【R18】陰陽の聖婚Ⅰ:聖なる婚姻

無憂

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7、婚約

戯れ*

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 首筋を撫でていた手が顎へと遡り、さくらんぼのように艶やかな唇に親指で触れる。先ほど自身の唇で散々堪能した柔らかなその弾力を楽しむように、ゆっくりとなぞり、少し開いた唇の端から口の中へと指を侵入させ、真珠のように輝く皓歯を辿っていく。
 腰にあてられていた片方の大きな手がゆっくりと脇腹を這いあがり、胸の膨らみに至り、服の上からそれを覆う。そうっと揉みこまれて、あまりのことにアデライードが硬直した。

「ふむ……私の手にちょうどよいな……柔らかい……」

 やわやわと動いていた手の指先が、薄物を通して頂きを優しく刺激し、立ち上がってきた尖りをつまみあげた。

「っ―――!!」

 二本の指で優しく摘ままれ、くりくりと刺激されると、身体の奥底から甘い疼きが背筋を伝って電流のように這いあがってくる。アデライードは未知の感覚に恐慌を来し、全身を使って逃れようと暴れるが、男の力強い腕に難なく抑え込まれ、さらにもう片方の乳房に服の上から男の顔を押し付けられ、ざらりと舌で舐め上げられた。薄い絹の布地は唾液で湿り、立ち上がった小さな尖りが布地を押し上げている。

 「はあ、これはこれで煽情的な光景だな」

 男は小さく呟くと、片方の乳房を掌全体で包んで揉みしだきつつ、先端の尖りを指の間で挟んで刺激を続け、もう片方の乳首を服の上からパクリと口に含んだ。途端に、アデライードを再び未知の感覚が突き抜け、大きく喉を反らし、アデライードは荒い息を吐く。身体を捩り、両手で男の肩を掴んで、奥底から沸き起こる感覚に耐える。
 男は、今度は両手で乳房を揉み込みながら、唇を胸元から鎖骨を伝って白い首筋に這わせ、舌と唇でねっとりと愛撫しながら耳朶に至り、耳飾りごと口に含んで甘噛みした。
 はあっはあっとアデライードが荒い呼吸を吐き、両手で男の肩を握りしめ、爪をたてる。

「こうされると気持ちいいだろう。力を抜いて、私に身体を預ければいい。ほら……ここをこんなに立ち上がらせて……表情も蕩けそうだ。ほら、啼け――啼けば言うことを聞いてやる」

 耳と両胸と、同時に与えられる甘い刺激にアデライードは身を捩らせ、ますます息を荒らげる。両手の親指と人差し指で頂点の尖りをくりくりと弄られ、アデライードは白金色の髪を揺らして頭を振った。

「はあっ……あっ……ああっ」
(声が――?)

 自分の出した声に驚愕して目を見開くアデライードの顔を満足気に見下ろしながら、男はなおも胸を弄び続ける。

「はっ、……あああっ」
「ああ、可愛い声だ。甘くて、愛らしい――。もっと聞かせてくれ」

 アデライードの翡翠色の瞳が涙で潤んで、眦から次から次へと涙が零れ落ちる。

「どうして欲しい?口で言え。口で言わねば、このまま続ける。いいのか?もっと散々に弄んで啼かせ続けるぞ」

 意地悪そうに笑いながら再び首筋に吸い付かれ、アデライードは十年ぶりに喉を震わせた。

「い……や……、や……め……て………」

 その言葉に男はふっと両手の動きを止め、もう一度唇を塞いだ。それを離し、涙でぼろぼろになったアデライードの頬の涙を指先で拭いながら、言った。

「やはり、ちゃんと声は出せるのだな。……もう、あの女は二度と近づけさせぬから、これからはきちんと口で話せるな?」

 アデライードは男を見上げてはくはくと口を動かした。

「あ……や……?」

 十年間使わなかった舌は上手く動いてはくれず、唇は動揺のあまりわなないた。男はあくまで穏やかに、優しく笑う。

「十年も、あの女を恐れて口をきかなかったのだ。急に喋れないのは仕方がない。焦らなくてもいい。ただ、喋ろうとしなければ、永久に声が出なくなるぞ。もう、何も怖がることはない。だから、声を取り戻せ」

 涙を弾くように瞬きを繰り返すアデライードの翡翠色の瞳を見つめ、男はこつんと額と額をぶつけ、大きな手で優しくプラチナブロンドを梳く。その仕草があまりに優しくて、アデライードはただただ混乱するばかりだ。
 
「可哀想に……随分と怯えていたのだな……もう、大丈夫だ」

 黒い瞳を眇めて穏やかに微笑む男に、アデライードはずっと心の中で追い求めた少年の面影を見出だし、ほとんど声にならない声で呟く。

「シ……ウ……リン……?」

 その瞬間、男の目が極限まで見開かれたと思うと、そこに深い悲しみが宿る。だが、それを隠すかのように無言で眼を閉じると、再びアデライードの唇を塞いだ。角度を変えて続けられる深く熱く、焦がれるような口づけの後で、男はほとんど聞き取れないような声で、アデライードの耳元で囁いた。

「私の名前はシウリンではなくて、……ユエリンだ」

 涙に塗れた頬と目尻に唇を這わせて涙を拭い、男は愛おしそうにアデライードの髪を撫で続けている。

 シウリンとよく似た、同じ〈王気〉を持つ男――。
 でも、シウリンではない、男――。
 アデライードは混乱のまま、瞼を閉じる。長い睫毛が頬に陰を作るのを、男は痛ましい思いで見て、その青白い薄い瞼に口づけた。
 長い睫毛を伏せて少し震えるアデライードを恭親王は再び強く抱きしめ、再び唇を奪おうとした時――強く窓を叩く音がして、恭親王は不快げに眉を寄せる。

 「殿下――お取り込み中のところ申し訳ないっすけど――敵襲っす。囲まれてるっすよ」
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