何もしたくないって言ったのが叶ったのに、どうやら何かしないといけないようです。

十四年生

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16話

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それから数日後、メートがアナとそれに長を連れて一緒にやってきた。メートは今は嬉しそうな顔をしてお菓子を頬張っている。外で話すのも失礼かと思い、一応長を『プレイス』の中へ招待する。



 長はずいぶん驚いていたが、落ち着けそうな紅茶を出巣ころには落ち着いてくれたらしい。どうやら今日は事の顛末の報告と何か重大なお願いがあるらしい。



「メートの父であり長のエルトンである」

「どうも、アメミヤです」



 緊張するんだよねこういうの……、お礼と、報告、簡単にまとめるとこういうこと。



 クロウ一族はほぼ全滅したらしい。とはいえ、あの辺りのというのがつくのだが。これでしばらくは安全にいられるんじゃないかとのこと。何とか生き残って捕虜になっていたクロウ族によると、クロウ族に囲われていた人族がいたらしく、それの指示でクロウ族の長の息子が暴走したというのが事の顛末らしい。捕虜として保護したクロウ族については鳥族の会議で近いうちに決めるらしい。



「そうですか……何はともあれ、皆さんは無事でよかったです」

「あぁ……アメミヤ殿に関しては、わが娘をあの篭から救い出してくれたこと本当に感謝している」

「いえいえ……」

「だが、どうしても困ったことになっていてな」

「といいますと?」



 どうやらここからが長の本題らしい。ただ何となくは気づいている、少なくとも何かの頼みごとなのだろうな。そういえば、あれだけ煩かったメートが実はここに来てからニコニコしているだけで全く話してこない。これは……もしかしたら……。



「実はなメートの声が出なくなったのだ」

「あぁ……そうでしたか……」



 やはりそうだったようだ。メートの声は出なくなっていた。ニコニコしてはいるけど内心不安だろうな。だからアナも少し不安そうだったのか……。だが相違は言われても俺の治し方なんて知らないぞ? どうしろというつもりなんだ?



「お願いというのは他でもない、あの結界のかかった篭を破れ、しかも安全な移動手段を持っている。そのアメミヤ殿にどうか娘をある場所まで連れて行ってほしいのだ」

「連れていけばいいので?」

「それで構わない、お願いできないだろうか」



 エルトンが深く頭を下げる。必死の願いが伝わる。俺としてはあまりこういことには……困ったなぁという顔をしていたら、メートがこっちを見て首を振る。そしてニコッと笑う。



 あぁ……もう仕方ないな……そんな顔をされたら断れないだろ……。



「わかりましたよ……乗りかかった船だし、いいですよ。それにメートが困っているんですしね」

「おお、そうかありがたい、ありがたい! 一応護衛としてアナをつけるので、好きに使ってやってほしい」



 頭をかきながら、困ったように俺が話を受けると、メートが少し嬉しそうに微笑む。ははは、そっちのがいい顔だようん。



「ありがとうアメミヤ私の事は君の手足だとでも思って、好きに使ってほしい」



 アナがまた大袈裟に俺に傅いて臣下の礼をとる。うん、それ長の前でやったらだめだろう。いいのか? 長。



「おお、アナよ助かるぞ。うむ、其方の主はこれより命がとけるまではアメミヤ殿とする。しっかりと仕えるのだぞ」

「はい! 長! この命に代えてもお嬢様とアメミヤ様をお守りします!」



 あぁ、いいんだねぇっていうか、そこまで言わんでもいいよ? あと様ついちゃってるけどそれいらないからね。なんか俺そういうの苦手だし。



「あぁ、そうそう。まぁ堅苦しいのは置いときまして、どこにお嬢様を連れていけばいいので?」

「おお、いかんいかん。ハーピー族に伝わる秘薬を貰いに行ってほしいのだ」

「ほう、秘薬?」

「そうじゃ、その秘薬は『セイレーンの雫』といってセイレーンが持っている。ここから西にある、嘆きの岬へ行けば、かつての古い友がいる。その者へ頼んで欲しいのだ。これはその手紙だ」



 セイレーンかぁ~あれもそういや、歌うものねぇ。



 かくして俺は声が出ないが嬉しそうなメートと、すっかり俺の騎士みたいになっているアナと共に、秘薬を求めて嘆きの岬へ行くことになる。この先が楽なのかどうかは知らない。でも、まぁ嫌ではない……嫌ではないが…。



『う~ん俺はできれば何もしたくないって言ったんだけどなぁ……』



 そんな俺の呟きに少年神は何も答えない。

 代わりにレベル三から四になったことだけは告げるのであった。



『おめでとう~四レベルになったよ~♪』



 第一章 終了
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