呟きの箱

十四年生

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言葉の魔法使い

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言葉の魔法使い

言葉を使う魔法使いは
心を砕き魔法をなくす
一枚の紙世界を写す
瞳の奥で世界が壊れた

真実を探す魔法使いは
あけてはならない
パンドラの
箱のふたに手をかけ
力をこめて
禁断の実を願った

忘れるべきか
思い出したか
悪夢の始まりの炎を
くべて燃やした
想いの焚き木
色鮮やかに悲しく燃える

硬きものには勝てない
強きものには奪われる
優しきものにはなれない
呪いの言葉はふりかかり

流せど消えぬ雨のしずくが
体を頬を両手を濡らす
怨嗟の文字の刻まれた手を
土に叩きつける

忘れるべきか
思い出したか
悪夢の始まり炎を
燃やし尽くした
想いの城は
骨木も残さず塵と化す

言葉を使う魔法使いは
心を砕き呪いを話す
一枚の紙世界を写し
瞳の奥で世界は燃えた

言葉を使う魔法使いは
心をなくし呪いに変わる
一枚の紙世界を写し
瞳の奥で世界は消えた

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