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2.朝(r-18)
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「今日は弟が来るんだったか?」
平日の朝の時間、蒼さんを見送るため一緒に玄関まで向かえば、蒼さんが靴を履きながら聞いてきた。今日の予定はすでに昨夜のうちに確認し合っていたのに、念のための確認だろうか。
俺は昨日と同じように頷きながら答える。
「はい。弟が久しぶりに遊びに来たいって言うので。本当なら蒼さんがいる時に来てもらえれば良かったんですけど、時間が合わなくてすみません」
「俺のことは気にしなくていい。むしろせっかくの兄弟水入らずの時間だろう? 邪魔するのも悪いしちょうどよかったよ」
「あいつも蒼さんのこと好きだから会いたがっていたんですけど」
脳内には自分よりも図体がデカくなった弟――渚佐の顔が浮かぶ。二つ下の渚佐はお調子者で元気で頑丈なところくらいしか取り柄がないが、この春めでたく就職した。日々を忙しく過ごしており会う暇もなかったが、ここに来てようやく時間が取れるようになったから遊ぼうと連絡があった。俺はあまり外出が好きではないので悩んでいたが、蒼さんから家で会えば良いと言ってもらえたため今日の午後に会うことになっている。渚佐は義兄に当たる蒼さんを慕っており今日も会いたがっていたが、さすがに平日の昼間では難しいため諦めたのだ。
「そう言ってもらえて嬉しいよ。今度は皆でご飯にでも行こうか」
「本当? 皆喜びます」
「じゃあいつも通り帰って来るから。何かあったらすぐ連絡するんだぞ、和佐」
「ん、行ってらっしゃい」
鞄を渡せば、蒼さんはそれを受け取りながら俺の体を引き寄せる。あ、と思ったのもつかの間、キスをされる。唇が重ねられて反射的に唇を開ければ舌を差し込まれた。
「ん」
後頭部と腰に手を回されると俺に逃げ場はない。抵抗したとしても腕力では敵わないため、口内を舐め回されるのを受け入れるしかなかった。
「ま、待って、あおい、さん」
「ん、気持ちいいか?」
「ぅ、ん」
「舌出して、和佐も舐めて、吸って」
「ん、む」
言われた通り、蒼さんの口内を舐めて、舌を絡めて、吸う。いつも出勤前にするようなキスではないと思うが、蒼さんは言ってもやめてくれない。前に一度拒んだら「じゃあ仕事休むか」なんて言い出して一日中色々なところにキスをされたことがある。仕事前は軽いキスだけにしようと、軽い気持ちで拒んだだけなのに。それ以来、俺は蒼さんのキスを拒むことはやめた。少しの抵抗は見せるけど。
「ぁ、あおい、さん、ん、たちそ、ゔ」
「昨日もいっぱいしたのに?」
「きす、するから」
「若いな」
蒼さんが揶揄うように笑う。若いと言っても五歳しか違わないし、好きな人とエロいキスをすれば誰だって興奮する。
俺はムッとして睨めば、蒼さんは「可愛い顔してる」とやっぱり笑った。
「可愛くねえよ」
「可愛いだろ。エッチする?」
「……しないって」
「一回抜かなくていいのか? 弟と会うのに欲求不満顔なんて見せられないだろう? 和佐の精液飲んでやる。昨日もたくさん出したから薄いか?」
にこにこと綺麗な顔で下品なことを言う蒼さん。こちらの反応を楽しんでいるようにしか見えない。
「まだ恥ずかしい? もう何年も飲んでるのに」
「もうそういう話はいいですから。早く仕事行かないと」
少し顔を背けながら蒼さんの体を追いやる。もう蒼さんの送迎車は下で待っているはずだし、自分のものを飲ませてから送り出したくない。
「和佐? 早く下脱ぎなさい」
「……本当に、ダメだって」
「勃ってる」
「自分で何とかする」
「はは、それはダメ。無理やりするぞ」
「もゔ!」
俺の怒り半分のその叫びを無視して、蒼さんは宣言通り力づくの方法を取ってきた。俺の両手首を片手で拘束し、ズボンと下着をズラす。少し兆し始めている中心が現れてすぐ、蒼さんはわざとらしく「あーん」と言いながら咥えた。
「っぁ」
舌と上顎で適度な強さで圧迫されると一瞬で体温が上がる。全身の熱がそこだけに集中するようだった。
「和佐、早く出しな」
優しい声の命令に、俺の体は耐えることもなく口内へと吐き出してしまう。
「あぁ、やっぱ薄い」
「……ばか、やろ」
蒼さんがコクッと喉を上下させる様が見え、思わず目を逸らす。奉仕されることが当たり前のアルファが、常に人の上に立ち周囲から憧憬と畏怖と賞賛を向けられている蒼さんが、『奉仕する側』に回っていることが何年経っても慣れないのだ。膝をついて一身に男のものを咥えて舐めて吸い、最後は吐き出されたものを飲む姿は、きっと他のアルファからしたあり得ないと驚愕するだろう。……俺だって未だに信じられない。
「はは口が悪いな。じゃあ、そろそろ本当に行くから」
「え待って口ゆすいでください」
「時間がないからいい。向こうでゆすぐ」
「は?」
スーツを整えただけで蒼さんが玄関を出ようとする。その腕を掴んで口内の洗浄をさせようと思ったのに、軽く唇にキスをされただけでどんどんと出て行ってしまった。一人残された俺は、呆然と閉められます扉を見つめながら「最悪」と小さく悪態を吐くしかなかった。
平日の朝の時間、蒼さんを見送るため一緒に玄関まで向かえば、蒼さんが靴を履きながら聞いてきた。今日の予定はすでに昨夜のうちに確認し合っていたのに、念のための確認だろうか。
俺は昨日と同じように頷きながら答える。
「はい。弟が久しぶりに遊びに来たいって言うので。本当なら蒼さんがいる時に来てもらえれば良かったんですけど、時間が合わなくてすみません」
「俺のことは気にしなくていい。むしろせっかくの兄弟水入らずの時間だろう? 邪魔するのも悪いしちょうどよかったよ」
「あいつも蒼さんのこと好きだから会いたがっていたんですけど」
脳内には自分よりも図体がデカくなった弟――渚佐の顔が浮かぶ。二つ下の渚佐はお調子者で元気で頑丈なところくらいしか取り柄がないが、この春めでたく就職した。日々を忙しく過ごしており会う暇もなかったが、ここに来てようやく時間が取れるようになったから遊ぼうと連絡があった。俺はあまり外出が好きではないので悩んでいたが、蒼さんから家で会えば良いと言ってもらえたため今日の午後に会うことになっている。渚佐は義兄に当たる蒼さんを慕っており今日も会いたがっていたが、さすがに平日の昼間では難しいため諦めたのだ。
「そう言ってもらえて嬉しいよ。今度は皆でご飯にでも行こうか」
「本当? 皆喜びます」
「じゃあいつも通り帰って来るから。何かあったらすぐ連絡するんだぞ、和佐」
「ん、行ってらっしゃい」
鞄を渡せば、蒼さんはそれを受け取りながら俺の体を引き寄せる。あ、と思ったのもつかの間、キスをされる。唇が重ねられて反射的に唇を開ければ舌を差し込まれた。
「ん」
後頭部と腰に手を回されると俺に逃げ場はない。抵抗したとしても腕力では敵わないため、口内を舐め回されるのを受け入れるしかなかった。
「ま、待って、あおい、さん」
「ん、気持ちいいか?」
「ぅ、ん」
「舌出して、和佐も舐めて、吸って」
「ん、む」
言われた通り、蒼さんの口内を舐めて、舌を絡めて、吸う。いつも出勤前にするようなキスではないと思うが、蒼さんは言ってもやめてくれない。前に一度拒んだら「じゃあ仕事休むか」なんて言い出して一日中色々なところにキスをされたことがある。仕事前は軽いキスだけにしようと、軽い気持ちで拒んだだけなのに。それ以来、俺は蒼さんのキスを拒むことはやめた。少しの抵抗は見せるけど。
「ぁ、あおい、さん、ん、たちそ、ゔ」
「昨日もいっぱいしたのに?」
「きす、するから」
「若いな」
蒼さんが揶揄うように笑う。若いと言っても五歳しか違わないし、好きな人とエロいキスをすれば誰だって興奮する。
俺はムッとして睨めば、蒼さんは「可愛い顔してる」とやっぱり笑った。
「可愛くねえよ」
「可愛いだろ。エッチする?」
「……しないって」
「一回抜かなくていいのか? 弟と会うのに欲求不満顔なんて見せられないだろう? 和佐の精液飲んでやる。昨日もたくさん出したから薄いか?」
にこにこと綺麗な顔で下品なことを言う蒼さん。こちらの反応を楽しんでいるようにしか見えない。
「まだ恥ずかしい? もう何年も飲んでるのに」
「もうそういう話はいいですから。早く仕事行かないと」
少し顔を背けながら蒼さんの体を追いやる。もう蒼さんの送迎車は下で待っているはずだし、自分のものを飲ませてから送り出したくない。
「和佐? 早く下脱ぎなさい」
「……本当に、ダメだって」
「勃ってる」
「自分で何とかする」
「はは、それはダメ。無理やりするぞ」
「もゔ!」
俺の怒り半分のその叫びを無視して、蒼さんは宣言通り力づくの方法を取ってきた。俺の両手首を片手で拘束し、ズボンと下着をズラす。少し兆し始めている中心が現れてすぐ、蒼さんはわざとらしく「あーん」と言いながら咥えた。
「っぁ」
舌と上顎で適度な強さで圧迫されると一瞬で体温が上がる。全身の熱がそこだけに集中するようだった。
「和佐、早く出しな」
優しい声の命令に、俺の体は耐えることもなく口内へと吐き出してしまう。
「あぁ、やっぱ薄い」
「……ばか、やろ」
蒼さんがコクッと喉を上下させる様が見え、思わず目を逸らす。奉仕されることが当たり前のアルファが、常に人の上に立ち周囲から憧憬と畏怖と賞賛を向けられている蒼さんが、『奉仕する側』に回っていることが何年経っても慣れないのだ。膝をついて一身に男のものを咥えて舐めて吸い、最後は吐き出されたものを飲む姿は、きっと他のアルファからしたあり得ないと驚愕するだろう。……俺だって未だに信じられない。
「はは口が悪いな。じゃあ、そろそろ本当に行くから」
「え待って口ゆすいでください」
「時間がないからいい。向こうでゆすぐ」
「は?」
スーツを整えただけで蒼さんが玄関を出ようとする。その腕を掴んで口内の洗浄をさせようと思ったのに、軽く唇にキスをされただけでどんどんと出て行ってしまった。一人残された俺は、呆然と閉められます扉を見つめながら「最悪」と小さく悪態を吐くしかなかった。
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