【R18】渾沌の七竅

無憂

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五竅

34、冷たくて優しい男*

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 露台の上で両膝をついていたレイナの腕を引っ張って立ち上がらせると、恭親王は言った。

「冷えてきた。中へ入ろう」

 そのまま、腕を掴んで部屋の中に入り、寝台まで行く。部屋の灯りを調節して、寝台に腰を下ろし、足につっかけていた雪駄を脱いで恭親王は寝台に上がった。
 いつものように寝台を空けてくれるので、レイナも長衣を脱いで袖畳みにし、帯と一緒に足元の方に置き、上に登る。

「それで……どうする?」

 恭親王に聞かれ、レイナは返答に窮した。

「何が、でございますか?」
「お前が嫌だと言うなら、今後も手は出さないが……」
「嫌ではないと申し上げたら?」
「……でも、僕はお前のことは愛してない」
「愛してない女は抱けませんか?」

 レイナの問いに、恭親王はいつかの、成郡王の問いを思い出す。

「いや、どちらかと言うと、愛してる方が無理かも。可哀想だろ、あんなことするの」
 
 恭親王の答えが変わっていると思いながら、どこか納得する自分がいた。
 初めて、順親王に処女を捧げた時は、恐怖と苦痛で辛くてたまらなかった。何て残酷な行為だろうかと思った。でも――。

「でしたら、抱いてください」
「ハッキリ言うね。仕事だから?」
「それもありますけれど――。わたくしは、殿下に全てお捧げすると誓ったのですから」
「愛してはくれない相手でも?」
「わたくしはお慕いしておりますから。殿下が、お嫌でなければ」

 レイナがそう言うと、恭親王は溜息をつく。

「僕にだって、人並みに欲はあるんだよ。――好きでもない女を抱ける程度にはね」

 恭親王はレイナの肩を抱き寄せると、うなじのあたりで髪をまとめていた鼈甲の笄を引き抜く。ずるりと黒い髪が蛇のようにうねって背中に流れ落ちた。それから腰のしごきを解き、夜着の襟元をはだけさせて肩から滑り落とす。白い、レイナの肩と、小ぶりだが形のよい胸が現れた。

 レイナが、少し恥ずかしそうに俯き、黒い髪が揺れる。その、背けた白い首から肩のラインが色っぽくて、恭親王はそこに顔を近づけ、唇を這わせる。

 背中を片手で支えながら、もう一方の手でするりと乳房を撫でる。びくり、とレイナの肌が震えた。

「おっぱい……これくらいの大きさがけっこう好きだ……」
「みんなには、小さいって……」
「僕は大きすぎるのは苦手なんだよ。……怖いからさ」

 くすっと恭親王が笑い、熱い息が首筋にかかる。レイナの動悸が早くなり、恥ずかしさにいたたまれなくなって、ぎゅっと目を閉じて顔を背けている。

 背中を支えたまま、丁寧に寝台の上に寝かせられる。真上から、恭親王の美しい顔が見下してくる。改めて見ても、美しい人だと、レイナは感嘆する。再び、恭親王が首筋に唇を這わせる。両手で優しく双の乳房を揉み込まれると、レイナの息が上がってきた。刺激を受けて赤い木の実のように立ち上がってきた頂点の蕾を、指の腹で優しく撫で、摘ままれる。

「はっ……あっ……」
「こうされるの、好きか?」

 恭親王はピンと立ち上がった片方の蕾を口に含み、強く吸う。
 
「さすがに、母乳は出ないな」
「そんなの、出ません!」

 レイナが言うと、恭親王は蕾を口に含んだまま、ふふふと笑った。

「前付き合ってた女は、赤ん坊がいたから出たんだよ。結構甘くて美味い……レイナも生んだら飲ませてくれる?」
 「そんな……」

 そんなこと約束はできない。そう言いたかったが、胸を揺蕩っていた恭親王の手が、レイナの脚の間に触れて、それどころではなくなった。

「ああっ……」
「やっぱり、ここがいいか……」

 細く長い指が、レイナの媚肉を割って中に入ってくる。最初は一本、優しく探るように中を蠢く。

「……はっ……ああっ……」

 身体の奥から溢れ出るものがその長い指を濡らす。微かな水音がレイナの耳に聞こえ、羞恥で目をつぶった。

「濡れてきた……気持ちいい?」
「や……恥ずかしい……言わないで、ください……」
「痛くするつもりはないんだ。同じことなら気持いい方がいいだろう」

 そう言いながら、恭親王はレイナの中を指で探っていく。ある一点を擦ると、レイナの腰がびくりを跳ねた。

「ああっ……そこっ……だめっ……」
「ここか……だめ、というのがイイと言う意味か」

 耳元でくすっと笑うと、恭親王はそのレイナの敏感な場所を指で入念に責めた。何度もそこを擦られて、レイナの熱は否が応にも高まっていく。

「はあっ、ああっ……あっ、あんっ、……あああっ」

 指が二本に増やされて、レイナの中をバラバラに動き、的確に感じる場所を責めていく。もう一方の手でレイナの胸の尖りをくりくりと弄りながら、もう片方の乳首を咥えられ、吸われ、舐められる。同時に与えられる甘い刺激に、レイナは無意識に腰を揺らし、淫らな嬌声を上げていた。

「あっあああっああああっ……ああ――――っ」

 レイナは両手で顔の横の羽毛の枕を掴み、白い喉の反らして達した。身体の力が抜けて荒い息を吐いていると、恭親王が上からのぞき込んできた。

「イった?」
「はあっ……はあっ……でん、か……」
「挿れるよ?……久しぶりで痛かったら言って。無理強いはしたくないから」

 限りなく優しいけれど、どこか事務的な口調で恭親王は言うと、レイナの膝の裏に手をかけて脚を開いて蜜口に彼の肉楔を宛がい、ゆっくりと侵入してくる。肅郡王を見送って以来、しばらく遠ざかっていた圧迫感に、レイナが思わず息を詰める。

「痛い?」
「……だいじょうぶ、です……」
「すごい……狭い……」

 端正な眉を苦し気に歪めて、恭親王も何かを堪えているようだ。ゆっくりと押し入ってくるものの存在感に、レイナは思わず首を振った。

「はう……はあっ……」
「ごめん、もう少しだから……」

 どこか素っ気ないけれど、恭親王がレイナの身体を労わってくれていることが、レイナにはよくわかった。初めて抱かれた順親王はもっと乱暴で強引だったし、肅郡王は乱暴ではなかったが、やはり閨でも皇子と秀女という上下の関係は意識しないではいられなかった。

 だが、恭親王の態度はまるで壊れ物を扱うように繊細で、思い遣りに満ちていた。少しの痛みも与えないように、注意深く挿いってくる。

(優しい――でも――)

 これ以上ないほど優しいのに、決定的に何かが足りなかった。
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