呟きの箱

十四年生

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うまく生きていれば

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うまく生きていれば

生きることを考えて
長い時を過ごしたけれど
結局答えは出ないまま
棺桶の淵が見えてきた

知らないままでいられれば
幸せなことばかりが
蓄えた知識になって
手前でブレーキがかかる

大人になる前にはもう
頭は年をとっていた
誰よりも不幸せなことを
噛みしめていた

他人の言うことなんて
当てにはならないけれど
評価をつけるのはいつも
何も知らない他人だ

うまく生きていければいいなと
淡い期待を覚えて
重ねる努力は何も報われないけれど
うまく生きていければいいなと
切なる思いを込めて
今日も空の青さが目に染みた

悩みがつきないで
長い時を過ごしたけれど
結局悩みは溶けないまま
棺桶の淵が見えてきた

感じないままでいられれば
幸せなことばかりが
刻んだ傷になって
手前でブレーキがかかる

大人と呼ばれる前にはもう
心は崩れていた
誰より無意味なことを
噛みしめていた

他人を信じることなんて
言い訳にならないけれど
裏切られるのはいつも
何も知らない自分だ

うまく生きてければいいなと
淡い期待を信じて
重ねる絆はなかなか報われないけれど
うまく生きていければいいなと
重なる思いを込めて
今日も空の青さが目に染みた

ちぎれた白い雲
変わらない風が吹いて
暖かい木漏れ日に
目を細めるけれど

うまく生きていければいいなと
淡い期待を覚えて
重ねる努力は何も報われないけれど
うまく生きていければいいなと
切なる思いを込めて
今日も空の青さが目に染みた

切なる願いを込めて
今日も空の青さが目に染みた

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