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19、家出娘と最弱の騎士
騎士になりたい!
赤い髪をしてひょろ長い男は、まだ二十歳前の子供っぽさを残した顔を蒼ざめさせ、唇を噛んで長い前髪の陰から恭親王をじっと睨みつけている。髪の色だけでなく、そういう表情もこの二人はよく似ている。
「お前はどうしたいのだ。声が出ないならともかく、どもりはしても喋ることはできるのだろう?どれだけどもろうとも、ちゃんと聞いてやるから、言いたいことがあれば、口に出して見ろ」
そう言って、挑むような黒い瞳で恭親王に見据えられて、ランパはそのまま無言で立ち尽くしていた。
「お前はどうしたいのだ。何がやりたいのだ。どうなりたいのだ。何でもいいから言ってみろ。実現可能か否かは、その後のことだ」
「お……お……お……」
ランパが絞り出すような声で何か言いかけるものの、言葉にならずにもどかしさだけが高まる中で、我慢できなくなったのか、ミハルが庇うように言った。
「殿下、ランパは喋るのが不得意で――」
「口を出すな!」
一刀両断するかのような厳しい舌鋒で、ミハルの口出しを切り捨てる。
「今、喋ろうとしている。お前がそうやって先回りをするから、こいつはいつまで経っても喋れるようにならんのだ!……おい、この腑抜けが、女に庇われてお前はそれでいいのか? お前の考えはお前しか言葉にできぬ、お前の人生は結局お前しか生きられんのだ! 悔しかったら何か言ってみろ、この馬鹿が!」
励ましているようには絶対聞こえない罵倒の嵐に、ついにランパの言葉が口をついて出た。
「お、おおお、おれ、俺は……き、き、騎士、騎士に、なりた……い……」
「騎士団に入団したのだろう? なぜやめたのだ」
絞り出し、どもりにどもった言葉に、恭親王は全く普通に対応する。
「お、おれが……ど、ども、どもるから……」
「どもりと騎士は関係ないだろう? ゾラの女遊びの方が、よっぽど問題だ」
「で、で、でも……ばか、馬鹿にされ、て……」
「馬鹿にされたのは、どもりのせいじゃなくて、弱かったからじゃないのか?」
「それは……」
「強ければ、どもりなんて問題にされないだろう。騎士としてはまず強くなければ。私だって、このゾラの女遊びには手を焼いているが、騎士として文句なく強いので、首にできないわけだし」
恭親王がちらりとゾラを見て言う。
「ちなみに、ゾラの言葉遣いはひどいぞ。貴族としての品位を疑うレベルだが、でも、言葉遣いが美しくて女遊びしないが弱い騎士など使い物にならないから、私はゾラを選ぶ」
「なんで、いちいち俺を引き合いに出すんすか! ちょームカツクんすけど!」
「無口のふり」モードで黙っていたゾラが、さすがに我慢できなくなって反論する。ゾラに対して軽く肩を竦めてみせ、恭親王は続けた。
「お前は器質的に問題があって喋れないわけじゃないのだから、落ち着いてゆっくり喋れば、どもりの方はいくらか改善されるのではないか? 私の婚約者はこの前まで声が出せなかった。私も、私の周囲の者も、どもりを理由にお前を馬鹿にすることはない。騎士に言葉は必要ないからな。ただし、騎士のくせに弱いのはダメだ。それは大いに馬鹿にする」
「お、おれ、おれも、がん、がんばった、けど……」
「頑張ったようには見えん身体だが……ちょっと足を踏ん張って立っていろ」
そう言うと、恭親王は立ち上がり、執務机の前に仁王立ちするランパの額に人差し指を当て、軽く押した。ぐらりっとランパの身体が崩れ、そのまま尻もちをつく。
「うーん。筋力不足もだが、まず、立ち方からなってないな」
「肩の筋肉を見ると、腕の力はけっこうありそうっす。でも、筋肉の付き方がイマイチっすね。腕立て伏せと、がむしゃらな素振りばっかりしてたんじゃねぇすか?」
図星だったのだろう、ゾラの言葉に思わずランパが俯く。
「剣を最初に教えたのはどういう人物だ?」
「……お、おや、親父で……あとは……街、の……ど、道場の……」
「よくそんなんで、騎士団に入れたな?」
恭親王の疑問に、ゾラが答える。
「入るだけでしたら……どうせ見習いっしょ? 見習いは審査が甘いっす。扱き倒されて、根性があって、残った奴だけが、強くなるっすよ」
そうなる前に逃げてしまったランパは、どこまでも中途半端なのだ。
「どう思う? ゾラ、こいつ、騎士になれると思うか?」
「めっちゃくっちゃ鍛え直せば……タッパはあるし、魔力もまあまあ。でも、ついてこれる根性がなさそうじゃねぇ?」
「根性か……」
恭親王も腕を組んで考えている。
「鍛え直せる場所があるのか?」
「騎士団に放り込む」
「それはダメだ」
恭親王がにべもなく言った。
「萎縮してしまって、前と同じことの繰り返しだろう」
騎士団に入った時、弱い上にどもりで、しかも文官家のお坊ちゃまという三重苦だったのだ。今のこの状態から推測するに、見習いの中で一番弱いレベルだったに違いない。そしてさらに、二か月で騎士団を逃げ出し、自己流の間違った鍛錬で時間を無駄にした。
同じ歳の男たちは、今はもっと強くなっている。今、騎士団に戻れば、年上のくせに超弱い、の四重苦だ。下手すりゃ新入りの見習い含めても一番弱い。それをイジメるな、と騎士団の奴らに言うのが無理というもの。この豆腐メンタルが生き残れるはずがない。
「でも、間違った方法かもしれないが、これまで一人で鍛錬は続けてきたのだろう?全く根性がないわけでもないってことだ」
恭親王の言葉に、ランパがはっと上を向いた。孤独の中でがむしゃらに、やってきたのだろう。方法が間違っていたけれど。吃音で喋ることが苦手な故に、人に聞くこともできず、暗い道を一人で走り続けるようなものだ。
「努力をすることは、いいことだ。だが、やり方が間違っていたら、目標から遠ざかるだけだ。どれだけ汗水垂らして走り続けても、方角が間違っていたら目的地には着けない」
ランパが悔しそうに唇を噛む。
「ゾーイに、教えを請い、受け入れてもらえたら、見習いとして雇ってもいい。その代わり、俸給は十分の一だ。ゾーイが認めたら、正式に雇ってやろう」
ゾラもトルフィンも目を丸くした。
「ゾーイさんのお手を煩わせるのですか?」
「ゾーイの兄貴がこんなへっぽこの指南するとは思えねぇっすよ」
恭親王はランパに向かって言った。
「私からは、聖地の別邸に入る許可と、ゾーイに指南を請う許可しか出さない。事情は、お前自身で説明するんだ」
「!!!」
初対面の人間とまともに口が効けないランパに、自身の込み入った事情を説明させるというのだ。
「そんな……!」
ミハルが思わず悲鳴のような声を上げた。
「私の婚約者アデライードは、十年前に声を失い、ずっと一言も口をきかずに生きてきた。彼女の状況と、お前の吃音とは事情が異なるが、それでも、言いたいことを人に上手く伝えられない状況は同じだ。それは辛いことだとは思うが、だが、お前がもし、自分の夢を叶えたいのなら、人の口を借りるのではなく、自分自身で乗り越えなければならないと思う。私が与えてやれるのは、その機会だけだ」
ランパは無言で恭親王を食い入るように見つめている。
「別邸のアデライードは、今、命を狙われている。それ故に別邸の警護は厳戒を極めている。絶対に、外部に情報を漏らすな。油断するな。何かあれば、新入りのお前が疑われるぞ」
ランパは、九十度以上の深いお辞儀をして、恭親王に謝意を表した。恭親王はゾーイに手紙を書き、それをランパに持たせた。
「お前はどうしたいのだ。声が出ないならともかく、どもりはしても喋ることはできるのだろう?どれだけどもろうとも、ちゃんと聞いてやるから、言いたいことがあれば、口に出して見ろ」
そう言って、挑むような黒い瞳で恭親王に見据えられて、ランパはそのまま無言で立ち尽くしていた。
「お前はどうしたいのだ。何がやりたいのだ。どうなりたいのだ。何でもいいから言ってみろ。実現可能か否かは、その後のことだ」
「お……お……お……」
ランパが絞り出すような声で何か言いかけるものの、言葉にならずにもどかしさだけが高まる中で、我慢できなくなったのか、ミハルが庇うように言った。
「殿下、ランパは喋るのが不得意で――」
「口を出すな!」
一刀両断するかのような厳しい舌鋒で、ミハルの口出しを切り捨てる。
「今、喋ろうとしている。お前がそうやって先回りをするから、こいつはいつまで経っても喋れるようにならんのだ!……おい、この腑抜けが、女に庇われてお前はそれでいいのか? お前の考えはお前しか言葉にできぬ、お前の人生は結局お前しか生きられんのだ! 悔しかったら何か言ってみろ、この馬鹿が!」
励ましているようには絶対聞こえない罵倒の嵐に、ついにランパの言葉が口をついて出た。
「お、おおお、おれ、俺は……き、き、騎士、騎士に、なりた……い……」
「騎士団に入団したのだろう? なぜやめたのだ」
絞り出し、どもりにどもった言葉に、恭親王は全く普通に対応する。
「お、おれが……ど、ども、どもるから……」
「どもりと騎士は関係ないだろう? ゾラの女遊びの方が、よっぽど問題だ」
「で、で、でも……ばか、馬鹿にされ、て……」
「馬鹿にされたのは、どもりのせいじゃなくて、弱かったからじゃないのか?」
「それは……」
「強ければ、どもりなんて問題にされないだろう。騎士としてはまず強くなければ。私だって、このゾラの女遊びには手を焼いているが、騎士として文句なく強いので、首にできないわけだし」
恭親王がちらりとゾラを見て言う。
「ちなみに、ゾラの言葉遣いはひどいぞ。貴族としての品位を疑うレベルだが、でも、言葉遣いが美しくて女遊びしないが弱い騎士など使い物にならないから、私はゾラを選ぶ」
「なんで、いちいち俺を引き合いに出すんすか! ちょームカツクんすけど!」
「無口のふり」モードで黙っていたゾラが、さすがに我慢できなくなって反論する。ゾラに対して軽く肩を竦めてみせ、恭親王は続けた。
「お前は器質的に問題があって喋れないわけじゃないのだから、落ち着いてゆっくり喋れば、どもりの方はいくらか改善されるのではないか? 私の婚約者はこの前まで声が出せなかった。私も、私の周囲の者も、どもりを理由にお前を馬鹿にすることはない。騎士に言葉は必要ないからな。ただし、騎士のくせに弱いのはダメだ。それは大いに馬鹿にする」
「お、おれ、おれも、がん、がんばった、けど……」
「頑張ったようには見えん身体だが……ちょっと足を踏ん張って立っていろ」
そう言うと、恭親王は立ち上がり、執務机の前に仁王立ちするランパの額に人差し指を当て、軽く押した。ぐらりっとランパの身体が崩れ、そのまま尻もちをつく。
「うーん。筋力不足もだが、まず、立ち方からなってないな」
「肩の筋肉を見ると、腕の力はけっこうありそうっす。でも、筋肉の付き方がイマイチっすね。腕立て伏せと、がむしゃらな素振りばっかりしてたんじゃねぇすか?」
図星だったのだろう、ゾラの言葉に思わずランパが俯く。
「剣を最初に教えたのはどういう人物だ?」
「……お、おや、親父で……あとは……街、の……ど、道場の……」
「よくそんなんで、騎士団に入れたな?」
恭親王の疑問に、ゾラが答える。
「入るだけでしたら……どうせ見習いっしょ? 見習いは審査が甘いっす。扱き倒されて、根性があって、残った奴だけが、強くなるっすよ」
そうなる前に逃げてしまったランパは、どこまでも中途半端なのだ。
「どう思う? ゾラ、こいつ、騎士になれると思うか?」
「めっちゃくっちゃ鍛え直せば……タッパはあるし、魔力もまあまあ。でも、ついてこれる根性がなさそうじゃねぇ?」
「根性か……」
恭親王も腕を組んで考えている。
「鍛え直せる場所があるのか?」
「騎士団に放り込む」
「それはダメだ」
恭親王がにべもなく言った。
「萎縮してしまって、前と同じことの繰り返しだろう」
騎士団に入った時、弱い上にどもりで、しかも文官家のお坊ちゃまという三重苦だったのだ。今のこの状態から推測するに、見習いの中で一番弱いレベルだったに違いない。そしてさらに、二か月で騎士団を逃げ出し、自己流の間違った鍛錬で時間を無駄にした。
同じ歳の男たちは、今はもっと強くなっている。今、騎士団に戻れば、年上のくせに超弱い、の四重苦だ。下手すりゃ新入りの見習い含めても一番弱い。それをイジメるな、と騎士団の奴らに言うのが無理というもの。この豆腐メンタルが生き残れるはずがない。
「でも、間違った方法かもしれないが、これまで一人で鍛錬は続けてきたのだろう?全く根性がないわけでもないってことだ」
恭親王の言葉に、ランパがはっと上を向いた。孤独の中でがむしゃらに、やってきたのだろう。方法が間違っていたけれど。吃音で喋ることが苦手な故に、人に聞くこともできず、暗い道を一人で走り続けるようなものだ。
「努力をすることは、いいことだ。だが、やり方が間違っていたら、目標から遠ざかるだけだ。どれだけ汗水垂らして走り続けても、方角が間違っていたら目的地には着けない」
ランパが悔しそうに唇を噛む。
「ゾーイに、教えを請い、受け入れてもらえたら、見習いとして雇ってもいい。その代わり、俸給は十分の一だ。ゾーイが認めたら、正式に雇ってやろう」
ゾラもトルフィンも目を丸くした。
「ゾーイさんのお手を煩わせるのですか?」
「ゾーイの兄貴がこんなへっぽこの指南するとは思えねぇっすよ」
恭親王はランパに向かって言った。
「私からは、聖地の別邸に入る許可と、ゾーイに指南を請う許可しか出さない。事情は、お前自身で説明するんだ」
「!!!」
初対面の人間とまともに口が効けないランパに、自身の込み入った事情を説明させるというのだ。
「そんな……!」
ミハルが思わず悲鳴のような声を上げた。
「私の婚約者アデライードは、十年前に声を失い、ずっと一言も口をきかずに生きてきた。彼女の状況と、お前の吃音とは事情が異なるが、それでも、言いたいことを人に上手く伝えられない状況は同じだ。それは辛いことだとは思うが、だが、お前がもし、自分の夢を叶えたいのなら、人の口を借りるのではなく、自分自身で乗り越えなければならないと思う。私が与えてやれるのは、その機会だけだ」
ランパは無言で恭親王を食い入るように見つめている。
「別邸のアデライードは、今、命を狙われている。それ故に別邸の警護は厳戒を極めている。絶対に、外部に情報を漏らすな。油断するな。何かあれば、新入りのお前が疑われるぞ」
ランパは、九十度以上の深いお辞儀をして、恭親王に謝意を表した。恭親王はゾーイに手紙を書き、それをランパに持たせた。
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