の処刑を、マサオに命じたはずだった。

 だがマサオは、そんなロリーナの命令を、聞こえなかったふりをするというあまりにも幼稚な方法でスルーしたのだ。

 それどころか、主であるロリーナを差し置いて・・・・・、そのジャンヌという女騎士と『気持ちいいこと』を始めてしまったではないか。

 後ろからジャンヌに覆い被さって腰を振るマサオの姿に、ロリーナは眉を顰めた。

 心の底から、怒りとも苛立ちともつかぬ不愉快な感情が湧き上がってきて、枝を握りしめる手に力が入った。

 そしてその感情のまま振り上げた枝を、マサオの尻に全力で振り下ろそうとして────ある事に気がついた。

 マサオの体に、なにか半透明の膜のようなものが重なって見えたのだ。

 じっと目を凝らしてその膜を見つめていると、それは揺らめきながら次第に人の形を取り始めた。

 やがて完全に人の姿に変化したその存在は、どうやら金色の髪を持つ、胸と尻の大きな女性であるように見えた。

 ははあ、とロリーナは得心がいった。

 これまで従順だったマサオが急に命令を無視したのも、ロリーナを放置してジャンヌと『気持ちいいこと』を始めたのも、このデカ尻巨乳金髪女に操られているからだと思ったのだ。

 ロリーナは詩人に語らせた寝物語で、似たような話を聞いた覚えがあった。

 細部はもう覚えてはいないが、たしか『外宇宙から飛来した不定形の物体Xが次々に人の体を乗っ取ってうんたらかんたら……』という話だったはずだ。

 いったいこの世界の詩人は、寝物語を何だと思っているのか。

 ……ともかく、マサオはいまその物体Xとやらに乗っ取られている状態なのだろう。

 そう思った途端、理由は分からないが、ロリーナは胸の奥に燻っていた不快感が少し晴れた気がした。

 そして少し心の平穏を取り戻したロリーナは、物体Xが飽きてマサオの体から出ていくまで、二人を観察することに決めた。

 毎晩マサオと夢の中で『気持ちいいこと』をしているロリーナだが、他人のそういった行為を見るのは生まれて初めてだからだ。

 ロリーナはしゃがみ込んで、マサオの巨大なチ☆ポが出入りしているジャンヌのマ☆コを興味深く観察した。

 ジャンヌのそれはロリーナのものとは違い、一本の筋ではなく、花弁のようにひだが重なった形状をしているようだった。

 その襞が、マサオのチ☆ポが突き込まれるたびに内側へ巻き込まれ、引き抜かれるたびに外に引きずり出され、もみくちゃにされていた。

 どう見ても痛そうに見える。

 だが、ジャンヌに痛がるような様子はない。
 
 獣のような悦びの声を上げ、むしろ自分からマサオに腰を押しつけているようにも見えた。

 ……二人の行為に触発されたのか、気づけばロリーナも、自らの股間を指で弄っていた。

 ズボン越しの刺激にもどかしさを感じたロリーナは、なんの躊躇もなく下半身に身につけていたものを脱ぎ捨てる。

 そして指を一本、未成熟な割れ目に擦りつけて愛液でコーティングした後、中に挿入した。



 ここ数日、何度も自分で弄っていたからか、指先は抵抗なくすんなりと入った。

 普段はこのまま入り口の辺りをくちゅくちゅと弄り回すのだが、今回はさらに奥の方まで入れてみる。

 だが、第二関節の辺りまで挿入したところでわずかな痛みを感じ、ロリーナは指を引き抜いた。

 夢の中ではマサオの巨大なチ☆ポすら根元まで入るのだが、やはり現実ではまだまだ経験不足のようだ。

 ……ロリーナは不満だった。

 夢の中での強烈な快楽を知っているだけに、現実の世界でそれを味わえないのが納得いかないのだ。

 未だにロリーナは、夢の中以外で絶頂を迎えたことはない。

 あの頭の中が真っ白になるような快感と浮遊感を味わいたくて、何度も自分で弄ってみたが、どうしても最後までいくことが出来なかった。

 もしかしたら、夢と同じように・・・・・・・すればいいのかも知れない。

 だが、それはつまり、マサオの股間にぶら下がっている巨大なチ☆ポを自分の中に入れる、ということだ。

 夢の中でも、最初に入れられた時はものすごく痛かった。
 
 おそらく現実でも、最初に入れるときは同じくらい痛いのだろう。
 ロリーナの細い指ですら痛みを感じるのだから、もしかしたら夢よりももっと痛いのかも知れない。

 それが、ロリーナを躊躇させていた。

 ……ロリーナが悶々とした欲求不満を感じながらも割れ目を弄っていると、目の前でマサオとジャンヌが絶頂した。

 一番深いところで射精されたのだろう。
 
 すでにチ☆ポが引き抜かれ、ジャンヌのマ☆コは大きく開いたままになっているというのに、流れ出てくる精液の量は少ない。

 絶頂の余韻に尻や太ももを痙攣させるジャンヌを、マサオ……に憑依した物体Xが跪かせ、強引にチ☆ポをしゃぶらせていた。

 それは、ロリーナの初めて見る行為だった。

 チ☆ポを口に入れるなど、正気の沙汰ではない。
 
 口に入れていいのは美味しい食べ物とお菓子、そして飲み物だけだ。

 だが、ロリーナはふと、夢の中での行為を思い出した。

 夢の中であろうと、ロリーナはマサオのチ☆ポを口の中に入れたりはしていない。
 だがマサオは、何度もロリーナの割れ目を舌で舐めていた。

 そして、その行為でも、ロリーナは絶頂していたのだ。


 …………


 ……


 ロリーナは、いいことを思いついた。

 それはマサオに従順な下僕としての立場をわからせ、同時にロリーナも気持ちよくなれる、一石二鳥の手段だった。

 悪い笑みを浮かべながら、ロリーナはズボンを履き直すと、落ちていた枝を手に取った。

 まずはいつも通りに枝で、マサオを躾なければならないからだ。
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