呟きの箱

十四年生

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冷たい笑顔

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冷たい笑顔

あれだけ何でもできる体だったのに
気が付けばいつの間にかボロボロだ
誰にも負けたくないと思いながら
強いられて生きられるのは辛かった

正しくありなさいと清くありさないと
あなたは言うけどそんな人は世界にいない

正しくあろうとすればするほどに
艱難辛苦削れていく

どうすればいいのだろうって
何度も考えてやってみた
せめて誰かを愛していられれば
こんなに悲しくならないのか

あれだけ何でも平気だったのに
気が付けばいつの間にかボロボロだ
倒れそうになっても歯を食いしばって
手をつき無理やり立ち上がってた

優しくありなさいと強くありなさいと
あなたは言うけどそんな人は世界に居ない

優しくあろうとすればするほどに
満身創痍傷を受けていく

どうすればいいのだろうって
何度も転んでやってみた
せめて誰かを救っていられれば
こんなに苦しくならないのか

世界は冷たく隣人は遠く
お金は細く汚いまま
心は痩せて想いは凍って
手に残るのは一枚の銅貨
これじゃパンさえも買えやしない
紛い物の救世主にはお似合いの末路
路地の裏

どうすればいいのだろうって
何度も考えてやってみた
せめて誰かを愛していられれば
こんなに悲しくならないのか

せめて自分を愛せるのならば

こんなに冷たい笑顔にならなかったんだろうか

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